【009.岩山】
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目の前に岩山と洞窟が現れた。
場所は、ベースキャンプから1kmも離れていない。
地図に描かれたポイントのひとつだ。
洞窟の入り口は、人が屈んでやっと入れるくらい。
地図に書き入れるくらいだ、何かあるはず。
中に入った。
ひんやりとしている。
わからないくらいの勾配がある。
下り坂だ。
壁面は、黒くツルツルとしている。
人工的な感じはない。
以前、観光で訪れた樹海で見た光景だ。
そこは、昔、火山だった。
溶岩が台地を覆っていた。
そこに草木が生え、樹海になったのだという。
大地には、無数の洞窟があり、そのひとつがここのような姿をしていた。
ガイドによる説明だと、溶岩が通ったあとだということだ。
ここもそうなのだろう。
腰を屈めた状態で、奥へと進む。
涼しさが、少し寒いくらいになってきた。
暗さも増して、手の感触で状態を確かめるしかなくなった。
しばらくすると、ブーツの中がひんやりと冷たくなった。
水にぬれている?
手で足元を探ると、水溜りがある。
それがどのくらいなのだろう、と手探りで探ってみる。
先に行くほど、水溜りは深く広くなっていく。
警戒心が強くなる。
かなりの深さがあるとしたら、暗闇の中で落ちるかもしれない。
そうなったら上下の感覚がなくて、這い上がるのも大変かもしれない。
危険を冒すのはやめた。
ぬれた指先をなめてみる。
うまい。
柔らかい水だ。
ミネラルがありそうだ。
つまり、このポイントは、水源なのだろう。
ありがたい。
いったん、洞窟を出る。
これ以上は、明かりがないと危険だ。
それには、火が必要だ。
薪を拾って、火を起こし、松明にする必要がある。
本当は、ポケットライトでもあるとうれしいのだが、そんなものは装備に含まれてはいない。
ランタンを手作りするにも、油がない。
まぁ、慌てる必要はない。
飲み水が確保できたのだ。
これで命を長らえることができる。
岩山を登ってみた。
とはいえ、頂上まで行くには、難しいだろう。
トレッキングブーツでは。
少なくても反対側にまわれれば、と思って登る。
そうすれば、少なくても向こう側がどうなっているのか、わかるだろう。
この樹木がどれだけの範囲に続くのかも。
岩山は、火山とは関係なさそうだ。
地層になっているし、溶岩がかたまってできたようには見えない。
険しさは、高さを増すごとに厳しくなる。
これ以上は無理という高さまで来た。
振り返ってみる。
そこには、樹木がずっと続いていた。
地平線まで続いているように思える。
もっともその先が、白くかすんでいて、よく見えないが。
反対側へと進む。
少しずつ見えてくる景色。
樹木の緑が少しずつ山々に変わっていく。
山々は、さまざまな色で彩られている。
緑、赤、黄色、黄土色、紫。
岩山の反対側には、巨大な火山の姿があった。
洞窟を作り出した火山だろう。
今は、噴煙もない静かな山だ。
草木も生えているし、花も咲いている。
よくは見えないが、動くものも見える。
動物らしい。
ここから見える、ということは、それなりの大きさだろう。
岩山が険しくなってきた。
これ以上は、まわりこめない。
そこで引き返す。
地上に降りて、薪を拾い集めることにした。
火を起こす努力をしてみよう。
やり方はいくつかあるが、摩擦で火をつける方法がある。
これは道具を作らなければならず、時間がかかる。
ということで、却下。
ほかにもあるのだが、自然の恵みを使えば、時間も手間も少なくて済む。
そこで、水の入っていたボトルを使うことにする。
ボトルの底に水を張り、準備完了。
ここにいた人たちが使っていたチョーク代わりの炭も用意。
自然に折れていた小枝をサバイバルナイフで、細かくする。
薪のひとつにもナイフを入れ、表面に切れ目を入れておく。
岩山にあった石で、囲いを作り、その中に薪の準備を整えた。
これでよしと。
太陽を見る。
いつでもどうぞ、と言ってるようだ。
では、お言葉に甘えまして。
ボトルを手に取り、炭の上に持っていく。
上下に調整して、光を集める。
そう、ボトルの水をレンズ代わりにして、太陽の熱を集めるのだ。
その熱を黒い炭が吸収し、やがて火がつく。
とはいえ、小さな火だ。
その火を大きくしてやらなければならない。
そこに細かくした小枝を追加して、火を大きくし、さらにナイフを入れた薪に火を移す。
そこまでくれば、あとは薪を追加していけばいい。
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