プロローグ
本日の投稿はプロローグ、1話目、2話目の全3本です。
VR技術という物が初めてこの世に生まれたのは軍事、そして医療の分野だった。
兵士の育成や体の不自由な人々への補助、新たな可能性としてこの世に生を受けたVR技術は、この世初の汎用型コンピュータ『ENIAC』のようにとても巨大なもので、VR機器が家庭用として小型化されるまでには約十年の時を要した。
家庭用として開発、発売されたVR機器【ヴァーチャルプレイヤー】通称【VP】は世界初の家庭用VR機器でありながらその価格はちょっと高級なPCより少しばかり高い程度であり瞬く間に普及し、開発会社である当時は殆ど名も知られておらず弱小企業の一つだったアトモック社を世界規模の大会社に成長させるほどだった。
そしてVP発売から1年、他社からもVR機器の発売するという情報が出始めた頃、アトモック社は早くもVPの次世代機【ヴァーチャルプレイヤー2】の発売を発表。VPよりもより鮮明でリアルなヴァーチャルワールドを構築するこの機体にVP用ソフトとの互換性を持たせ、先代機であるVPと変わらぬ値段で、しかもVPの下取りを行うことを発表し他社のVR機器を置き去りに莫大な利益を上げることになる。
こうして世界中に改めてVP2が普及するのと同時に、アトモック社はVR技術を用いた初のMMORPGの発売を発表。今までオンラインゲームといえば格闘ゲームやレースゲームという一部のジャンルしか存在しなかったVPにとってその発表は衝撃的だった。
待望のVRMMORPGの登場にMMORPGプレイヤー達は歓喜し、発表されたVRMMORPG【only yggdrasil online】のβ版テストプレイヤーの募集には千人の募集に対して世界各国から殺到しその数億単位に達したという。
そして一ヶ月のβ版テスト期間が終了して二月。
遂に【only yggdrasil online】正式稼働の日がやってくる………………。