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でぇと(はぁと)―2―

ライトノベル。

知っていると思うが、このライトノベルというもの、ラブコメが多いよね。

多いというだけで、全てでは無いけれど、やはりラブコメが多いよね。

で、大体、皆『普通の高校生』とかいうのが多いでしょ?

でも、普通に考えてね?

普通に考えて、今までそんなにモテて来なかったであろう『主人公』達が、

いきなりとんでもない美少女と絡んでさ、あげくには

「もう朝よ!いい加減起きなさい!グズ!……起きないと、ちゅ、チューしちゃうわよ(ゴニョゴニョ)」やら

「お兄ちゃん。好き。」やら

「だからつまりね。年の近い男女が惹かれあうのは当然のことであってってもちろん私が君のことがす、好きって訳じゃなくてね(あせあせ)」やら

「本当に…。私がいないとダメなんだから!(嬉しそうに)」やらを

美少女に言われるって何事よ?

さらに最近のライトノベルじゃ、主人公が変態なのも多いじゃない?

「家に帰って、パソコンの前で全裸待機しないといけないんだ」とか

「僕はスクール水着を推したい。もちろん競泳の」とか

「バーニングファイティングファイター」とかさ。

そしてさらには、『ぼっち』ブームときたもんだ。

つまり、なんだ?

ちょいと女子に優しくて?

変態で?

ぼっちなら?

あの桃色ハーレム生活を送れると?

それなら僕は、もうモテモテなんだけどな?

優しいし、変態だし、ぼっちだし、妹的な従姉妹いるし。

それがなんの因果があって、全学年の女子に嫌われているのかな?

《汚物を見るような目》っていうフレーズが、変態主人公の出てくるライトノベルには多いけど、僕の場合は目を当ててくれないからね?

目をみると妊娠するとかの噂でね?

イジメだよね、それ。

先生さえ目を合わしてくれないから、イジメを通り越しているよね。

閑話休題。

今までの話が、もはや全て横道にずれていた話だったから、閑話休題も何も無いけれど、

閑話休題。

さて、ここまで長々と言ってきたのは、別に主人公への愚痴じゃない。

つまりね。僕が言いたいのは、いくら変態で、優しくて、ぼっちだったとしても。

『主人公』に成り上がれる可能性は、もの凄く低いっていうことだ。

そして、いくら主人公になろうと。

『ラブコメ』になる可能性も、まぁまぁ低いのだ。








結論から言おうか。

錦滓と、恋路京子は結ばれなかった。

それだけ。

結末は呆気ない。

でも、それはとんでもなく昔から、決まっているもので。

だいたいのトラブルって、結末はあっけないだろう?

だからこその、ハッピーエンドだと、僕は思うけどね。







閉園時間が近かった。

日はもう沈み始め、綺麗なオレンジ色を作り出す。

人も少なく、聞こえるのは、アトラクションの機械音のみ。

その中を、ひと組の男女が歩いていた。錦滓と、恋路京子だ。

「もう終わりだね」

「うん。そうだね。…どうだった?今日は楽しかったかな?」

男女は歩きながら話す。

二人の顔色は、夕焼けの逆光で見えなかった。

「錦君と一緒だったし、楽しかったよ」

「…俺の事好きなの?」

男は聞く。

女の方からは、またしても逆光が遮り、男の顔は見えない。

顔を紅く染めているのか。

平然と言っているのか。

獲物を狩る、獣の眼なのか。

何も分からない。

それでも、女は気にしない。

相手の顔を見ない。

「……うん。好きだよ」

それを聞いて、男は、

「じゃあ、ちょっと付いてきて」

暗がりへと入って行く。

女もついて行く。

その時も、彼がどんな顔をしているのか。

そんなことも分からなかった。







「黒井さん。来ました。ついに、錦君が手をだしました!」

僕は嬉しさのあまり、大きな声で携帯に話しかける。

やっと、この尾行が終わる――!!

