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第33話 ガクブル! 虐殺の嵐を巻き起こすアラフォー!

「アラフォー女子は、ババアじゃないよっ! あっ、あたしは十七歳だから、ちっとも関係ないけどねっ☆」

 インヤン飯店の戦闘員を三秒で撃滅させた魔法少女のなりをした女が、アラフォーな見た目にそぐわない可愛げなロリボイスを出してぶりっ子ぶる。


「なんなのよ、アイツッ!? うちの手練れを始末するなんて、バケモンじゃないっ!」

 一瞬でギルメンを全滅させられたテンテンが、恐怖と驚きに支配され、手を小刻みに震わせる。


「クソがっ! この化け物ババア、調子のんじゃないわよっ!」

 しかし、すぐさま仲間達の仇を討つべく、袖から霊符を取り出して戦闘態勢に入った。


「テンテン、止めるんだっ! どう見ても勝ち目がない、下手に刺激するんじゃあないっ!」

 テンテンが向こう見ずに突っ走るなり、アダーが慌ててテンテンを止める。


「知らないわよっ! 喧嘩売って来たのはあっちよっ!」

 しかし、完全に頭に血が上ってしまっているテンテンは聞く耳を持たなかった。

「そんな事はどうでもいい! とにかく落ち着くんだ! オリエンスの街は戦闘行為禁止区域だ。時間を稼げば、『秩序の守護者』が出て来るッ!」

 

 オリエンスの街の中で戦闘行為した場合、途端に街の治安維持システムである『秩序の守護者』出現して、該当者を捕縛し、牢屋に強制転移する仕様になっている。

「下手に戦闘になって、『秩序の守護者』を攻撃してしまうと、マズい事になる!」 

 この時、『秩序の守護者』に攻撃をすると、反逆だと見なされて、その場で粛清されてしまうのだ。

 冷静なアダーは、それを危惧してテンテンに制止を促した。


「こっちは、身内がやられてんのよッ! 他人は黙ってなさいッ! ババア、今ぶっ殺してやるから、そこで待ってなッ!」

 アダーの忠告を一蹴したテンテンが怒鳴るなり、上空のどこからともなく巨大な甲冑が四、五体現れた。

 大きな剣と盾で武装した中身が無いがらんどうの厳めしい甲冑は、ゲームに出て来る『秩序の守護者』に瓜二つだ。

 

「ほ……本物の『秩序の守護者』か……?」

 目の前の甲冑の群れが、ゲームに出て来る『秩序の守護者』にそっくりな事に刹那は驚きを隠せない。

「良かった。これで、あの怖い人もどっか行っちゃうよね」

 どう見ても強そうな『秩序の守護者』を見たみこが、ホッとした様子で胸を撫で下ろす。


『警告。非戦闘地域での戦闘行為は粛清対象になります』

 そんな彼女達の視線の先で、『秩序の守護者』が、インヤン飯店のギルメン五十人を虐殺した謎の女を取り押さえにかかる。


「良かった。どうやら、『秩序の守護者』は、ゲーム通りに動いてくれるみたいだね」

『秩序の守護者』が、ゲーム通りの働きをするのを目の当たりにしたアダーが、そう言って警戒心を解こうとする。


『警告。非戦闘地域での戦闘行為は粛清対象になります』

「うっせ」

『警告。非戦闘地域での戦闘行為――ガッ!?』


「だから、うっせーつってんでしょ!」

 謎の女がそう怒鳴って拳を振るうなり、『秩序の守護者』の一体がバラバラに弾け飛んだ。


「なつき先生ぇぇぇー! アイツは、討伐しに来た『秩序の守護者』を逆に討伐していますーッ!」

「なにぃぃぃー!?」

 真太郎の指摘に、アダーが驚くその一瞬の間に、『秩序の守護者』は謎の女の手によって一体残らず破壊し尽されてしまった。 


「良く分かんないロボットみたいなのをけしかけて来たみたいだけど、今のあたしは、ガ○ダムだってぶっ壊せるのよ?」

 女はそう言って不敵に笑うと、足元に転がっていた『秩序の守護者』の頭部を空き缶でも潰すかのように、グシャっと踏み潰した。 


「あ……ありえない……! 『秩序の守護者』は、ゲームの仕様上、誰にも破壊する事は出来ないんだぞ……っ!」 

 ゲームの仕様上有りえない行為を行った謎の女に、刹那が言い知れぬ恐怖を覚えて小さい体をガクガクと震わせる。

 

「おい! そこのクソ眼鏡! 誰がババアよっ! テメー、なんの為に眼鏡かけてんだよっ! なんにも見えてないじゃないっ!」

 一瞬でテンテンに肉薄した謎の女が、ピンクの髪の毛を逆立てて怒鳴り散らす。

「バ……ババア! アンタ、一体何なのよッ……!?」

 謎の女に胸倉を掴み上げられているテンテンが、絞り出すように声を漏らす。


「誰が、ババアだッ! 死ねッ!」

 刹那、謎の女が強烈な頭突きをテンテンに喰らわせた。

「グハッ!」


「このヤロー! 『どうもごめんなさい、世界一可愛いお嬢さん、粋がってババアなんて暴言吐いてすみません、死んでお詫びします』って言えィーッ!」

 謎の女は、頭突き一発でテンテンのHPの半分を削り取ると、完全にイっちゃってる言動を繰り出した。


「た……たすけて……!」

 眼鏡を粉砕され、命まで粉砕され様としているテンテンが、痛みで動かない口を必死に動かして命乞いをする。


「あん? なにそれ、命乞い? あたし、そんな風に謝れって言ったっけ?」

 女が不満げにそう言うなり、テンテンが慌てて言い直す。


「ど……どうもごめんなさ……い、せ……世界一可愛い……」

「ダメよ。あんたは、決して言ってはいけない事を言ってしまった。今更、謝ったってダメ。絶対許さない。殺す」

 自分から謝れと言っておいて、いざ謝られたら許さない殺す、などと完全にサイコな事を言い出した女が、テンテンを殺すべく拳を握りしめた。 


「それ以上やったら、死んでしまうでござるよッ! 今すぐに、彼女から手を放すでござるッ!」

 謎の女がテンテンを殺そうとする寸前で、復活したイナバが止めに入った。


「断る。何故に、頭脳明晰、容姿端麗、運動神経バッチグーでお肌もピチピチのこのあたしが、貴様の様な薄汚いキモオタの言う事を聞かねばいけないのかしら?」

 女は冷たくそう言ってイナバを一蹴すると、テンテンを上空三十メートルぐらいまで蹴り上げた。


「ひぎゃあああああーっ!」


「んなッ!? そんな事をしたら死んでしまうでござるよッ!」

 サッカーボールの様に蹴り飛ばされたテンテンを見て、義憤に駆られたイナバが刀を抜いて身構える。


「心配すんな、オメーもすぐに殺してやっからよっ❤」

 謎の女が、何を思ったか、魔法少女じみた超ラブリーな笑顔を浮かべて、イナバに殺人宣言をした。

 

 次の瞬間、イナバが蹴り飛ばされ、見えない位空高く吹っ飛んで行った。

「ござあああぁぁぁーっ!」

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