日曜日っ!-2-
日本円の五百円を取りに家に帰ると、リビングでは両親と悠が話していた。どうやら僕の話らしい。
「あの、、宗の事なんだけど…」
声質的に母さんかな?これは。
僕はリビングの扉に掛けていた手を外し、代わりに耳を寄せる。昔、悠の部屋を盗聴−もとい、兄として(従兄弟として?)悠の生活管理する時に用いた手段だ。
機械を買うより断然安いし、扉越しとはいえ、生で聞こえるのが強みだ。…だが、親に見つかると死にたくなるし、殺されるから最近止めた。
「宗か…。アレは、、、」
お次は父さんの声だ。
なんだ?この両親は2人とも僕をアレ呼ばわりしてるのか。
「はじ兄がどうかしたの?」
「あぁ、、悠。……変に思わないか、宗の事」
「変?」
「変、態とかさ…」
ちょっ、直球すぎるよ、父さん!!
なんで肉親にまで変態呼ばわりされないといけないんだ!!
「うん、そうだね」
って、悠!?あっさりすぎない!?
「やっぱり悠も、そう思ってるわよね!!…どうしようかしら」
「アレには彼女とか出来るだろうか…」
「はじ兄に、彼女?…できないよ!!うん」
悠がさっきから僕にキツいのは、なぜなんだろうか。実は嫌われてるんだろうか、僕。
「どうにか治らないだろうか、アレ」
僕は病気じゃないよ、父さん!!
「…無理よ。保育園の頃から変態だったもの」
保育士の胸を見ようとするのは、当たり前だろ?それを言動に表したかどうかだよね。
結局皆変態だよね。
「というか、いい加減に僕入らないと、明日から顔あわせにくくなっちゃう…」
−こうも変態変態言われると、ね。
僕は扉から耳を離して、リビングに入る。
その時の三人の視線が、妙に身に染みたことは、言うまでもない。
「はじ兄、入るよー?」
コンコン、というノックの音と共に悠が部屋に入ってきた。
こういうのは、ちゃんと返事を待ってから、入ってくるべきだと思う。まぁ、どうでもいいことなんだけど。
「んー?どうかした?」
「いやさ、昨日、帰り一緒じゃなかったじゃない?」
−−あぁ、そうそう。僕と悠は中学の時から、一緒に登下校してるのだ。
まぁ、仲いいし(重要)一緒の家だし(重要)学校も、学年が違うだけで同じだし(重要)
「あぁ…うん」
だが、昨日は『相談部』云々で、帰る時間帯がずれてしまったわけだ。
いや、しかしだな!!生ブルマを見るだなんてイベント、見逃せるわけないじゃないか!!
「ブル……部活だったんだ」
先程、変態変態言われていたので、ブルマとは言わないが。
すると悠は、
「はじ兄が部活…?うー」
と、唸って、その姿が可愛い!!この仕草だけで、アルバム一冊はいける!!
「はじ兄…、部活ってなに?」
「相談部って知ってる?」
悠の問いに、僕が『相談部』と言った途端、彼女は納得したように首肯した。
え、なにその反応?
「悠…?相談部って有名なの?」
恐る恐る聞いてみる。
なにせ僕は、一回も聞いたことない部活だったから、実際どんなところか知らないのだ。
よくそんなとこ入ったな、とか言わないで欲しい。
−−そして彼女は、僕の問いに、
「相談部はね。別名、変態部って言われてて、変態の隔離病棟みたいなとこなんだ」
僕は初めて、ブルマを恨んだ。