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勇者ゲーム ~ネトゲ廃人共、チート無双で異世界救ってこい!~  作者: ミネルヴァ日月
第四章 さんざめけ☆めけ! 勇者だヨ全員集合! 天下一武闘会!
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第28話 にんじゃりばんばん! 忍者VS魔導師!

「何ッ!?」

 忍蔵の刃がさくにゃんに触れる直前で、透明なバリアのようなもので弾かれた。

  

「攻撃した後で呪文を唱えたのでは間に合わない……敵が攻撃する寸前に動きを読んで魔法を発動する……ゲームでは当然のようにしていた事だが、それを実戦でスムーズに行うには、いささか修練が必要みたいだな……」


 いかがわしい熟女好きの変態の板垣ではあったが、今ばかりは大魔導師の風格を醸し出していた。


「服部君……断言しよう。君の『攻撃力がいくら高くても』、この板垣進助には『決して敵わない』とッ!」

 カッコつける板垣がそう言うと同時に、忍蔵が無言で刀を一閃した。


「無駄ッ!」 

 しかし、板垣の魔法によって、その攻撃はいとも簡単に防がれてしまった。


「斬ッ!」

 刀が弾かれる反動を利用して体をひねった忍蔵が、勢いをつけてバリアを刀で思いっきり叩く!


「無駄無駄無駄ッ!」

 だが、板垣の魔法のバリアの前には、刀は無力だった。


「この私のオリジナルスキル『偉大なる魔導(アルス・マグナ)』は、魔法を超低コストで使用する事が出来る上、魔法の詠唱無しに即座に魔法を発動する事が出来るのだよ……ゆえに、全ての攻撃を防ぐ絶対防御魔法『パーフェクトプロテクション』もMP消費の多さを気にせずに使い放題と言う訳だ……!」


 いつになく面妖な雰囲気を醸す板垣が、大きな杖を乱暴に振った。

 

「無論、防御魔法に留まらず、『攻撃魔法』も使えるがねッ!」

 次の瞬間、杖の先端の赤い宝石が発光し、魔法の業火が忍蔵に襲いかかった。

  

「なんと! 魔法の炎でゴザルかッ!」

 素早い身のこなしで魔法の炎を回避した忍蔵が、紅蓮に燃え上がる魔法の業火を驚きながら見つめる。


「言い忘れていたが、リキャストタイムも無いぞッ!」

 忍蔵に攻撃を避けられた板垣が、間髪入れずに魔法を発動する!


「チッ! 魔法に刀では分が悪い……間に合うかッ!?」

 忍蔵は舌打ちをすると、目にも止まらぬ速さで印を結んだ。

 そして大きく息を吸って胸を膨らませると、一気に息を吐いた。


「火遁・豪火炎弾ッ!」

 忍蔵の息が炎の弾丸となって口から飛び出す!

 

 魔導師と忍者の二つの炎が、両者の間でぶつかり合い激しく爆発する!

 

「そこをどくでゴザルよニンニン! 何ゆえあのババアを守るのでゴザルかッ!?」 

 なぜかさくにゃんを守る板垣に、忍蔵が刀を突き付ける。


「口を慎め、コスプレ忍者がッ! ババアではない、『熟女』だッ!」

「世迷言を! 奴は『ババアの見た目をした化け物』でゴザルよッ!」

 忍蔵がそんな事を言うなり、板垣がフッと不敵な笑みを浮かべた。


「確かに、彼女は化け物じみた強さをしている……だがね、この私の前では、ただの可愛い熟女なのだよッ!」

 何言ってんだコイツ!? みたいな事を板垣が真顔で言い出す。

 

「訳の分からん事をッ!」

 その隙を突いた忍蔵が、目にも止まらぬ速さで手裏剣を投げた。


「無駄だというのが、分からないのかね?」

 しかし、板垣の魔法のバリアによって、あっさり弾かれてしまった。

 四方八方に散らばった手裏剣が、乾いた音を立てて地面に転がる。


「もう少し分かりやすく言ってあげよう……君のへっぽこ忍術は、『この私に一切の危害を加える事が出来ない』ッ!」

 板垣がカッコつけて言い放つなり、彼の背後の手裏剣がボンッと煙を出した。


「あまり忍者を舐めない方がいいでゴザルよ……!」

 白煙の中から忍蔵の声が聞こえると同時に、板垣が一閃された。


「グハッ!?」

 何が起こったのか分からない板垣が視線を泳がせると、確かに先程まで前方にいた忍蔵の姿が、何故か案山子に変わっていた!?


