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勇者ゲーム ~ネトゲ廃人共、チート無双で異世界救ってこい!~  作者: ミネルヴァ日月
第四章 さんざめけ☆めけ! 勇者だヨ全員集合! 天下一武闘会!
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第11話 話は全て聞かせて貰ったわっ☆

「なんて奴だ! 最初から私達が逃げられない様にしつつ、強制参加に失敗しても我々の力を削ぐつもりだったのかっ!」

「このガキ! アホ面の癖に、ホント悪知恵だけは回りやがるわっ!」


 真太郎の魂胆を知った紅とテンテンが、揃って毒づく。


「お二人とも、やめて下さいよ、褒めたって何も出ませんよ? いずれにせよ、戦いになるのならば早い方がいい。今なら『ゲームのイベントでした~☆』とか言って、この作戦の失敗を誤魔化す事も十分に可能だろうしね」


「さっきから聞いていれば、無茶苦茶ですわっ! 真太郎さんのお話は全て、妄想に満ちた暴論じゃないっ!」

 ヒスってはいるが正気を保っているエリーゼが、真太郎に勢いよく食ってかかる。 


「そうかもしれませんね。つーか、さっきからずっと言ってますけど、俺に文句があるのならば、バトロワで勝ってからにして下さい」

「わたくしの様な非力な女に、戦う事など出来る訳がないでしょうっ!」


「何をおっしゃるやら。この街の三大ギルド『ポム・アンプワゾネ』のギルドマスターであるエリーゼさんには、その力が十二分にあるでしょう? 今の貴女は、『麗しの女子大生』鳳凰院恵璃華ではなく、『麗しの戦乙女』エリーゼなんですよ?」


 真太郎はそう言うと、バトルドレスを着て帯剣しているエリーゼを指さした。

 

「敗者は勝者の言う事をなんでも聞く――それが、このバトルロイヤルの参加条件。逆に言えば――勝者は敗者になんでも言う事を聞かせる事が出来る。だから、このバトルロイヤルでエリーゼさんが勝って、理想の民主主義国家でも女の子だけ集めた乙女の園でも、なんでも作ればいいじゃない」


 真太郎が「YOUやっちゃいなよ!」みたいな感じの事を言う。


「貴方、いい加減になさいっ! わたくしをおちょくっているのっ!?」

 エリーゼがキレるなり、何故か真太郎もキレた。


「なんなの、さっきから反対ばっかりして? ミッション系お嬢様学校の人って、野蛮な事を見下すけど、なんなの? アウグスティヌスの肉体軽視とエデンの園を追い出された罰としての労働は悪みたいな価値観が、バトルロイヤルに拒絶感を抱かせるの? 俺、聖書に書いてない事を人間が勝手に解釈するの良くないと思うよ。それって聖書を疑う事、ひいては神への叛逆だよね?」


「くぅ! 無駄に神学に対して知識がある所が腹立たしいですわっ!」


「まぁ、信仰は人それぞれですけど、ここは政教分離って感じで、素直に参加してほしんですけど?」

 エリーゼの相手をするのが面倒になって来た真太郎が、超雑に彼女を誘う。


「んもう! アナタでは話になりませんわっ! なつきさんっ!」


「え? ボクかい?」

 突然、矛先を向けられたアダーが、俄かに戸惑う。


「なんで、真太郎さんみたいな人に好き勝手させているのかしらっ!? 貴女の教え子でしょう、しっかり躾けなければダメじゃないのっ!」

「なんだよ、話を変な方向に逸らすなよなぁ。ボクらに言葉で勝てないと思って、話を逸らしているんだろ? そういうのは、みっともないから止めてよね」


「ち、違いますわっ!」

 図星だったのか、エリーゼが目見えて狼狽する。


「恵璃華。人は自分が何かを出来ないと、他人にも出来ないと言いたがるものだが、そういう低次元な事は止めてくれ。いいかい? 何かが欲しければ、死に物狂いでそれを掴み取れ。キミに言いたいことは、それだけだ。もう話す事は何も無いよ」

 

 分からず屋なエリーゼに見切りをつけたアダーが、一方的に話を打ち切る。


「なんですって!? 一方的に話を打ち切るなんて、小学生みたいな事をしないでくださいましっ!」


「おいおい、小学生なのはキミの方だろう? ボクは、誰とでも仲良くしなければいけないだなんていう、小学生みたいなメンタリティーは持ちあわせてはいないよ。キミの言う事を聞いていたら、この街の全員に話を聞いて回らなければならないじゃあないか。生憎だが、ボクにそんな時間は無いんだ」


「わたくしは、『批判に耳を傾け、多様な意見を受けれなさい』と言っているのですわっ!」

 優等生なエリーゼが、ひねくれた事を言うアダーにずいと迫る。


「おこがましい奴だなぁ。さも普遍的に聞こえる意見に、自分の我儘を塗り込めるとは、恥知らずぶりが常軌を逸しているぞ? 批判にも耳を傾けないといけない、なんて馬鹿みたいな事をしたり顔で言うんじゃあない。それってつまり、『正しいわたくしの言う事を聞け!』って事だろ? なら、最初からそう言いなよ。まるで、ボクが分からず屋みたいな印象を与えるつまんない詭弁を弄してムカつくなぁ。自分こそが正義だと勘違いしている品性は、下劣だぞ」


