依頼-2-
最近、家族のと違う洗濯かごに、僕の服が入ってるよ。
なんで、一家全員僕に思春期女子の父への対応してるの?幼児退行プレイなの?悠は僕の娘になりたいの?
「依頼の内容はな」
部長はつらつらと話し始める。
いや、待って。
ここの変態共に、恋愛なんて、分かるはずないでしょ?
「…ということだ」
部長は、小さく息をつく。結構喋ってたもんなぁ。
それで、彼女の話をまとめると。
先程の女の子は、恋路京子。
僕と同じ2年生で、クラスも同じ。
凛とした雰囲気を持つ、可愛い娘だ。僕の予想じゃ、ツンデレ。
後ろで髪を纏めていて、制服の襟口からうなじを覗かせる、割と巨乳な娘。
うなじ、いいよね。うなじ、最高だよね。
で、相談内容は、恋愛相談。
何でも、1年生の頃から好きで、最近は見かけるだけでドキドキが止まらなくなるそうだ。
それは、病気です。病院行きなさい。
でも、本人が言うところによると、恋の病だそうだ。
病気なら、もちっと弱々しいところを見せて欲しかった。絶対可愛いのに。
そして、その恋の病が、恋路さんの胸を締め付けて、苦しいそうです。
どうにかしてください。
みたいな相談。ちなみに好きな人っていうのは同学年の錦滓君。
文武両道、容姿端麗。皆から好かれ、優しく。芯のある人間らしい。
ちなみに、錦滓の対義語は横島宗らしい。
らしいらしい。らしいを使わないと確定になっちゃうからね。
「というか、あんなでかい乙胸(前話参照)のどこが締め付けられているんだ。ブラのカップの問題なんじゃないかな?」
「横島君は、今日も変わらず変態ですねぇ」
三富士が怠そうな声を上げる。怠いなら、わざわざ変態言わないで欲しい。
「とりあえず、今は黒井に、錦滓のことを調べさせているから、お前らはもう帰っていいぞ」
部長の一声で、今日の相談部は解散となった。
帰り道。
僕はいつも通り、一人で寂しく帰っていました。
実際、僕に同学年の友達なんて居ないからね。
悠だって直ぐ帰っちゃうから、いつも一人になるわけです。
「はぁ…」
僕が憂鬱な考えを張り巡らしていると、目の前に見覚えのある顔を見つけた。
「あ…錦君だ」
先程、部長に顔写真を見せられた錦滓くんである。
そして、その錦君の隣には、女の子が一人……。
モテモテな錦君の隣を歩ける人って、つまり。
「あれ?じゃあ、隣を歩いている子って、彼女?」
よく見ると、綺麗な人だし、多分彼女だろう。うん。
展開早いなぁ。もう解決しそうだよ。
「――これで、相談終了なのかな」
だって、錦君には彼女がいたわけだし。
恋路さんには残念だけど、仕方ないよね。さすがに彼女持ちの男を、攻略するなんて、できないでしょ。錦君の彼女さんが、寝取られ趣味なら、一概にそうは言えないけどさ。
となると、相談部は、恋路さんを慰めるのかな?
…
…
…
。
いや、無理だろ。
あの変態たちにそんなこと出来たら、そもそもまず変態じゃない。
どちらかというと、
錦君と、あの女の人を別れさせるだろう。
「あぁ、もう!!悠を抱きしめたい!!」
むしゃくしゃするので、早く家に帰って、可愛い可愛い悠を抱きしめよう。
従姉妹パワー充電しよう。
そうと決まったら、ダッシュだ。
僕は、従姉弟が大好きだ!!
家に帰ったら、
『宗へ
私達三人は、ちょっと旅行に行ってきます。
別に宗をのけ者にしたわけじゃないです。
ただ、一家で一番信頼できる宗に留守番を頼むことに決めました。
お土産も買ったら、宗が悔しい思いをするので、買ってきません。
三日ほどしたら帰りますので、それまで、どうにか過ごしてください。
PS、
宗も、旅行に行くといいと思います。
外を知り、早く巣立ちしてくださいね。期待しています。
母さんより』
なんて手紙が、玄関の前に置いてあった。
ばかやろう。泣くぞ。