【063.休暇・4】
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夜。
オレとクリスは、同じ部屋でくつろいでいた。
テーブルには、グラスの中にワインが満たされている。
そのテーブルをはさんで向かい合っているのだ。
どちらも黙っていた。
別にしゃべらなくてもいい雰囲気。
グラスの中がカラになった。
彼女のグラスにボトルを傾ける。
彼女がグラスに手を伸ばして、注げないようにした。
「そろそろ……ベッドに」
オレは「そうだね」と答え、ボトルを置いた。
ふたりとも裸になった。
クリスの身体は、まぶしかった。
「きれいだ」
彼女は、クスリと笑いながら言った。
「あなたは、元気ね」
その視線を追うと、そこには元気に勃起した一物。
「でもいいのかな?」
「何が?」
「私たちは、恋人でもないし、夫婦でもないのに」
「誰も気にしないわ。ふたりとも独身だし、恋愛は自由だし、知らない仲でもないでしょ?」
「そうなんだがね。……まぁ、ふたりとも裸になった時点で、する話しでもないか」
「そういうことね」
ふたりは抱き合って、キスをした。
おたがいの情熱が燃え上がった。
ベッドに入って、彼女を愛撫し、彼女もまた愛撫してくれた。
翌朝、スッキリと目覚めた。
いつもの時間だ。
だが、ベッドに彼女の身体はなかった。
その代わり、メモが残されていた。
彼女もいつもの時間に目が覚めてしまったらしい。
いつもの、と言っても軍の起床時間は早い。
温泉に入ってくる、とメモには書いてあった。
ベッドから起きると、身体の痛みに顔をしかめた。
そんなに激しい交わりだっただろうか?
それとも久しぶりだったので、その反動だろうか?
とりあえず、身体をほぐし、服を着て、部屋を出た。
「おはようございます、先生」
「おはよう、テオ。いい朝だね」
「ええ。どうやら女性ふたりは温泉に入りに行ったみたいですね」
「マリーンもかね。好きだな」
「朝食はルームサービスを頼んであります」
「そうか。いまごろ、テディーはどうしてるかな」
テディーはロボットだからなんの心配もないはずだが。
「いまごろは、誰もいなくて、せいせいしているんじゃないですか」と笑うテオ。
「あるいは、誰もいないのに朝食を作っているとか」
「あはは、ありそうですね」
水をゴクゴクと飲む。
飲み終わると、フゥッと息が出ていく。
「ゆうべは、どうでした?」
「ことの顛末は、ご想像にお任せするよ。だが、いい夜だった」
ふたりが戻ってきたときには、テーブルに食事が並べられていた。
ほどよい量だ。
4人でホテルを出て、町に下りた。
町は、温泉街となっていて、活気に溢れていた。
店舗が軒に並び、人々が行き交う。
大半がお土産屋で、御食事処があちこちにある。
ところどころに、簡単なゲームが楽しめる店もあった。
弓矢で的に当てたり、ボールを転がしたりして、景品を手にする。
「カジノはないのかね?」
「別のホテルにあるそうです。行きますか?」
「いや。ギャンブルは苦手でね。ただ、そういう施設があってもよさそうに思えたから」
「なるほど」
キャーキャー言う女性ふたりのあとをついていく。
途中のカフェで、休憩。
ロッジに戻ると、テオがルームサービスを頼んでくれた。
みんな、はしゃぎすぎて、疲れていたからだ。
お昼をとって落ち着くと、みなソファーで居眠りをはじめた。
オレもウトウトとしていた。
この居眠りのおかげで、目覚めたときには、身体のあちこちが痛くなっていた。
不自然な姿勢で寝ていたせいだ。
みんなで温泉に浸かりに行く。
そうした生活を3日、続けた。
最後の一日は、ほとんどボンヤリとしていた。
最後の夜。
クリスとベッドにいた。
ふたりとも満足して、天井を見ていた。
クリスとは、恋人ではないものの、いい関係を続けることになった。
会おうと思っても、軍の施設には簡単に入れないし、距離も離れているから、と。
オレのとなりで、クリスが続ける。
「何より深い関係になって、あなたを苦しめたくないのよ」
そう言われて、オレは彼女を見た。
その表情はどこか悲しげだ。
「どういうことだね?」
「私は兵士。戦争がはじまれば、戦場に駆り出されるわ。いつ死んでもおかしくない」
「それを言ったら、私だって城にいるんだ。攻撃されたら死んでしまうだろう」
「それでもあなたは守られる側の人。私は守る側の人間。そして、私は軍を辞めるつもりもない」
オレは、彼女を抱きしめた。
何も言い返せない。
彼女もオレを抱いた。
「パオロ、私はそれでいいの。あなたを束縛するつもりもないわ」
「もう束縛されてるよ」
クスッと笑うクリス。
「そういう意味じゃ、私もあなたに拘束されてるわね」
「そうだね」
オレたちは、この旅最後の交わりを楽しんだ。
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