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落とされ人  作者: カーブミラー


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【006.移動】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 一緒に入っていたベルトをズボンに通しておく。

 そこにナイフのケースをぶら下げる。

 出掛ける準備が整った。

 問題は、どの方向に向かうかだ。

 正直、方角はわからない。

 いや、東西南北はわかる。

 太陽が出ているからだ。

 だが、それがわかっても目的地がないわけだから、どちらに向かうべきかがわからない。

 着陸場のまわりは、どちらを向いても樹木があって、その奥は見通せない。

 何か、立て看板でもあればいいのに。

 この土地が、島なのか大陸なのかもわからないのは、困る。

 オレは、バックパックから取り出しておいた糧食をひと口食べた。

 うん、悪くない。

 ここを中心に動きまわってみるか。

 少なくても着陸船で寝ることはできそうだし。

 ここが定期的に草刈りがされているのなら、誰かが住んでいるはずだ。

 あるいは、ここが島で、定期的にきれいにしに来ているのかもしれない。

 それだとしたら、何か手掛かりが残されているはずだ。

 もしかしたら、この着陸場のどこかにメッセージが書かれているのかもしれない。

 着陸船のそばにバックパックを置いたまま、その着陸場の草の下を見てまわることにした。

 平らにならされているが、コンクリートなどの人工的に作られた広場ではなく、地面そのものだった。

 そして、どこにもそれらしいメッセージもない。

 足跡でもあればと思ってみたが、地面は硬くて、足跡も残りそうにない。

 着陸場のまわりの樹木を調べてみた。

 樹木の樹皮にメッセージを刻み込んでいるかもしれない。

 痕跡はあった。

 だいぶ古い。

 樹皮にナイフで刻み込んだのだろうが、新たな樹皮に覆われている。

 それは、メッセージなどではなく、ただの目印にしただけのようだ。

 バックパックを背負う。

 それなりの重さがあるから、そのまま置いていきたいが、誰かが狙っている可能性もある。

 気配はないが、だからといって、盗まれないとは考えない方がいいだろう。

 少なくても、大事な水と食料なのだから。

 両方とも、すぐに手に入るのなら、ありがたいが。


 樹木の中は、背の低い草が生い茂っていた。

 それでも歩きまわる程度なら邪魔にはならない。

 迷子になる可能性もあるので、目印に草の先を縛っておく。

 草の裏が白い毛で覆われているので、すぐに見分けがつく。

 ときどき、振り返ってみる。

 まっすぐに歩いているつもりでも、ジグザグに来ているのがわかった。

 仕方あるまい。

 そのまま歩き、着陸場が見えなくなったら、引き返すことにした。

 そうしたことを何度かくりかえしたが、メッセージどころか、川や泉にも出会わない。

 上り坂も下り坂もなかった。

 とても平坦だ。

 できれば、高いところから、あたりを確認したいのだが。

 樹に登るという手もあるが、簡単ではないだろう。

 手が届くところには枝はないし、登れたとしても今履いているトレッキングブーツでは到底無理だ。


 周囲をチェックするのを諦め、樹皮に覆われた目印のところをまっすぐに進んでみることにした。

 陽はまだ高い。

 この惑星の一日が、何時間かはわからないが、感覚からすると到着してから3時間くらいだろう。

 とにかく、樹木の中を進む。

 まわりの樹木は、同じ種類ばかりのようで、果実がなっているような樹はひとつもない。

 なっていたとしても食べられるのかどうか。

 まぁ、毒なら死ぬだけだろうが。

 苦しんで死ぬのは嫌だな。

 コロリと死ねるとありがたい。

 かなり歩いた。

 振り返ってみた。

 もう着陸場は見えない。

 縛った草が、白い点となって、オレが歩いてきた道を示している。

 ふたたび、歩き出す。

 このままということはあるまい。

 必ず地形に変化があるはずだ。

 ずっと平坦なわけがない。

 そうは思うのだが、まわりを見てもそれらしい感じがない。

 しかし、着陸場をきれいにしている人は、どうやってあそこまで辿り着くのだろうか?

 簡単な目印は見当たらないし、草木の並びに規則性も見当たらない。

 となると上空からということになる。

 なんらかの飛行装置があるのだろうか?

 そうとしか思えない。

 とにかく、前進した。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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