表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/161

第4話 勝利からのピンチ

「な……なんだと? 今、何と言った……?」

「紅さんが、この部屋から出ていかないのならば……チンポを出す、と言ったんです……!」


「い……意味が分からないぞ……っ!」

 完全に狂人を見る目つきの紅が、真太郎から思わず一歩距離を取る。


(よし! 動揺させる事に成功したぞっ! 流石、下ネタが大の苦手の紅さん、チンポごときで動揺するとは、可愛い奴めっ!)

 下ネタ嫌いの紅を動揺させる事に成功した真太郎は、そのまま一気に紅を攻略するべく、さらに勢いづく。


「紅さん……さっさと部屋から出ていって……ください……ッ!」

 真太郎は言いながら、ズボンのベルトに手を伸ばし、ガチャガチャと鳴らした。

「や……やめろっ! 出すなっ!」

「出してほしくなければ……部屋から出ていってください……ッ!」

「ふざけるな! なんだその最低な脅しはっ!?」

 紅がまだ抵抗するなり、真太郎はイナバの隣に立った。


「な、なんだっ! その仮面をつけた男は誰だっ!?」

 動揺を続ける紅が警戒心を剥き出しにするなり、真太郎が無言でイナバの面頬を取り払った。


「うっ!」

 露わになったイナバの絶世のキモオタフェイスを見るなり、紅が得体の知れない衝撃に襲われてのけぞる。

「な、ななな、なんだソレはっ!?」

 イナバを人間なのかモンスターなのかを判別出来ない紅が、パニックを起こす。


「紅さん、この部屋から出ていってください。さもなくば……」

 ゆっくりと言葉を紡ぐ真太郎が、今まで見せた事のない迫力を見せつける。

「この男のチンポを見せるぞッ!」


「ござッ!?」

 予想外の事態に、イナバが驚きの声を上げる。

 すると、それを雄叫びと聞き間違えた紅が目に見えて怯える。 

「ヒィ!」


 ずっとクールで凛々しい女傑的態度を崩さなかった紅が、気弱な小娘みたいな声でビビる。

 すると、真太郎があと一押しだとばかりにトドメの一言を言い放った。

「最後通告です、紅さん……『チンポ or DIE』。決めるのは貴女です……」

 真太郎はそう言うと、ゆっくりとイナバの股間に手を伸ばした。


「や、やめろっ! トラウマになって夜眠れなくなるっ!」

ここまでずっとクールだった紅が、ここで初めて感情剥き出しで吠えた。

 ここが勝負の勘所だと判断するなり、真太郎が大声を上げる。


「嫌だったら、今すぐにこの部屋から出ていけっ!」

「くっ! なんて恐ろしい男なんだッ……!」

 チンポを前に恐れをなした紅が、足早に部屋から逃げていく。


「よし! 勝ったッ! チンポには勝てなかったようだなッ!」

 仕事の邪魔立てをして来る紅を見事追い出した真太郎が、勝利を祝ってガッツポーズをとる。

 すると、先程から黙って真太郎と紅のやり取りを見ていた斬人が口を開いた。


「お……お前、さっきから何やってんだ……?」

「見て分からない? 紅さんを追っ払ったんだよ」

「何故、紅を追っ払う? いや、それより、そのキモオタは誰だよ……!?」

 異形のキモオタと遭遇した斬人が、俄かに身構えながら真太郎に尋ねる。


「師匠だよ。あの『剣聖イナバ』」

「はぁ!? マジかよ、ありえねーだろっ!」

 ある意味でお決まりのリアクションを斬人が取るなり、真太郎は今までと同じ説明をした。


「おいおい、マジかよっ!? ここじゃ、ゲームの容姿の影響を受けて、皆イケメンになってんだぜ? リアルでとんでもないキモオタだったとしても、ここではフツメンになってるはずだ。そいつが、イナバの訳ねーよ!」

