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-エピローグ-

変態です

シモネタもちょいあります。

間違っても爽やかイケメンは出ません

「横島君って、変態だよねぇ?ちょっとそこを見込んで相談があるんだけど」

高校二年生になって一日目の僕-横島宗(よこしまはじめ)は人生で、157回目の『変態』を言われた。



『変態』

僕はこの言葉のくくりに入れられる人間らしい。

あ、ちなみに僕が言っている『変態』は、幼虫が蛹へ移行するあれじゃなくて、特殊性癖的な人間を指す『変態』の方だ。ここ重要。

と、まぁ、話を戻して、僕が変態だという話だ。

あと、これ、言ってて何となく微妙に落ち込むが、まぁ今は置いておこう。

--さて、まず僕が変態であるという理由だが、、、。

まぁ、自分を客観的に見て、157回変態と言われてれば意識せざるを得ないだろう。

理由はそれだけ。

いや、もう少し理由があったりするけど、今は関係ない。

僕が言いたいのはそこではない。

僕が言いたいのは、その変態という部分が、なぜか知らんが役に立ったということだ。

具体的に言うと、同クラスの美少女から話しかけられるなんて主人公的イベントが、僕の変態性によって引き起こされた事についてだ。

「横島君にちょっと来て欲しいところがあるんだぁ」

記念すべき157回目の変態発言をした美少女は、いきなりそんなことを言って、勝手に歩き始める。というか、この少女は出会って二言目に付いてこいなどと言って、付いてくる人間がいると思っているのだろうか?

----勿論僕は黙って付いていくけど。そもそも美少女の後ろを本人公認でついていけるなんてイベント、僕が見逃すわけないじゃないか。

それに、彼女の制服の着こなし方。これを見て、彼女を黙って見送れる人間など存在するだろうか。

膝上まである黒いニーハイソックス。更にその数センチ上で揺れるスカート。その間に見える白い太腿。生肉!

上は明るい茶色のセーター。それを、彼女はサイズを合わせずに着ている。つまり、ダボダボ。これは!これは!

……お分かりいただけただろうか。

彼女の制服の着方が、一部の人に熱狂的支持をえる着方だということに。

その一部には勿論僕も含まれる。

「く…絶対領域。。。最高すぎる…ッ!」

僕はグっと拳を固める。だって、絶対領域だぞ!?興奮せずして何が男か!

しかし、こういうことを語ると

『えー、たった数センチの、しかも太腿に興奮してるわけ?』

などと言ってくる奴が往々にいるが、あいつらは盛大に勘違いしている。

まず一つとして、胸[おっぱい]や【倫理問題的に自主規制させてもらいます】が見えることがエロい訳じゃない。

胸[おっぱい]。この響きは確かにいい。いや、最高だ。

【倫理問題的に(略)】も確かに、良いときもある。

だが、例えば、美術館などに飾ってある裸婦画を見て興奮する人間などいるだろうか。

美術館で「えっろ!これ、えろ!ちょ、ここ、18禁だろ!」とか言ってる人間がいたら、通報するだろう?

美術館で「ふむ……これは、エロイですね。この扇情的な形が、また」とか言ってる人間がいたら通報するだろう?

では、なぜ裸に我々は興奮しないのか。

--答えは簡単。隠されていないからだ。

どんな部位も隠されず、おおっぴろげに堂々と見せつけられることによって、僕たちはエロさを感じないのだ。その凛とした態度に、美しいと感じるのだ。

そもそも、【倫理問題的(略)】と口など、あまり変わらないのに、僕たちは口に何も感じない。いや、感じる人もいるけど(僕)、一旦置いておく。

まぁつまり、僕たちは、全部が見えるより、体の一部分が露出されているほうが興奮するのだ。

しかしここで勘違いされたくないのが、今僕が述べた理由が、うなじ等の部位をエロく感じるのとは違うということだ。これについては、また違う機会にでも説明しよう。

「さ、着いたよ」

と、僕が熱弁していたら、ピタッと、目の前の生肉---ゲフンゲフン。絶対領域(さっき語った生肉の部分)が---ゲフンゲフン。目の前を歩いていた彼女の足が止まった。ここは…廊下の内装的に、校舎の旧館だろう。ふむ、結構歩いたみたいだ。

