卒業オメデトウ
連載作品の息抜きに書いてみましたー!
どうぞご覧ください。
ここは静かだ。
何の物音もしない。
とても静かな空間だ。
「……はぁ」
前の人間が呼ばれてから、一体どれだけの時間が経ったか……。
「…………番号13番、○○さん」
「……! はい……」
一人、椅子に座って自分の順番を待っていた私は、ついに自分の名前を呼ばれて、ゆっくりと立ち上がった。
「(ああ……ついに、この時が来たか……)」
そんな事を思いながら、私はふと、自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。
見れば足も震えていた。
どうやら緊張してしまっているようだ。
「(情けない。何を今更……!)」
私はそう自分に喝を入れた。
それもそうだ。
いくら緊張していても、今更逃げることなど出来やしないのだから。
名前を呼ばれ、返事をし、立ち上がった以上はもう遅い。
私はやるべきことをやらねばならないのだ。
覚悟をするしかない。
「よし……!」
私はすぐに意を決した。
前方に、壇上へ繋がる長い階段が見える。
私は真っ直ぐそこへ向かって歩きだした。
そうしてしばらく……。
ついに私は目前に迫ってきた階段に足をかけた。
スーッと深く息を吸い込む。
そうしてから私は一歩ずつ慎重に、ゆっくりとその階段を上っていった。
(1……2……3……)
コツコツと、無機質な音が辺りに響いていく。
(4……5……6……)
「…………ハハ」
私は力無く微笑んだ。
(7……8……9……)
思えば……実に長かったような短かったような、不思議な感覚だ。
ここ数年、色々あった。
(10……11……12……)
楽しいことも、辛いことも、悲しいことも……。
本当に色々と……。
だが、しかし……。
それも今日で終わりだ。
全て、終わりなのだ。
(13)
そして……。
私は階段を登りきり、静かに壇上に立った。
その時、
「(……なん、だ……?)」
突如として視界が歪んだ。
私は反射的に自分の手で目を擦った。
「……ぁ」
その手は濡れていた。
「(そうか……)」
私は納得した。
気付けば私は、泣いていたのだ。
「……はぁ」
私は深く溜め息をついた。
……本当にもうお別れなのだ。
ここから私は旅立って行くのだ。
「さようなら……」
私は小さくそう呟くと、そっと……目を閉じた。
そして……。
---数秒後---
――ガコンッ!
そんな音と共に、床が消えた。
私は……卒業したのだ。
――”この世”から。