『うん。分かった。頑張ったね、横島君』

「黒井さんじゃなくて、部長に言われたかった…」

『な…失礼だなぁ。まぁいいけどさ。……横島君、頑張って』

黒井さんのその言葉で、僕は思い出す。

アレを。

「あ…。――えぇ。僕も男ですし、、、変態ですから」

『うん。目覚めないで』

「ちょ!?その心配はやめてください!」

『冗談だよ』

黒井さんは笑う。

笑えない。

「じゃあ、行きますね」

『あぁ。こっちは任せて。俺もすぐ行く』

それで電話は切れた。

通話時間が八時間だった。







「すみませーん。こんなところで何してるんですかぁ?」

二人の男女の後ろ。

誰もいないと思っていたところから、女の声が聞こえた。

「………」

男はその女を見る。

全身を舐めまわすような目に、女は戦慄したが、

「なんだと思う?」

男はすぐに笑みを浮かべた。

一方、男に放置されている女――恋路京子は茫然自失の表情で、地面に座り込む。

紅い光に照らされた三人の男女。

「何って…。何っしょ?」

女はいやらしい笑を浮かべる。

背景の紅と相まって、女の姿は、悪魔のようだった。

「うん。で、君はなんで話しかけてきたのかな?」

男は余裕を顔に貼り付けて、問う。

その顔からは獲物を前にしたときの様な、欲望が漏れ出していた。

もう男の目に、恋路京子は、写っていなかった。

「それを女に言わせる?普通?」

「そうだね。少しデリカシーに欠けたかな?」

男は手を伸ばす。

「さぁおいでよ。三人で楽しもう」

女は笑う。

その笑みは危険で、触れてはならないもの。

それは獲物を仕留めた時の顔。

男は最後まで、それに気づかなかった。

「…っ」

女と、男の唇が重なる。

男は、貪るように唇を求め、

女もそれを受け入れる。

ぴちゃくちゃと淫靡な、紅の世界に響く。

その世界には、恋路京子は存在していなかった。

「嘘でしょ…?どういうこと…!?」

彼女は掌で自らの顔を覆う。

涙が指の間から漏れた。

引きつった声が漏れる。

その声も、男――錦滓には届かないが。

修羅場。

まさにそうだった。

―――そうして、10秒ほど経った頃だろうか。

錦滓が、女の唇から、唇を離した瞬間。

「アハハハハハハハハハハ!!あははははははははは!!!フヒヒ!あぁぁぁあああああ!!はははははは」

嗤い。

女が。

男が。

狂気じみた嗤いが、紅を埋める。

その声の主は――

「お前は……横島宗!?」






「男とキスしたのって初めてだったけど、やっぱ気持ち悪いね」

本格的に鳥肌が立った。

錦君のどこに魅力があるのか、全く理解できないよ。

「おまえ、なんで!?」

僕の目の前で錦君は、目を白黒させる。

まぁそうだよね。男とキスとか、本当にびっくりだよね。

「横島…?」

っと、恋路さんもちゃんと『僕』を認識したみたいだ。

いいよ。

そういう目で見られるのも、割と興奮するね。

「なんで?そんな」

錦君と恋路さんは同じ反応を見せる。

まぁ、無理もないよね。

だって今の僕は、

「どう?可愛いでしょ?僕」

女装しているのだ。

「……可愛い、けど」

恋路さんは声を出すのも、やっとという感じで喋る。

やばいよ。

これデレ期突入じゃない?