とりあえず僕は一旦(ここ重要)彼女の脚から目を外して、彼女が案内してくれた場所が旧館のどこか確認する。

そして僕の目の前には、旧将棋部の部室で、

「相談…部?」

『相談部』という新しいプレートが掛けられた、古びた部屋があった。



「失礼するっすー。部長、例の横島君を連れてきましたぁ」

僕の前を先行していた、絶対少女(名前が分からないので、便宜的にこの名前で呼ぶ)は、けだるそうな声で、目の前のドアに向かって話しかける。

余談だが、ドアというものも良いものだと思う。

ドア。それはつまり、自らのプライベートを晒す穴。ドアのなかには入れるかどうかで、相手が自分をどう思っているのかが分かる、便利な器具だ。

ちなみに僕は、身内以外の家に上がれた事は一度もない。

具体的な例を上げると、同級生が家に入れてくれなかった時に、「あれか、焦らしプレイかな」とか思って、ドアの前に二時間ほど立っていたら、その同級生の父が僕に千円を渡して「帰ってくれ」と懇願されたことがあったかな。

それ以来、誰かの家に行くということをやめた。

代わりにのぞき始めた。

閑話休題。

「あの、君。僕はなんでここに連れて来られたのかな?」

僕は、本当なら最初に聞くべきだったことを聞く。なんで聞いてなかったんだろう。あぁ、絶対領域のせいか。

彼女は、僕の問いを聞いて、

「ちょっと、この相談部に入部してもらいたくてね」

と答えた。

--あぁ、入部ね。なにげに僕スペック高いもんね。。。。

って、入部!?

「入部だって!?そんな!?」

そんな重要なことを、この子は黙っていたのか!

それに、部活はキツイ!そうすると僕の、日課が!

「んー?横島君って帰宅部っしょ?」

そんな僕の内心も知らずに、彼女は聞いてくる。

首を横にかしげる仕草とか、本当可愛いなぁ!!

--だけど、

「いや、そうだけど…。でも、放課後は暇じゃないと、僕は…」

「?」

彼女は疑問符を浮かべる。実際には見えないけど浮いてる。

「陸上部の練習が、、、見れないじゃないか!!!!」

陽の光と、男子生徒の視線を集めてやまない、あの濃紺のスパッツが……見れなくなってしまう!!

トラックを走り終わったときに頬を伝う、健康的な汗が!

走る前の、女子同士の柔軟が!

走ってる真っ最中の苦悶の表情も!

休憩時に、大ぴろげに広げられる、脚も!

部活などに勤しんでいたら、見れないじゃないか……ッ!!

僕の、唯一の、青春がッ!!

「…悪いけど、僕には…入部することは--」

ガチャッ。

僕が、絶対少女に入部できない旨を伝えようとした、その瞬間。

いきなり、相談部の(プレートが掛かっていたし、多分部室だろう)ドアが開いた。

そして、中から、

「ん。連れてきたか、三富士君」




ドアから出てきた彼女をあらわせる言葉は、『美しい』しか無かった。

ただ美しい。どうしようもなく、美しい。

凛とした顔つき。雪のように白い肌。全てを呑み込む漆黒の髪。小さい口から出た、透き通っているが芯のある声。etc…

全てが『美しい』だった。

しかし、それゆえか。

彼女はどこか虚しかった。

「ぁ……」

僕は声にならない声を上げて、彼女を見つめ続ける。

-いや、正確には、「目を離すことが出来なかった」

体が、僕の意識を無視して、彼女から目を話すことを赦さなかったのだ。

そして、そんな不可解な現象を前に言葉も出ない僕に向かって、彼女は言った。

「相談部へ、ようこそ」



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