「一体どういう事だッ!? 何故、貴様がこの私の背後にいるッ!?」

 予想だにせぬ方向から忍蔵の攻撃を喰らった板垣が、パニックを起こす。


「さっきの魔法のぶつかり合いの時、爆炎に紛れて『変化の術』で手裏剣に変身し、さらに分身の術で手裏剣に変身させた某を分身に投げさせ、板垣氏の背後に落ちたのでゴザルよニンニン」


 忍蔵が解説を終えるなり、本物の忍者のハイクオリティな戦いを見た観客たちが一斉に歓声を上げた。


「この私はエリート官僚だぞ……!? こんな……幼女を連れて喜んでいるロリコンコスプレ忍者野郎にやられるなんて、決っして許されんぞォォォーッ!」

 熟女マニアの板垣は、ロリコン野郎が大っ嫌いだった。


「いや! 別に某はロリコンではないでゴザルよニンニン!」

 ろくでもない疑惑をかけられた忍蔵が、慌てて否定する。


「とにかく! エリート官僚だかなんだか知らないでゴザルが、忍者が最強だという事を覚えておくがいいでゴザルよニンニンッ!」

 勝利を確信した忍蔵が、手負いの板垣を始末するべく刀を一閃した。


「「「グハァーッ!」」」

 しかし、忍蔵が斬ったのは板垣ではなく、その部下の男たちだった。


「だ……大丈夫ですか? ギルマス……?」

 身を挺して板垣を庇った男の一人が、口から血を流しながら彼に問いかける。


「なぜ、私を守ったっ!? 私は、あんなロリコンコスプレ忍者野郎にいいようにしてやられた負け犬だぞっ!」


「そんなの決まっているじゃあないですか……貴方がギルマスだからですよ……」

 板垣の質問に、部下の男がそう言って笑う。


「それは……どういう事だね?」

 だが、板垣には、その言葉の意味が分からなかった。


「何を訳の分からない事を言っているんだっ!? エリート官僚であるというだけが取り柄である癖に、この世界ではクソの役にも立たない私のようなエリート官僚の屑をなぜ守ったんだっ!?」


 子供の頃からエリートになる為に競争に競争を重ねて他人を蹴落として生きて来た板垣には、負け犬と化した自分を守る部下達の気持ちが全く理解出来なかった。  


「やめろ! 俺達はアンタが官僚だから付いてきたわけじゃねーッ!」

「!?」


「何故か本当にリアル官僚で、役所との取引に口利きしてくれたからでもねー!」

「!?」


「いつもオフ会で、とっておきのスナックに連れて行ってくれたからでもねェッ!」

「!?」

 身を挺して板垣を守った部下達が口々に妙なことを言い出した。


「では、なぜっ!? 利用価値がなくなったこの私を、諸君らが身を挺して守る理由とは一体何なんだッ!?」

 全てが損得で動くシビアでドライな世界で生きて来た板垣には、部下達が何を言おうとしているのかがまったく理解出来ない。


「アンタがエリート官僚だから、守ったんじゃねー!」

「アンタがいつもおごってくれるから、守ったんじゃねー!」

「アンタがエリートだろうが無職童貞だろうがなんだろうが、そんなの関係ねー!」


「「「アンタが、他でもない『俺達のギルマス』だから守ったんだッ!」」」


 瞬間、全てを理解した板垣の目から熱い涙があふれ出た。


「あたし……あたし、本当は怖かったのっ! エリート官僚って言う取り柄しかないダメな子だからっ! 肩書を振りかざして虚勢を張る事でしか自分を表現できなくて……だから、だから、あたし、強がっちゃってっ!」


「「「ギルマスッ!」」」

 板垣の氷に閉ざされていた本心を初めて聞いたギルメン達も、思わずもらい泣き。 


「やっと、やっと素直になれた……。友すら蹴落とさねばならぬ受験戦争、謀略で彩られた血で血を洗う出世競争……血塗られたエリート街道を歩む中、いつしか私は他人を信じる事が出来なくなっていた。そんな時に君たちに――」


「ごちゃごちゃうっせええええええええええええええええええええええーっ!」


 突然現れたさくにゃんが、語りに入った板垣もろとも全てをなぎ倒した!

 

「お、お静まりくださいっ! 熟女様っ!」

 荒ぶるさくにゃんを板垣が必死になだめる。


「熟女じゃねーっつてんだろッ!」

 しかし、言葉のチョイスを間違ったせいで、ぶっ飛ばされてしまった。


「ひでぶ!」

 忍蔵の攻撃をことごとく防いだ板垣の魔法のバリアだったが、さくにゃんの攻撃の前には、ティッシュ以下の紙装甲にすぎなかった。


「こ、こんな気合の入った熟女の手で殺されるのならば……この板垣進助! 死も本望なりッ! この私をピリオドの向こう側に連れていってくれぇーッ!」

 どんな立派な肩書を持っていても、どんなに仲間の信頼を集めていようとも、板垣はやはり頭がおかしい変態だった。


「しつけーぞ、クソ眼鏡オヤジッ! 熟女じゃねーつってんだろがッ! ラブリー虐殺真拳奥義・ラブリー百裂拳ッ!」

 熟女扱いされてブチキレるさくにゃんの打撃のラッシュが、板垣に襲いかかる!


「板垣死すとも、熟女は死せずゥゥゥーッ!」

 さくにゃんのラッシュを喰らってHPがゼロになった板垣が、何故か爆散した。 


「「「ギルマスうううううううううううーッ!」」」

 板垣の爆発に巻き込まれた部下達が、絶叫を上げてどこかにぶっ飛んでいく。


「なんじゃこりゃこりゃー!? 奇想天外、予想不可能、意味不明ッ! 番狂わせに次ぐ番狂わせッ! 注目選手たちが、さくにゃんと言う暴力の化身にぼろ雑巾のように始末されていくーッ!」


「ここはもう闘技場じゃないにゃん……奴の処刑場だにゃんっ!」

 誰にも止められない暴走をするさくにゃんには、みこも重兵衛もガクブルが止まらない。

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