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落とされ人  作者: カーブミラー


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3/15

【003.永遠の眠り】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。

 行列が長く続く。

 オレは、その中のひとり。

 まわりには、看守たちが全身ブルーの簡易宇宙服とヘルメットを着用して、等間隔に立っている。

 その手には、ハンドガン。

 いつでも撃てるように構えている。

~'15.06.11(木)~

 銃口の先は、囚人であるオレたちだ。

 どうやら、一時的に眠らせるためのパラライザーではないらしい。

 一度だけで永遠の眠りにつけそうだ。

 行列が進んでいくと、左側にひとりの囚人が腹ばいに倒れていた。

 ピクリッとも動かない。

 息もしていないようだ。

 それもそのはずだ。

 その囚人の背中には、大きな穴が開いている。

 しかもまだ焦げてくすぶっている。

 暴れたようすはなかったが、見せしめに殺されたのかもしれない。

 つまり、“死にたければ、いつでも撃ってやるぞ”と言っているわけだ。

 肉の焼けるニオイをかいで、ゆうべ、食べたステーキのニオイを思い出す。

 それとともに、目の前のヤツが、屈み込んで嘔吐した。

 同じものを想像したに違いない。

 看守は、何も言わないが、銃口をオレに向け、前進するようにとハンドガンを振る。

 オレは、そいつに蹴りを入れて、立たせ、前進させた。

 看守たちの表情はわからない。

 みな、金色のバイザーを降ろしていて、その奥が見えないからだ。

 体格はよく、みな同じように見える。

 宇宙船を出て、歩く通路はきれいなオフホワイトで、傷ひとつなさそうだ。

 清掃ロボットがいるのだろう。

 さっきの死体は、どうするんだろうか?

 まぁ、単純に考えれば、外に放り出して惑星に落とすとか、動物のエサにするとか、そのあたりだろう。

 等間隔に並ぶ看守たちの緊張が伝わってくる。

 ハンドガンを持っているとはいえ、これだけの囚人がいっせいに飛びかかれば、銃が奪われ、殺されるとわかっているからだ。

 看守を人質に取れば征服できるかもしれない。

 だが、思い直した。

 囚人の反乱は、すでに考慮されているだろうから、何かの対応策があるはずだ。

 それにこの囚人たちが、反乱を起こすには、無理がある。

 ひとりひとりがバラバラに行動しても、すぐに制圧されてしまうだろう。

 看守も“人質になっても誰も助けてはくれないのだ”と知っている。

 だから緊張感を持って、銃口を囚人に向けているのだ。


 行列が辿り着いたのは、ロッカールーム。

 天井のスピーカーから男の声。

『自分の番号のロッカーの前に立て。若い順に並んでいる』

 オレの番号は、32番。

 グレーのロッカーには、それぞれに10cmくらいの数字が黒字で描かれている。

 自分のロッカーの前に立つと、しばらく待たされる。

『ロッカーの中には、おまえたちの服と靴、それに荷物が入っている。まずは、着替えることだ』

 自分のロッカーを開ける。

 そこには、長袖のシャツとズボン、ソックスとトレッキングブーツがあった。

 下着はない。

 サイズは、自分に合っていた。

 全部、黒一色。

 とにかく、着替える。

 拘束服は、すでに腕が自由になる状態だ。

 それを脱ぐと、ロッカーに突っ込んだ。

 全裸になるしかないが、いまさら恥ずかしがってもはじまらない。

 まわりの全員がそうだ。

 男も女も。

 それに見とれている者はいたが、関係ない。

 ロッカーの列ごとに、看守がハンドガンを構えて、監視している。

 そのハンドガンが、何度か使われている。

 同じ列の囚人のひとりが、バタンッと倒れた。

 女の裸に見とれていた男だった。

 看守の銃の腕前は、確かだ。

 あちこちで、倒れる音と、女の悲鳴。

 天井から男の声。

『時間を無駄にすると、天国がそれだけ近くなる。行きたければ、手を挙げてくれ。悲鳴を上げる者も同様だ』

 悲鳴がピタリとやんだ。

 それでも押し殺した嗚咽が聞こえてくる。

 ブーツを履くと、着替えは終りだ。

 まわりの囚人も着替えを終わっている。

『着替えが終わった者は、荷物を取り出して、ロッカーを閉じるんだ』

 言われたとおりにする。

 荷物は、バックパックひとつ。

 結構、重い。

 中身を確かめたいが、やめておく。

 銃の音と倒れる音が聞こえたからだ。

 また誰かが撃たれた。

 言われたとおりが、一番だというわけだ。

 生きたいならば。

『よろしい。では、後ろから通路に出たまえ。そうすると古い番号順になる』

 ふたたび、通路に出る。

 列は、すでに動き出していた。

 みな、背中にバックパックを背負って。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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