男の娘２
「木原さん!!僕だよ！横島だよ！さぁ、どんとこい！」
僕は二年C組の教室の扉の前で、愛を叫ぶ。ちなみに、C組に入ってない理由は、入れないからだ。特定の女子が、僕が近づいてくると寒気を感じるらしいから、それの応用で、僕は教室には入れないのだ。
そんな、僕が近づくだけで、体がブルっとなってしまうなんて、モテる男はツライよね。本当。
すると僕の声に反応した木原さんが、C組の教室から出てきた。
「横島!?あんた、手紙みいひんかったんか!!」
「見たよ！熟読したよ！一言一句漏らさず！ちょっと漏れて滲んだインクまでね!!」
「キモイわ!!あんた、じゃあ殴られに来た言うのか!!」
「殴ってくれないのか!?」
「殴らへんよ!!というか、殴れへんよ!!」
「逆に踏むのか…!!お願いしますぅぅうう!!」
今、僕としゃべっている女の――男の娘が、知ってのとおり木原琴梨さんだ。
一応男なので、髪の毛は栗色のショートカット。うん、まあ、それが可愛いこと。
つり目がちで、大きな目。小さな顔に鼻、口ィィィいいいいいいい!!
男子制服に猛烈な違和感を覚えてしまうよ。本当。
でも、男装って考えると、何かしかの事情で、女ってバレちゃいけない女の子みたいなシチュエーションが妄想できて……じゅるり。
そんな木原さんは、その容姿故、男にも女の子にも距離を置かれている。
男は、木原さんを男扱いしづらいし、女の子は、木原さんにどう接していいか分からずとまどっているらしい。
そこに、分け隔てなく接する聖人の僕が現れたわけですよ。
僕は、男の娘と喋れて――じゃなくて、その聖人ぶりを発揮して………。
もういいや。僕、基本、可愛ければちょっかい出しちゃうから、ちょっかい出し続けたわけです。
そしたら、友達いないぼっち同士、しゃべるようになりましたとさ。みたいなこと。
だから、割と、木原さんは僕の言うこと聞いてくれるんだよね。
「あんた、覗きが男らしいなんて言うから、大変な目にあったんよ!!」
こんなふうにね。
しかし、覗きを勧められて、覗きしちゃう子は、相談部にいなくていいのだろうか。
「怒るかと思うたら、そのままなんか気まずい雰囲気になってもうたんよ！」
「それはね。木原さんが可愛くてね。踏まれたかったんだよ、僕が」
「知らへんし、踏まへんよ!!」
「逆に？」
「踏まへんし、殴らへんよ!!」
いやー、こうなんでもつっこんでくれる人って大事だよね。
でも、僕、やっぱり踏まれたいなぁ。
「どうしたらええの、ウチは…？」
「わかったよ。じゃあ帰るね、僕」
僕はトボトボ歩き出す。
いや、まぁ、悪いのは僕なんだけどね。てへ。
――と、まぁ、こんなところで、僕の近辺の人の紹介は終わったかな。
というわけで、今回の部誌はここまでです。男の娘出てきて嬉しかったですね。
そろそろ、悠と僕の愛の巣も書かないといけないしね。
さくしゃのあとがき
なんか分からないけど、疲れた…
