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落とされ人  作者: カーブミラー


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【004.監獄惑星〈スータン〉】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 次に入った部屋は、何もない空間だった。

 看守が、囚人たちを整列させていく。

 全員が入ったのを確認すると、また天井から男の声。

『これから10人ずつ、次の部屋に入ってもらう。残りは、そんなに待たずに済むだろうから立ったままでいてくれ。座ってもかまわないぞ。すぐに天国に行ける』

 まわりは、看守に取り囲まれていた。

 誰も文句ひとつ言わない。

 座る者もいない。

 10人が次の部屋へと入っていく。

 “待たない”というのは、ウソに近い。

 最初の10人が入っていって、次の10人が呼び込まれるまでに、30分近く経っていた。

 それでも次の10人が呼び込まれたのは、15分後だった。

 オレは、この中に入っていた。

 それだけ、前の人間が死んだということだ。

 まぁ、それほど多くないだろう。

 後ろの方が、多そうだ。

 チラッと後ろを見たが、もうひと組分もいなかった。


 次に入った部屋には、ロボットがいた。

 20体。

 全員が、作業用の人型だ。

 それだけじゃない。

 大型スクリーンがあり、そこにひとつの惑星が映っていた。

 白、青、緑、赤、黒。

 緑豊かで海がきれいな岩石型の惑星だ。

『諸君が降りる惑星を紹介しよう。監獄惑星〈スータン〉。〈レダン星系〉第2惑星だ。ごらんのとおり、ソラ人にとっては、住みやすい環境だ。だが、生きていくには自分の力しか頼れない。そう考えておいてくれ。男も女もだ。もしかしたら仲間がいるかもしれないがな。

 さて、ここから先は、地上まで、ひとりずつの行動になる。着陸船は、ひとり用だ。それぞれが惑星上の別の場所に着陸する。行き場所は、これから決める』

 ロボットのひとりが、台車とともに進み出る。

 台車には、小さなボールの入った透明なボール。

 ビンゴゲーム。

 どうやらそれで決めるらしい。

 番号の若い順に、番号の書かれたボールが、ロボットによって振り落とされる。

 それが囚人ひとりひとりに渡されていく。

 10人に手渡された。

 オレのボールは、8番だ。

 ロボットが立ち位置に戻る。

『では、ひとりずつ前に出て、そのボールをロボットに渡すんだ。ロボットが、着陸船に座標を入力してくれる』

 言われたとおりにする。

 ロボットは、何も言わない。

 それから次の部屋へとひとりひとりが入っていく。

 ロボット2体と一緒に。

 オレの番。

 同じようにロボット2体とその部屋に入った。

 部屋の中には、すでに誰もおらず、ただ目の前に白い球体があるだけだった。

 大きさは、150cmというところか。

 その一部が、開いている。

 どうやらこれが着陸船らしい。

 開いている穴を覗き込むと、そこには、直径1mほどの空間があるだけだ。

「荷物をこちらに」とロボットのひとり。

 荷物を渡す。

「どうぞ、乗り込んで下さい」

「この中にか? どうやって?」

「仰向けに頭から入って。中にバーがありますから、それにつかまって身体を引き寄せれば、奥に入れます」

「オレ、閉所恐怖症なんだけどな」

「そうした精神疾患の報告は受けていません。どうぞ。それとも即効性の睡眠薬の処方をしましょうか?」

 すでに調査済みってわけか。

 諦めて、その穴に潜りこむ。

 バーをつかんで、懸垂の要領で、身体を引き寄せた。

 球体の中心は、身体を丸めないと入れない。

 足を伸ばしたままで入ると、ロボットが押し入れようとする。

「ヒザを曲げてください」

 文句を言ってもダメなんだろうな。

「はいはい」

 ヒザを折り曲げ、抱え込む。

 何かの果実のタネになった気分だ。

「そのままでいてください。緩衝材があなたを守ってくれます」

 急に暗くなった。

 穴が塞がれたのだ。

 それから身体のまわりが、せばまってくる感覚がある。

 このまま、押しつぶされてしまうのではないだろうか。

 そうした恐怖感が、暗闇の中から襲ってくる。

 肌に感じる感覚しか、得られるものはない。

 押しつぶそうとする感覚は、ゆっくりだ。

 意識的に、恐怖をコントロールしてみる。

 肌に受ける圧迫は、柔らかい。

 必要以上には、圧力が加わってこない。

 だが、少しずつ、身体のまわりから覆われていく。

 息苦しい。

 頭部も覆われた。

 鼻と口は、覆われずにいる。

 呼吸はできる。

 ただ、シューッコーッと自分の呼吸の音だけが聞こえる。

 身体に揺れを感じた。

 移動している。

 加速感しかわからない。

 そこから推測するに、発射台に載せられているのだろう。

 どのくらいの時間が、それに費やされたのかはわからない。

 長く移動している気がする。

 だが、自分の状況を考えると、時間が長く感じられているだろうから、たいした時間が費やされているとも思えない。

 停止した。

 秒を数えてみる。

 意識的にそうすることで、感じる時間を正確に近づけられるはずだ。

 そう思って。

 15秒もせずに衝撃が来た。

 前から後ろへと。

 どのくらいの加速かは知らないが、かなりのGだ。

 身体が押しつぶされそうだ。

 それも秒数を数えていた。

 そうしないと“このまま押しつぶされて死んでしまうのだ”という恐怖に負けてしまいそうだったからだ。

 20秒の加速ののち、身体は楽になった。

 加速が終り、無重量になったのを感じる。

 着陸まで、どのくらいの時間がかかるのかを訊いておけばよかった。

 睡眠剤の処方をしてもらうべきだったかもしれない。

 今のが、発進した衝撃だとすれば、着陸までに時間がかかるはずだ。

 そのあいだ、どうすればいいというのだろう?

 心配はいらなかった。

 すぐに睡魔が襲ってきて、気を失ったからだ。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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