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落とされ人  作者: カーブミラー


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35/45

【035.眠れぬ夜】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 眠れぬ夜は、誰にでも訪れる。

 今夜のオレが、それだった。

 身体からの欲求よりも、心からの欲求の方が強そうだ。

 寝室の間接照明をつけ、ベッドの縁に腰掛ける。

 人恋しいが、誰でもいいわけじゃない。

 セクサロイドのミリーに、いて欲しいのだ。

 だが、それはできない相談だ。

 彼女のいるところが、我が家なのに。

 なら今のこの気持ちは、ホームシックなのか?

 そうかもしれない。

 もう帰れない家、それがミリーなのだ。

 オレのすべてを受け入れてくれた。

 ミリー。

 今はもう記憶の中だけの存在。

 明るい褐色の肌は滑らか。

 それよりも濃い色の髪は、ふんわりと自然なウェーブを持っていた。

 瞳は、白く滑らかな玉石に黒い宝石をはめたかのよう。

 唇は少し厚めで、明るく赤く染まっていた。

 彼女が笑うと美しく白い歯がチラリと見え、その笑い声は小鳥のさえずりのようだった。

 その細く長い指が、しなやかに優しくオレを包む。

 ふくよかなその胸で、眠るのだ。

 そんな彼女は、もういない。

 明かりをそのままに、オレは自分を抱きしめて、目を閉じた。

 いつのまにか、眠りに落ちていた。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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