表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落とされ人  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/215

【045.客人】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 文化院の入り口に現れた女性に、室長が驚いて、イスから立ち上がる。

「陛下」

「よい。渡り竜を保護したそうだな」

「はい。パオロが保護しました」

 女王がオレを見る。

「ケガをしたのか?」

「はい。左の翼の骨が折れていました。どうやら壁にぶつかった際に骨折したようです」

「手当ては?」

「骨接ぎをしました。翼を広げないように包帯を巻いてあります」

「そうか。おとなしいのか?」

「今のところは。食欲も旺盛で、骨折以外、健康状態はよさそうです」

「見せてはもらえまいか」

「すぐにでしょうか?」

 陛下は付き添っている女性を見た。

 女王のスケジュール管理をしている秘書だ。

 その女性がこちらにうなずく。

「わかりました」


「ほぉ、これが」

 オレの部屋に女王を連れてきて、レフティーを紹介する。

 レフティーは、立ち上がって、胸を張った。

 女王は、レフティーのそばに寄り、顔を近づけた。

 レフティーが、低く鳴いた。

 目つきが鋭い。

「陛下、どうやら気が立っているようです」

「わかった」

 女王は、近づけた顔を上げ、少し離れた。

「昔話に出てくる竜とは違うな」

「昔話の竜は、人が想像して描いたものがほとんどです。それに2種類の竜が描かれていました」

「2種類?」

「はい。ひとつは、この渡り竜のように翼が生えており、前足もあります。もうひとつは、ヘビのような身体で4本の足がありますが、翼がないのに飛ぶことができるそうです。明らかに空想上の動物ですね。大きさも巨大ですし」

「そうか。食用の卵を産む竜を見たことはあるが、全然違うな」

「あれは、長距離を飛ぶタイプではありませんからね。渡り竜のように大きな翼も必要としません」

「なるほど。普段、暮らしているのは、北部だと聞いた。なのになぜ渡ってくる?」

「北部では寒すぎて、子どもを産み育てるには、厳しいのだと思います」

「それならば、こっちに住み続ければいいだろうに」

「おそらく危険があるのでしょう。北部ならそうした危険が少ないのではないでしょうか」

「そうか。しかし、きれいな目をしているな」

「はい。みなが、ガラス玉のようだ、と」

「うむ、そのとおりだ。このまま、飼うのか?」

「骨が元通りになったら、放してやるつもりでいます。野生の竜ですからね」

「そうか。どのくらいで治る?」

「わかりませんが、ひと月ほどかと」

「わかった。エサ代・治療費は王室がもつ。請求するといい」

「いえ、そのような」

「通りがかりとはいえ、城でケガをしたのだ。その治療は王室の責任となる。私の客人として対処する。よいな」

「かしこまりました」

 女王は、秘書にうなずくと、オレの部屋から出ていった。

 オレは、女王が廊下に姿を消すまで見送ってから、レフティーのそばに戻った。

「レフティー、おまえは、女王の客人だとさ」

 レフティーは、ヒザをたたんで、腰を降ろした。

 それから鼻息をひとつ吐き出した。

 まるで、諦めのため息のようだった。

 それを見て、オレは笑った。

 レフティーが、ピーピーと抗議の声を上げる。

「すまんすまん。さて、仕事に戻るとするか。おまえは、おとなしくしてなさい。いいね」

 オレは、レフティーの返事を待たずに、部屋を出て、仕事場に戻った。

 室長に報告する。

「よかったわね。エサ代もバカにならないでしょ?」

「そうですが、気にするほどの負担ではありません」

「いいじゃない。陛下の客人をおもてなしできるのは、名誉なことだわ」

「その分、気軽ではなくなりましたよ」

「そうね」

 彼女は、そう言って、クスクスと笑った。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