従兄妹っていう関係がいいと思う
夏休み。
これほど、青春真っ只中の学生の心を震わせる言葉はないと思う。
それは僕、横島宗にも言えることで、僕はとても今幸福を感じていた。
夏休み。部活もない。じゃあ、何をするか。
当然、家で休むとなる。
夏休みという熟語にも入ってるように、この長い長い期間は休むために作られた期間だということを忘れてはならない。だから、例外なく僕もその休むという行為に準じよう。
夏休みといっても親は社会人。両親共働きなうちは、夏休みであっても、親が家にいることはない。
僕は家。親は外。
この二つから導き出される方程式。
つまり、この夏休み、僕の可愛い可愛い従妹、横島悠と僕は合法的に戯れることができるのだ。
「悠。もう12時だよ。そろそろ起きて」
僕の朝は早い。夏休みだからと言って僕は夜更かしはしないタイプなんだ。
夜更かししていいことはない。肌荒れ、夜食による肥満、日光を浴びられないことからくるストレス。
もともと夜型じゃないのなら夜更かしなんてやめた方がいい。
って、そんなことはどうでもいい。僕が朝型な理由は悠の寝顔が見たいってだけだしね。
長期休暇になると一気に夜更かしする悠は、ほっとくと3時くらいまで寝てるので、こうして僕が起こすことが、ある程度の効果を発揮する。
「うーん……」
悠がうめき声をあげる。もとから起きるのが苦手な悠は徐々に徐々に起こしていかないと完璧には起きない。そういうところがまた可愛いんだよなぁ。
――しかし、臍が丸見えになるくらいパジャマがめくれあがってるのは、これはどうしたものか。
白い肌。触ればまるで赤子の肌のようにすべすべしてそうなソレを、いくら親族とはいえ無防備に男に見せつけるのはどうなのだろう。まぁ、そう気を使わないところが悠の美点であって、欠点でもあるのだけれど。
扇風機が回る悠の部屋。いくら、夏でも腹を出して寝ていては風邪をひいてしまう。僕は基本的に風邪なんか引かないんだけど、悠は割と体が弱いからすぐに風邪をひいてしまったりする。
だから、ここで僕が悠のパジャマをちゃんとしたまで下げることは、とても有意義で、褒められるべき所業であろう。
さぁ、そうときまればいざ実行!偉い人は言いました、思い立ったが吉日と。
あぁ、やばい。手が震える。今僕は人類が月面着陸したとき位の興奮を覚えている。
あ、少し悠のお腹に触ってしまった。なんてすべすべしているんだ!何時間でも触っていたくなるお腹だよ!ほんとに。
――だが、僕のそんな幸福な時間は、5秒と続かなかった。
「ぅん…………、……あれ?はじ兄?おは、、、、、、よ、、、、、、う?」
いいながら下に流れていく悠の視線。その先には僕の手のひらがジャストミート!。しかも悠のパジャマという装備付きの。
何秒かの沈黙。これほど無機質な沈黙というものがこの世にあったのか。
そして、悠が状況を理解する。同時に赤くなっていく悠の顔。さらに展開される悠の一撃必殺アーム。いくら女の子でもグーの拳で本気で殴ったら、当たり前だが痛い。
悠に殴ってもらえるだなんて、そんなのご褒美以外の何物でもないけど、兄のような立場にいる身としては、ここで殴られるのはとても、情けないし、威厳とかそういうのがさ、ほら。
そうだ、考えろ横島宗。あそこにセットされたテポ○ンミサイルのごときチョキ――え?悠さん。それ思いっきり目を……。
悠の人差し指と、中指に眼球タッチ、その対価として失明。
迷うところだけど、僕にはまだ見たい景色がある。プールに行ってない!
これは絶対に食らうわけにはいかない。夏休むためのアレを見ていないのだから!
おもいだせ。そして、考えろ。複製だ。神も言ってるじゃないか、右の頬を殴られたら、左の頬も差し出しなさいと。あ、だめだ、僕が知ってる神はドMだった!!
神様!!いくらでも十字を切りますから!だからこの私に救いを!
……お?聞こえるぞ。低い男の人の声が!
「神は言っている……」
なんだなんだ。最近まで幽霊すら信じてなかった僕だけど、神はやっぱり僕を見捨ててなんか――
「……ここで死ぬ定めと」
いた!!思いっきり見捨ててた!!イー○ック!!一番いい装備で頼んだのに!そんな装備で大丈夫か?大丈夫じゃない!問題だ!
畜生。僕を見ている神様はニコ○コ動画から愛されている神だった。そんな神様に見られるくらいなら、マ○ア様に見ていてほしかった。
こうなったら自分で考えるしかない。そうだ、ラノベとかこういう展開多いじゃないか。今まで僕は何冊読んできているんだ。
リアルな生活にラノベの展開が起っちゃう僕って素敵。さぁ、思い出せ、横島。お前はやればできる。
「あ、あれだよ、悠。いまのは不可抗力っていうか、なんというか」
「馬鹿なの?死ぬの?」
どうやら失敗だったみたいだ。――いや!そうだ。僕たちは親族だしそういう感じの方向から攻めれば、
「悠、僕たち従兄妹じゃないか。そんな、肌を見られたくらいで怒んないでよ。僕だって、今悠に全裸になれって言われたらすぐさま脱ぐよ?」
「じゃあ、はじ兄、今日一日全裸ね」
「まじですか」
「真剣とかいてマジと呼びます」
まさか、従妹から一日全裸を強制されるとは思ってなかった。僕、興奮してきちゃったよ。
「はぁはぁ。ぬぐよお譲ちゃん。ほうらよく見るん――」
「はじ兄、お昼は?」
「ボロネーゼ。じゃあ、顔洗ってきなよ。温めなおしとくから」
「うん」
そういって悠は、あくびをしながら部屋を出て行った。さて僕も、昼を出しとかないとね。
僕は、ずりおとしたズボンを持ち上げて、リビングへ向かった。
さくしゃのあとがき
更新してませんでした。すいません
さて、綿貫くんの話も終わり、横島達の自由な夏休みです。今回、次回さらに次回、そこからまた次回されどまたじか(略)。たぶん悠との戯れですね。いや、悠とだけじゃなく、ほかの部員ともからまっせたりしますけど。
次回の更新の目標は明後日までです。
まぁ、作者も夏休みなのでできるでしょう。
ではまた。