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相談部の日常―2―

「んーじゃあ黒井さんはどう思います?」

「なんのこと?」

「僕ですよ…。会話の流れを考えてください」

「ごめんごめん。そうだったね。そう、横島君をどう思ってるかって話だった」

「そうですよ。で、どうなんです?」

「そうだね――」




@黒井陽の場合

「うん。僕にとって君は、可愛い後輩ってところかな」

「性的な意味で?」

「違うよ!!なんでその流れで、セクハラするんだよ!!しかも君に!!」

黒井さんは、今日も変わらずツッコミを入れてくる。

こういう人はやっぱり大事だと思う。実際、ツッコミ上手なラノベの主人公多いし……って。

「黒井さん……まさか、僕から主人公の座を奪うつもり……?」

「はぁ?なんの話?」

「ふざけるな!!ツッコミが上手い奴が主人公のモノは全部ラブコメなんだよ!!」

「え?ちょっ、なんの話」

怖いわー。本当怖いわー。黒井さん主人公のラブコメなんて存在してほしくないわー。

「あ、でも、黒井さん、人の個人情報勝手に調べるし、ラブコメは無理か……はっ」

「なんか知らないけど、馬鹿にされたことだけはわかるなぁ…」

「じゃあ、もういいすよ。可愛い後輩(笑)ですね」

「笑い、は消そうよ……。なんで俺は、質問に答えただけでこんな目に合ってるんだ…」

黒井さんは、わざとらしくため息をつく。その顔には疲労の陰があった。

うーむ、さすがに遊びすぎたかな。

そんな黒井さんが見ていられなくなったので、この話を終わらせることにする。

「じゃあ、可愛い後輩()、と」

「なんで()だけ残したんだよ!!消せよ!!」








不二正義(ふじまさよし)の場合

「不二先輩は、僕のことどう思ってます?」

黒井さんに聞いた後、その対面のソファに座っていた不二先輩にも聞くことにした。

先輩は僕の問いに二秒程考える素振りをして――

「正義だな」

一言。そう答えた。

「正義、ですか?」

「あぁ。正義だ。お前は強い」

不二先輩は僕の眼をしっかり見据えながら、言葉を続ける。

「お前は俺の眼から目を離さない。それはつまり、自分に自信があるということだ」

先輩は僕から視線を外して、持っていた本に移す。

「『自信』がある奴は強い。なぜなら、常に自分が勝つイメージを持っているからだ」

「勝つって……なににです?」


全てだ。


彼は語る。

「いいか?勘違いしているかもしれないがな。正義とは勝つことだ。敗北したとき、それはもう正義じゃない。人に疎まれようと、崇められようと、敗けた人間は悪で、勝った人間は正義なんだ」

「いや…、僕だって敗けてますよ?社会的なんたらに」

「いいか?後輩。自分が敗けたと思った瞬間に、お前は負けるんだ。お前が勝つと思っている間は、お前は負けない」

「……」

「――もしお前が俺にとって、悪になったのならば、その時は、この不二正義が、お前を駆逐しよう。悪を狩るのが正義だからな」

「あー、どうせなら部長にやられたい」

いいなっぁ。げしげし背中を蹴られながら罵られたい。

「そういうことだ。お前は(おか)にとって悪だが、俺にとっては正義だ。なぜなら、お前は俺に駆逐――敗けるつもりはないからな」

先輩は満足そうに口を歪め、今度こそ本当に読書に戻った。

……とりあえず、理解できないことが理解できた。

不二先輩は、僕とは違う世界を見ているのだろう。いや、みているのだ。

僕は独りで納得して、不二先輩の横に座っている南先輩に聞くことにした。






夏貝南(かがいみなみ)の場合

「南先輩は僕のことどう思ってます?」

「……生きることに必死」

「え?なにその深そうな言葉。というか僕、罵られてる?南先輩に?」

やばい。興奮してきた。

「……あと、人間関係を気にする」

「僕友達居ないですよ?」

「……自分をどう思ってるか、なんて質問をすること自体が、それを証明してる」

…っ!!確かに。その指摘は的確かもしれない。

というか冷静になって考えると、『僕のことどう思ってますか』ってうざいな……!

『仕事と私。どっちが大事なの』と双璧をなしそうだ。

あ、ちなみに『仕事と私』を言われたら、

「そんなこと聞かせて御免な…」

って言いながら抱きしめるといいらしいよ。どうでもいいね。絶対聞かれることないもの、僕。

「すいません。キモイ質問してしまいました。僕、人間関係とか苦手で」

「……別にいい。気にしない」

畜生。ツンデレっつーかクーデレ萌える。

萌え死ぬ。

うぬぅううううううう。

「……私は、別に横島の事、嫌いじゃない」

うぬぅううううううう。

「もう結婚してください!なにこの生物!あざとい!!」

僕は泣きながらカーテンべやを飛び出す。

なぜかは分からないけど、とてもプライドが傷ついた。






全力疾走で、家に帰った。

「僕って、人付き合い下手だなぁ」

一人、ため息を漏らした。


さくしゃのあとがき

時々。

ものすごくふざけたくなるときがあります。

そんなときに、この作品を書いてます

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