「正体はキモオタでも、あの剣聖のイナバなんだよ」


「嘘付け! テメー、俺に隠して新手のモンスターをテイムしたんじゃねーだろうな? 『ハーフオーク』とか、『怪奇! アキバに蠢く、キモオタ侍!』とか」

 疑り深い斬人が無駄な探りを入れて来るなり、真太郎が思わずキレた。


「うるせー! ガタガタ抜かすんじゃねー! モンスターばりのキモオタでも、この人は『剣聖のイナバ』なんだよッ!」

 真太郎が荒ぶるなり、イナバがそっと声をかけてきた。


「……シンタロー殿、もういいでござるよ」

「でも、師匠! 斬人の奴がっ!」

「もういいでござる……。だって、拙者、リアルでキモオタでござるもん……」

 リアルでもゲームの世界でも自分がキモオタであるという非情な現実を受け入れたイナバが声を殺して泣く。


 すると、何が起こったのか、真太郎も思わずもらい泣きした。

「師匠……。貴方は、そんじゃそこらのただのキモオタじゃあない……誰にも負けない、世界一のキモオタですよッ!」

 イナバを元気づけようとした真太郎だったが、配慮がたらなかった為、無意識に酷い事を言ってしまう。


「ござっ!? それ貶してんの褒めてんのっ!? どっちでござるのっ!?」

 無邪気で奔放な真太郎の言動に、イナバがいつもの様に振り回される。


「その馬鹿っぽいやり取り……。信じられんが、どうやらマジみたいだな」

 そんな真太郎とイナバの間の抜けたやり取りを見た事で、斬人はゲームで何度も見た光景を思い出し、目の前のキモオタをイナバと認めた様だ。


「わーったよ。もうそいつが、イナバって事でいいよ。で? こっちの可愛げな女の子は誰よ?」

 キモオタに飽きた斬人が、真太郎にみこの事を尋ねる。

 

 すると、真太郎が答えるよりも早く、みこが斬人に自己紹介をした。

「いつもニコニコ、名無しのギルドの最終兵器みこちゃんだよっ! よろしくどうぞっ!」

 初対面の相手にも全く物怖じしないみこが、いつもの様に元気いっぱいに挨拶する。


「お、おう……元気がいいな」

 元ヤンの癖に女慣れしていない斬人が、みこの元気さに思わず気圧される。

「で、こっちのちっさいマフラー野郎は誰なんだ?」

 斬人はそう言うと、手持無沙汰な感じで突っ立っていた刹那を指さした。


 刹那が話題に上るなり、コミュ障な彼女に代わって真太郎が自己紹介した。

「こいつは、煉獄刹――いや、星宮きらりちゃんだよ」

「ほしみや、きらり? 誰、新人アイドル?」

 聞きなれない名前を聞かされた斬人が、不思議そうな顔で小首を傾げる。

 すると、刹那が何故か急に荒ぶった。


「おい、やめろよっ! 本名で呼ぶんじゃねーよっ!」

 刹那が小動物の様な動きで襲い掛かって来るなり、真太郎が彼女をからかった。

「急に襲い掛かるのは止めなさい、きらりちゃん!」 

「やめろっ、バカタロー! 本名で呼ぶんじゃねーよっ!」


「なんでだよ? 可愛い名前じゃないか?」

「なんか、キラキラネームみたいで恥ずかしいだろ」

 自分の可愛い名前を恥ずかしがる刹那が、ちょっともじもじする。

「きらりより、煉獄刹那なんつー、中二病ネームの方が恥ずかしいぞ」

「なんでだよ、それはカッコイイだろっ!」

 刹那が独特のセンスを持っている事が判明するなり、斬人が話に混ざって来た。


「おい、シンタロー。今、そいつの事、『煉獄刹那』つったか? そのマフラー野郎って、まさか……」

「まさかもなにも、チュウだよ。中二病のチュウ」

 真太郎がそう答えるなり、斬人が敵を見る様な凶暴な顔をする。


「あ? チュウ……だと……?」

 マフラー野郎の正体が刹那だと知った瞬間、斬人の体から殺意が立ち上った。

「テメーら、待てっ!」

 獰猛に目を光らせる斬人が突然、どこかに向かって大声を出す。


「は?」

 急に斬人が訳の分からない事を言い出すなり、真太郎が訝しげな顔をする。

 それに一拍遅れて、真太郎達の周りに無数の剣が出現した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