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綿貫浩二

今日はいい天気だ。

余談だが、雲一つ無い空をいい天気という人間がいるが、僕はそう思わない。

真っ青に澄み渡った青空というのは、なんとも寂しいし、つまらないし。

飛行機雲とかって、結構青春な気がするんだ。青春してる奴らの頭上には、必ず飛行機雲があるよね。

だから、今日はいい天気だ。

雲がいくつか点在して、白と青が爽やかなコントラストを描いていて、もの凄くいい天気だ。

こういう、いい天気な時、ただ生きているだけで幸せな気分になれる。

そういう天気が似合う、夏が僕は大好きだ。

すく水。

競泳用水着。

半袖から見える二の腕。

いつもの僕ならこの辺の魅力をつらつらと語るだろうけど、今回は本当に、幸せなんだ。

だから、今日はいい天気だ。







なーんて、現実逃避をしてみたが、実際今僕は幸せじゃない。

なぜだって?

聞いて驚くなよ?

実は――

「横島。頼む。助けてくれ」

「なんで相談してくんだよぉぉぉおお!!」

夏休み少し前。

僕は部室の窓から、全力で叫んでいた。






綿貫浩二(わたぬきこうじ)。二年D組44番です」

綿貫と名乗った、黒髪で、どこにでも居そうな少年こそ、今回の相談者である。

彼は、応接室――カーテン部屋のソファに座り込み、話し始めた。

「俺の相談なんすけど」

「恋愛相談とかやめてね。誰か、というか僕が傷つくから」

もう女装でキスとか死ぬ。死んじゃうぅぅう。

「は?いや、違うけど。……つか、お前ら、錦に何したんだよ。最近学校にまた来始めたけど、明らかに女子を怖がってるんだが…」

そういえば、錦君てD組だったね。

そうかぁ、女の子が怖くなっちゃったかぁ。

僕とのキスで、男に目覚めちゃったのかな。

「まぁ、いいじゃないか?綿貫君」

黒井さんが笑いながら、話を促す。

その笑いはなんなんだ。喜んでんのか、困ってんのか…。

「でも…」

「君だって、相談しにきたんだろう?法元寺の息子、霊感が強いことから、幼い頃から幽霊が見えて、周囲の人間と幽霊の見分けがつかず友達が全く出来なかった事に悩む綿貫浩二君?」

べらべらと喋る黒井さん。

これは黒井さんにしかできない黙らせ方だけど、怖いなぁ。

見知らぬ人に自分の個人情報をべらべら喋られるのは、本当ホラー。

「は……はい」

その証拠に、綿貫君固まってるもんね。

「こほん。で、綿貫氏。君はなんの相談をしにきたんだ?」

部長が綿貫君にそう問いかける。こういう空気が凍った時の部長は、すごく便利だ。

まぁ、相談部なんてものの部長だもんなぁ。

――だが、彼の口から発せられた言葉は、最悪だった。

それは、黒以外の全ての色を抜かれたボールペンで、黒い線を引けと同じで。

それは、プッチンプリンをプッチンしないで食べろ、と同じで。

それは、ポカリスエットとアクエリアスを見抜け、と同じで。

不可能に近い可能な、相談。……うん、ごめん。後ろ二つは微妙だったね。

閑話休題。

そんな綿貫君の依頼。

それは、




「俺にとりついてる幽霊。成仏してくれないですかね」












さくしゃのあとがき

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