【061.休暇・3】
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デザートを食べ終わると、軽くアルコールを飲んだ。
アルコールは、この惑星で比較的早く作られたもののひとつだ。
糖を含む植物を発酵させ、それを蒸留したものが最初だった。
もちろん、飲み物としてだ。
人々が喜んだのもうなずける。
別にアルコール中毒だったわけではないが、苛酷な環境に対するストレスをなんとか紛らわせる方法が欲しかったのだ。
またアルコールは、傷などの消毒にも使われた。
ちょっとした傷が化膿して、死亡する人が多かったのだ。
その菌を“腐肉食い”と兵士が名付けたように。
それは水などでは、ほんの少しだけしか減菌できなかった。
アルコールの出現のおかげで、大幅な減菌が可能になったのだ。
その後、抗生物質ができたおかげで、消毒回数も減った。
オレは、テオとマリーンとホテル前で別れて、クリスを送っていくことにした。
クリスのホテルまでは、それほどの距離じゃない。
だが、女性ひとりをそのまま帰すのは、紳士として許せなかった。
別に自分が紳士だとは思っていないのだが。
ふたりとも軽く酔っていた。
いい気分で酔っていた。
飲んだ量はそれほどでもない。
「本当は、部屋が取れればよかったんだがね」
「そこまでは期待していなかったわ。それとも期待してた?」
「期待? しまった。考えてなかったな」
ふたりで笑った。
「でもあなたのウワサ以上のことがわかって、うれしかったわ」
「私は君のことをもっと知りたくなったよ」
「本当に?」
うなずく。
「軍の兵士だっていうだけの存在よ」
「その前に女性だろう?」
「あら、うれしいわ」
「それに休暇中だ。休暇中でも兵士というわけでもあるまい」
「そうでもないわ。緊急時には、呼び出されてしまうもの。もっともそんな事態になるのは戦争がはじまったときでしょうけど」
「戦争か。はじまりそうな気配は?」
「いいえ。小競り合いはいつでもあるけれど」
「それもなくなって欲しいものだね」
「ええ」
彼女の宿泊しているホテルに到着した。
「明日は、朝からだそうだ。ゆっくりと休むといい」
「ええ。送ってくださってうれしかったわ」
「男としては、当然のことをしたまでだよ。では、お休み」
「お休みなさい」
彼女がホテルの中に入っていくのを見送ってから、一度、〈リッチモンド〉に戻った。
タクシーを捕まえるために。
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