 親友のエリーゼが相手だからなのか、アダーはいつになく口が悪かった。


「ぐぬぬ! こういう時の貴女って、本当に腹立たしい顔をしますわねっ!」

 アダーにやり込められ続けるエリーゼが、悔しそうに地団太を踏む。


「いい加減にお黙らっしゃい! わたくし達は、詭弁を弄して自らは矢面に立たないなんて恥知らずなマネはしておりません事よ! わたくし達は自ら戦場に立つと言っているのよ、筋は通っていますわっ! 何がそんなに気に喰わないのかしら!?」


 ぐだぐだとつっかかり続けるエリーゼにキレた真太郎が、思わず真太郎お嬢様に豹変する。


「貴女はバトルロイヤルにも話し合いにも参加しないで、ただ横からギャーギャー喚きたてているだけじゃない! どちらにも参加しないのならば、黙っていらっしゃい! 思い通りにいかないからって、なんでもかんでも文句をつけるなんて、性根が腐ったお嬢様、いいえ、アバズレですわっ! いい加減にお黙りなさいッ!」


「またその妙なしゃべり方ですのっ! 貴方こそ、いい加減にお黙りなさいっ!」


「お黙らっしゃい! もう貴女とお話しする事はありませんわ。ご機嫌ようっ!」

 真太郎はエリーゼとの会話を一方的に打ち切ると、最後に残った板垣に話を振った。


「と言う訳で、最後になりましたが、板垣さん。貴方はどうします?」

 答えは決まりきっているとでも言わんばかりの態度の真太郎が、板垣を見る。


「シンタロー君達の話は、実に面白い」

 すると、板垣がおもむろに眼鏡の位置を直した。


「だが、実に馬鹿げている。君達のやり方で、民衆がまとまるとは思えないね」

 真太郎の思惑から外れ、板垣が思いがけない事を言い出した。


「戦いで事を収めたければ、君達だけで勝手にやりたまえ。勿論、私達はいかなる妨害行為もしない。だが同時に、我々に対するいかなる敵対行為も許さない。我々はこの件に対しては、不可侵とさせてもらうよ」


 意外。板垣が乗ってこない。


(ま、冷静に頭が回れば、そう簡単に乗ってくる訳はないんだよな~。つか、先に釘刺されたから、他の連中みたいに詭弁で丸め込めなくなっちまったなぁ……)  今までの連中とは少々勝手が違う板垣に対して、やり辛さを覚える真太郎だった。


(しかし、マズいな。ここで三大ギルドを引き込めないと、後々、敵対勢力が出来てしまう。エリーゼさんはどうでもいいとして、板垣さんは敵にすると厄介だ。勇ゲー史上、最も醜い泥試合となった最低最悪のギルド戦争『ロリor熟女どっちが好きなの、はっきりしなさいっ! 死の一年戦争』をここでも繰り返す訳にはいない!)

 

 ゲーム時代に板垣が引き起こしたろくでもない戦争を思い出した真太郎が、内心結構焦る。


「板垣さん。ここまで来てそれはあんまりじゃあないですか? 散々ボクらの方策にケチをつけて、最後にそれでは、ただ嫌がらせに来たとしか思えませんよ?」

 板垣の我関せずな態度に機嫌を損ねたアダーが、少し強めにたしなめる。


「アダー君。君はきっと今まで、その美しさと賢さを使って、人生を苦も無く渡って来たのだろうね。だが、私にとって君は、性欲が湧かない上にいけ好かない小賢しい小娘に過ぎない。よって、話を聞く価値なし」


「はぁ? 何の話ですか?」

 急に訳の分からない事を言い始めた板垣に、アダーは困惑した。


「この私が、この世の全ての女性に言いたいのは、男に自分の意見を押し付けたいのならば、万の言葉で思いのたけをぶつけるよりも、黙っておっぱいを押し付けた方がはるかに解決が早い、という事なのだよ」


「い……板垣さん、貴方は一体何が言いたいんです?」

 要領を得ないというか、『何言ってんだこのおっさん!?』的な言葉を連ねる板垣に対して、アダーは良く分からない恐怖を抱き始めた。


「アダー君の語る言葉に価値は無く、君に押し付ける胸は無い。よって君は、この私を説得する事は決して出来ないという事だよ。この私に話を聞いて欲しければ、熟女の一人ぐらい連れ来るべきだったな」


 板垣はビックリするぐらい冷静にとち狂った言うと、戸惑うアダーを一蹴した。


(な、なんて馬鹿なんだ……! いや、やはり官僚という事で、賄賂と接待慣れしているから、タダでは話を聞いてはくれないという事なのか? しかし、それより気になるのは、貧乳を指摘されて落ち込んでいるなつき先生っ!)


 色んなものに注意を引かれたせいで、真太郎は少し混乱していた。 


「い……意味が分からないぞ。真太郎、板垣さんは一体何を言っているんだ……?」

「多分、なつき先生が貧乳だから話を聞きたくないって言ってるんでしょう」


「このボクが貧乳だとっ!?」

 胸に対して密かにコンプレックスを抱いているアダーが、人知れず動揺する。


「奴は年季の入ったおっさん、しかも無駄に社会的地位がある。セクハラ攻撃は得意中の得意です。思わぬ方向からの攻撃に動揺している場合ではないですよ」

 混乱しつつもアシスタントとしての仕事は、きっちりと果たす真面目な真太郎だった。


「それより問題は、板垣さんをどう丸め込むか――」

 

 すると突然、開かないはずの入り口のドアが乱暴に蹴り開けられた。


「話は全て聞かせて貰ったわっ☆」

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