「どういう事だ…!?お前、俺とキスするために女装していたのか!?」

「うん。まぁそうなるね」

「変態じゃないか!?」

「何を今さら。君たちの中で、僕は変態なんじゃないの?」

本格的に今更だ。

「そもそもさ。相手の女の子がいるのに、他の人を誘っちゃうのは、ダメだよね?」

僕の言葉に、錦君は後ろを振り返る。

恋路京子を、見つめる。

「……」

「……」

二人は何もしゃべらない。

うーむ。THE修羅場って感じだね。

見つめ合う二人の間には、何があるのだろう。

僕は変態だから分からないけど。

――そのまま一分位たった。

そして、その沈黙を破ったのは、

「どうだい?恋路京子。胸を締め付ける恋の病とやらは、解消されたか?」

我らが部長。丘雫(おかしずく)だった。






「錦滓。ここで君の罪の清算を行おう」

彼女は、眼前の男――錦滓に向かって言う。

「黒井。後は任せた」

彼女は小声で後ろに控えた、男に告げて、後ろへ下がった。

指示を受けた男は、笑いながら前へ出る。

全てを見透かした様な笑みを浮かべ。

「さて、錦滓君。俺の後ろにいる人達、誰かわかるよね?」

男はそう言って、自らの後ろを指さす。

そこには十人以上の女がいた。

実際、彼女らにはなんの繋がりもない。

全員がほとんど初対面である。

ただし、

「…全員、俺が手をだした女の子か」

「御名答。皆みーんな君の事を恨んでる子達だよ」

錦滓は、諦めたようにため息をつく。

これから自分に何が起こるか、それを察知したのだろう。

黒井は、そんな彼の様子を、観察するように見たあと、

「最後に、なにかあるかい?」

聞いた。

笑みを携えながら。

その笑みに、彼は何を感じたのだろうか。

嘲笑か。

軽蔑か。

慈愛か。

それとも。

何も感じなかったのか。

錦滓は、少し下を向いて、笑った。

そして、腕を広げて、

「皆で楽しくやろうか?」

そのあとのことは、言うまでもない。






「いやはや、錦滓君も、あそこであんなことが言えるだなんてね」

翌日。

部室で、黒井さんが嬉しそうに笑っていた。

「確かに凄いですよね。錦君も、かなり変態な気がしますよ」

あんな修羅場で、「皆も一緒にヤろうよ」とか、自殺願望でもあったのだろうか。

ライトノベルの主人公も、無駄に多くのヒロインと絡むと、ああなるから気を付けたほうがいい。

具体的には、全治一ヶ月。

女の子って怖いよね。やっぱり眺めるのが一番だということだね。

――と、僕と黒井さんが話していると、

「失礼します」

「あ、恋路さん」

「あ、変態」

「相談前は、横島だったのに……」

そんな僕の嘆きを無視して、彼女はカーテン部屋に入っていった。








「どうだい?胸を締め付けるものはなくなったかな?」

部長は、悪びれる様子もなく言う。

そもそも、これ、幻滅させられてなかったら、僕たち、最低な奴らなんだよね。

だが僕の、そんな心配は杞憂だった。

「はい。あんな奴だとは思っていなかったので」

恋路さんはハキハキ話す。

うん。元気そうだ。

「大丈夫?ブラ変えた?」

「変態は死ね」

「な…っ!?僕がせっかく心配したのに」

「貴様の心配など、いらん。妊娠する」

ひどい言いようだった。

目が合ったら妊娠っていう噂流したの、この子じゃない?

「だが」

恋路さんは頬を赤く染める。

まさか!?

「ありがとう。感謝は…している」

「デレ期きたぁぁぁっぁあああああああ!!」

ふおおおおおおおおおおおおおおおおおお。

ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおお。

くおおおおおおおおおおおおおおおおおお。

「私は君を勘違いしていた。君は、変態だが、伊達の変態じゃない。これからも変態でいてくれ」

「え?前より変態って言われてない?まぁ、関係ないけどね!!デレ期だもんね!!」

いやぁ、嬉しいなぁ。

僕にラブコメの神様が、微笑んだみたいだよ!

父さん母さん。

いつも、恨んでるけど、今日だけはありがとう!!

あと、悠をください!!

「それじゃあ、また」

そういって彼女は部室を出ていった。

僕は、五月蝿すぎるとのことで、不二先輩に殴られて、保健室だった。


さくしゃのあとがき

やっと、最初の相談が終わりました。

キツかった…。

さて、今日はクリスマスですね。

家を一歩もでておりません。

今回の話を書いていたら、イブが終わりました。



次回から、また違う話ですが、多分生徒会登場です。

生徒会って響きいいですよね。

それだけのために、生徒会入ったことがありますが、もの凄く大変で、ほぼサボった記憶があります。

それでは、また次回。


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