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落とされ人  作者: カーブミラー


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32/41

【032.誰もがみな】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 “過去は過去”。

 それがこの惑星での常識だ。

 だからまわりのみんなが、何をして、ここに落とされたのか、わかりにくい。

 表情を見る限り、犯罪者には見えない。

 激情型の人間も少ない。

 精神病患者もいない。

 どう見てもふつうの人ばかりだ。

 オレのような詐欺師もいそうにない。

 同業者ならひと目でわかるのだが。

 自分の部屋で、テオにそう話したことがある。

 テオも賛同する。

「そう思いますよね。誰もが犯罪者なんでしょうけど、どう見てもふつうなんですよね」

「誰かが自分が犯した犯罪について、ほのめかしたりはしていないのかね?」

「どこにいたとか、どこに行ったとか、仕事は何をしてたのかとか、その程度は話してくれますが」テオは首を振った。

「ふむ。何をやって、犯罪者になったのかは、誰も話したがらないか」

「ええ。酒場で酔って、“自分は無実の罪で投獄されたんだ”という人を見たことがありますがね」

「ここでの犯罪者は、どうなんだね?」

「ここでの、ですか? ふつうに処罰されていますよ。警察もあるし、裁判所もあります。裁判官もいれば、弁護士もいます。検事だってね」

「ほかの惑星と同じように?」

「ええ。ただし、過去の犯罪はよっぽどの理由がない限り、掘り出されることはありません」

「なるほど。“過去は過去”か」

「そういうことになります」

 テオの過去もまた、聞き出せないままだった。

 それでいいのかもしれない。

 全員が、〈落とされ人〉なのだから。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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