表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

卒業オメデトウ

作者: 夜長月虹
掲載日:2014/09/02

連載作品の息抜きに書いてみましたー!

どうぞご覧ください。

ここは静かだ。

何の物音もしない。

とても静かな空間だ。




「……はぁ」


前の人間が呼ばれてから、一体どれだけの時間が経ったか……。


「…………番号13番、○○さん」

「……! はい……」


一人、椅子に座って自分の順番を待っていた私は、ついに自分の名前を呼ばれて、ゆっくりと立ち上がった。


「(ああ……ついに、この時が来たか……)」


そんな事を思いながら、私はふと、自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。

見れば足も震えていた。

どうやら緊張してしまっているようだ。


「(情けない。何を今更……!)」


私はそう自分に喝を入れた。

それもそうだ。

いくら緊張していても、今更逃げることなど出来やしないのだから。

名前を呼ばれ、返事をし、立ち上がった以上はもう遅い。

私はやるべきことをやらねばならないのだ。

覚悟をするしかない。


「よし……!」


私はすぐに意を決した。


前方に、壇上へ繋がる長い階段が見える。

私は真っ直ぐそこへ向かって歩きだした。


そうしてしばらく……。

ついに私は目前に迫ってきた階段に足をかけた。


スーッと深く息を吸い込む。

そうしてから私は一歩ずつ慎重に、ゆっくりとその階段を上っていった。


(1……2……3……)


コツコツと、無機質な音が辺りに響いていく。


(4……5……6……)


「…………ハハ」


私は力無く微笑んだ。


(7……8……9……)


思えば……実に長かったような短かったような、不思議な感覚だ。

ここ数年、色々あった。


(10……11……12……)


楽しいことも、辛いことも、悲しいことも……。

本当に色々と……。


だが、しかし……。

それも今日で終わりだ。

全て、終わりなのだ。


(13)


そして……。

私は階段を登りきり、静かに壇上に立った。

その時、


「(……なん、だ……?)」


突如として視界が歪んだ。

私は反射的に自分の手で目を擦った。


「……ぁ」


その手は濡れていた。


「(そうか……)」


私は納得した。

気付けば私は、泣いていたのだ。


「……はぁ」


私は深く溜め息をついた。




……本当にもうお別れなのだ。

ここから私は旅立って行くのだ。


「さようなら……」


私は小さくそう呟くと、そっと……目を閉じた。

そして……。



---数秒後---



――ガコンッ!


そんな音と共に、床が消えた。

私は……卒業したのだ。

――”この世”から。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 卒業・・・そういうことですか。 最後の部分を読んだとき、ハッとしてしまいました。今でも心臓がどきどきしています。 シンプルだけど悲しい。それでも、素晴らしいお話でした。
2014/10/04 10:36 退会済み
管理
[良い点] 頭の中に物語の情景が鮮明に浮かんできます。内容も素晴らしい物があり、とても勉強になります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