でーと(はぁと)-1-
『さぁ、始まりました!恋路京子さんと錦滓君の初デート!!あははは』
「…黒井さん。遊ばないで下さい。ストーキングしてんのは僕なんですから」
『本当、横島君は訴えられても、逃げ場は無いよね』
「仕方ないじゃないですか。部内じゃ、僕が一番ストーキングうまいんですから」
『いやぁ、君以外ストーキング出来ないからね?』
「え?人類の基本的な心得ですよね」
『邪君だけのスキルだよ…』
「なんだろう。そこはかとなく貶されてる気がする」
『邪恥女とかどう?』
「なぜだろう。そこはかとない悪意を感じる」
『ほら、ほら早く。見失うよ?』
「はぁ…。じゃあ、あんま大きな声ださないでくださいね」
「二人が回ってます」
『横島君、どうしたの?頭…はおかしいから、目イかれたの?』
「今日も黒井さんは、黒いですね」
『うん?黒井だけど、なにか?』
「………」
『じょ、冗談だから、電話越しでもわかるほどの殺意を向けないで!!』
「…二人はメリーゴウランドです。遊園地のお馴染みですよ」
『あぁ、そういうことね。最初からそう言ってよ』
「というか、相談部のメンバーが、遊園地を選んだのが、割と僕には疑問なんですけど」
『どうしてだい?』
「だって、そんなまともなデートスポットが出てくるなんて、思ってなかったですから」
『うん。まぁ、みんないろんなこと言ってたね』
「本当です。何故みんな遊園地とか水族館、ショッピングモールなどの案が出なかったんでしょうね」
『……君、自分が提案したみたいに言ってるけど、提案したの俺だからね?』
「僕のだって、全然デートスポットじゃないですか。部長の国会議事堂やら、三富士のストリップ劇場、南先輩のSMクラブとかより断然」
『うーん…』
「それに、不二先輩に限っては、ソフトバンク本社ですよ!?思いっきり名前繋がりで言っただけじゃないですか」
『それでも、君のラブホテルは、どうかと思うよ?』
「なぜだ!!男女の仲を急速によくできますよ!さらに、体の相性とかの理由での、別れも演出できますよ!」
『君は、キスはダメなのに、本番はいいのか…』
「いえ、恋路さんなので」
『へぇ…。君は、全ての女の子に優しい訳じゃないんだ?』
「優しいですよ?ただ恋路さん、錦君のこと好きですから」
『あ……。そういえばそうだったね。だから、嫌わせようとしてるんだった』
「忘れてたんすか!!……っと、二人が移動しました」
『追って。さて、、錦滓君はどこで本性を表すかなぁ?ははっ』
「遊ばないでください…。ストーキングをするのは僕なんですから」
「二人は、、、なんだろう。また回っていますね」
『あれかい?あの、コーヒーカップみたいな』
「それです。あの二人そんなに回りたいんですかね?」
『回るのはデートでは、必定なんだよ、横島君』
「えぇ…?黒井さん頭大丈夫じゃないです」
『確定!?せめて疑問符つけて!』
「そもそも、このアトラクションに関しては、遠心力的に離れますよね、二人」
『でも、隣に座れば、くっつくだろう?というか、そんなに遠心力働かないよ?それ』
「そっすか」
『君が話題を振ったのに、君が先に飽きるってどういうことだい…?』
「あ、動きました。移動します」
『さっきから、君、不機嫌じゃない?』
「黒井さんのせいですね」
『ひどっ…。割りとそういうの傷つくんだよ?』
「とか言いながら、今笑ってるでしょう?」
『まぁね』
「まぁ、そんな冗談は置いといて、、、誰でも、他人のデート尾行して、上機嫌にならないですよね」
『そうかな?友人のデートを、後ろからつけるなんて、よく聞くけど?』
「僕には、一般人の気持ちは理解できませんから」
『その発言はどうかと思うよ…』
「あ、二人は、昼飯みたいです。――今日中に、錦君、手、出しますかね?」
『出してもらわないと、困るね。主に横島君が』
「えぇ。もうストーキングしたくないです」
『だよねぇ。普通、ストーキングなんて、体験しないんだけどね』
「僕達は普通じゃないですから」
『君、今日はやけに変態推しだね?何かあった?』
「今の僕。生きてきた中で、一番変態だと思います」
『…あぁ!そうか、今、君はアレだったか!っくくく!』
「笑わないでくださいよ…。これ以外思いつかなかったんですから」
『ははは、、、いやいや、でもお世辞抜きでよかったと思うよ?』
「でも、これ、色んな人から見られますし、気持ちいいですよ?」
『横島君はやっぱり変態だなぁ。…くくく、俄然このデートが面白くなってきたよ!』
「人事だと思って…。人事ですけど」
『うんうん。じゃあ、午後も頑張って?横島君』
「…はぁ。ここまで来たんだから、最後までやりますよ、ちゃんと」
さくしゃのあとがき
さて、今回の話。「え?」と感じたことがあると思います。
そうです!地の文の消失です!
なぜそんなことをしたのかというと、作者がこの話に飽きてきたk―――奇をてらってです。
さて、多分、次回かその次あたりで、この依頼は解決します。
その次の依頼は、やっぱり初心に帰って(はやっ)変態を出したいと思います。
いや、わかりません。もしかしたら、これの一話あたりを書いたときにアイディアとして出た、生徒会が出るかもしれません。
何分、私が書いたものは、全部一人歩きしてしまうもので…。
とりあえず、『変態』だけは見失わないように、頑張ります。