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第7話 交渉終了

「あ、ありがとう……! ありがとう、友よ……っ!」

 友情に厚い斬人達が嬉しい言葉を言ってくれる。

 これには、普段スカしている真太郎も感涙が止まらない。


「泣くんじゃねー、シンタロー! 泣くのは聖戦に勝って、嬉し泣きする時だけだぜッ!」

 すっかりやる気になってくれた斬人を見るなり、真太郎が内心ほくそ笑む。

(よっしゃ! 紅さんと違って、斬人は馬鹿だから簡単に丸め込めたぜ)


「はい、一丁上がり。じゃ、俺は次の予定があるから、斬人は紅さんを説得してギルド会談に引っ張って来てね」

「ええーっ!? 急にめっちゃ冷めてるぅーっ!」

 話をまとめるなり、急にいつものスカした態度に戻った真太郎に、刹那が驚愕する。


「さて、と。お次は魔術師共だな」

「えっ、いいのっ!? もう行っちゃっていいのっ!?」

 話をまとめた真太郎がそそくさと次の目的地に行こうとするなり、刹那が激しく戸惑う。


「テメーら気合入れろッ! これから、俺達のお色気イベント盛りだくさんの大冒険の始まりだァーッ!」

「「「おっしゃーッ!」」」

「お前ら、さっきの怒りはどこへ行ったんだよッ!?」

 アホな決意を胸にたぎらせる斬人達に、刹那がツッコミを入れる。


「拙者のつばめ返しの力を見せてやるでござるーッ!」

「キモオタ!? テメーも何やる気になってんだよッ!」

 大冒険の予感に胸をワクテカさせるイナバと斬人達にツッコむ刹那を残して、真太郎は次なるの交渉の場へ向かった。



## # ## # ##

「『渾沌騎士団』は、クソ野郎ばっかりだったな」


「なんだよ、チュウ。いきなりなんだよ?」

 斬人率いる『渾沌騎士団』をギルド会談に参加させる事に成功した真太郎達は、次の交渉相手の根城に向かってオリエンスの街を歩いていた。


「あんなクソお色気イベントの話をちょっと出しただけで、いきなりやる気になって馬鹿みてーだつったんだよ」

 ひねくれ者だが案外純情な刹那は、スケベ心剥き出しな斬人達が、お気に召さないようだ。


「奴らが馬鹿極まるドスケベ集団だろうが、このオリエンスの街の三大ギルドの一つである事には変わりない。奴らには、その気になって貰わないと困るんだ」 

「あんな奴ら、死ねばいい」

「こら、きらり! 死ねばいいとか簡単に言うんじゃありませんっ!」

「やめろ! お前のそのちょいちょい出て来る、お母さん的態度はなんなんだっ!?」

 理性で動く真太郎と、感情で動く刹那が、兄妹の様に口喧嘩を始めた。

  

「っていうか、俺はあんな馬鹿共、仲間にするのは反対だぞ」

 刹那がわがままを言うなり、真太郎がため息をつく。

「きらりちゃん、少し頭を働かせなさい。奴らがこの街を平定しようと動けば、傘下の中小ギルドの多くが、確実に協調して動き出す事が予想出来るのよ?」

「だから、なんだよ」


「そうなれば、街に秩序が出来て、一気に落ち着きを取り戻す流れになる、って分からないの?」

 その場のノリで適当に動いているだけと思われた真太郎が、割と先々のことまで考えている事を垣間見せる。

 すると、刹那が疑わしげな目つきをした。


「また、いい加減な事を言ってるだけじゃねーだろうな?」

「あのねぇ。今はゲームじゃないんだ、遊びでやってる訳じゃないんだよ」

「そこまできっぱり言い切るなら、まぁいいけどさぁ……」

 マジな様子の真太郎の言葉を聞くなり、刹那は思わず二の句を継げなくなった。


「つか、さっきの俺のお色気攻撃に意味はあったのかよ? 結局は、お前お得意の戯言で、馬鹿共を丸め込んだじゃねーか」

 無理矢理萌え小芝居をさせられた刹那が、イラついた様子で真太郎を小突く。


「意味はあったよ。チュウの『お色気力』が、十分に実戦で使える事が分かったからね」

「おい、お色気力ってなんだっ!?」

「実の所、俺はつい五分ぐらい前まで、チュウの事をマジ使えねーガキだと思っていたのだが――」

「おいっ、ふざけんなよ! 何サラリととんでもねー事抜かしてんだよっ!」

 真太郎が酷い事をサラッと言うなり、刹那がすかさずツッコむ。


「今では、俺のパーティーに欠かす事の出来ない『お色気担当』だと思っているよ」

 刹那を一人前と認めた真太郎が、彼女に爽やかな笑みを向ける。

「いや、俺アタッカーだからねっ!?」

「ガンガン攻める肉食系お色気アタッカー、という事か……。お前、何気にサービス精神が有るし、確かにアタッカーと言えるかもしれないな」


「何真剣な顔で馬鹿みてーな事言ってんだよ! 妙な勘違いすんなよなッ!」

「今の言葉で、俺はまたチュウの評価を上げたぞ」

「いや、聞けよっ! さっきから都合よく無視すんなよっ!」


「その言葉を聞くまで、俺にとってお前は、コンビニ弁当によく入ってる汁っぽい黒豆か、妙に酸っぱいかぼちゃの煮物的存在だったが、今はかけがえのない戦友的存在に変わったよ」

 真太郎は、刹那が斬人との交渉のキーマンとなった事で、初めて彼女を仲間と認めた様だ。


「おいぃぃぃ! 俺は、さっきまでいらないモノ扱いだったのかよっ!」

「別にいらなくはないよ。ただ、なんかあんま美味しくないから、入ってると嫌だなぁ~的な存在だったって事だよ」

「余計タチ悪いわっ! それ、俺を仲間に入れたくなかったって事だよなっ!?」

 真太郎の言動に振り回される刹那が、あんまりな扱いに怒って小動物の様にキーキー言って荒ぶる。


 そんな真太郎達のやり取りが終わるなり、みこが真太郎に声をかけた。

「所で、シンタローさん。次はどこへ行くのかな?」

 みこが新しい話題を提供するなり、刹那いじりに飽きた真太郎がそれに応じる。


「次は、『魔術結社JMA』を攻略する……!」

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