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「役立たずと追放された俺、実は最強魔導士だった。全員ぶっ潰してからスローライフする。」

はじめまして、ほしのこえです。

本作は、王道の「追放&ざまぁ」系に、最強無双とスローライフ要素をたっぷり詰め込んだ作品です。


「追放されるけど、実は最強」

「全部ぶっ潰した後、のんびり暮らしたい」


そんな願望、ありますよね?

この物語は、そんな“読者の夢”を詰め込んでみました。


途中からは異世界神まで出てきますが、基本的には「全裸温泉スローライフ」を目指してます。

気楽に読んでいただけたら嬉しいです!


ブックマーク、感想、レビュー大歓迎です!



第1話「役立たずは必要ない、だと?」


「・・・アレン、お前は今日限りでパーティーを抜けてもらう」


冒険者ギルドの奥。冷たい声が俺の耳を打った。


パーティーリーダーのガルドは、俺を真っすぐに見下ろしている。

その隣には、幼馴染で恋人だったエリナが立っていた。

エリナは、俺を見もせず、ただ鼻で笑っている。


「役立たずは必要ないんだよ」


「・・・は?」


「何度言わせるんだ、アレン。お前の【無属性魔法】なんてゴミだろ。火も雷も出せない。治癒もできない。どうやってパーティーに貢献するんだ?」


「でも・・・探索魔法なら——」


「黙れよ。そんなん、誰でも代わりがきくんだよ」


ガルドの言葉に、周囲の冒険者たちがクスクスと笑った。


「いいか、アレン。俺たちは【王国指定パーティー】だ。無駄な荷物は切り捨てる。それが正しい選択ってもんだ」


「・・・」


エリナが、俺の腕から装飾品を剥ぎ取る


「これもパーティーの共有品だから」

と涼しいい顔で。


「これで終わりね。あ、そうだアレン。私と婚約していたこと、もうなかったことにしてくれる?」


「・・・」


「だって、貴族様から縁談が来たの。あなたみたいな無能と結婚してる暇ないから」


完全に、切り捨てられた。


——俺は役立たずだ。


・・・本当に、そうだろうか?



■■■



その日の夜。

ギルドの外れにある古びた宿で、俺は一人、ベッドに座っていた。


「・・・俺は、役立たずじゃない」


てのひらを開く。

そこには、他人には見えてない文字が浮かんだいた。


【無属性魔法Lv.99】

【特殊魔法——全魔法干渉】

【時空魔法:習得済み】


俺は、本当は——

全属性を無効化し、時間を止め、空間を操る、世界最強の魔導士だった。


ただ、あまりに力が強すぎて、子供の頃からずっと隠していた。

本気を出せば、王国すら滅ぶ。

それを知っているのは、俺だけだった。


「でも、もういいよな・・・?」


あいつらが俺を「いらない」と言った瞬間、俺の中で何かが壊れた。


「じゃあ、全員ぶっ潰してやるよ」

俺は静かに呟いた。


——復習を始めるのは、明日からだ。


その後で、誰もいない森で、のんびりスローライフをする。

それが、俺の新しい人生だ。




第2話「復習開始。最初の標的は貴族様」


次の日の朝。


俺は王都の中央通りに立っていた。

昨日までと何も変わらない賑わい。

だが、俺の中には昨日までと全く違う感情が渦巻いている。


「まずは、あの貴族だな」


エリナが婚約話を進めている相手——

【ディラン・バルゼル】。

王国の財務卿を父に持つ、傲慢な若手貴族だ。


「元婚約者を奪ったツケ、払わせてもラぞ」



ディラン・バルゼルは、王都でも有名な放蕩ほうとう貴族だ。

女遊びと金の浪費ばかりしているが、父親の権力で誰も逆らえない。


「おい、下民! そこをどけ!」


街中でディランの馬車が通るたび、民衆は土下座する。

それが日常だった。


——だが今日は違う。


俺はその馬車の前に、わざと立ちはだかった。


「なんだ貴様!?」


ディランが馬車から顔を出す。

金色の髪、醜悪しゅうあくな笑み。


「無属性魔法のアレンだな? エリナから聞いてるぞ。貧乏人は道の真ん中に立つな」


「ディラン・バルゼル。お前に用がある」


「はぁ? お前に俺が付き合うと思うか? この馬鹿が!」


ディランが指を鳴らすと、護衛の騎士たちが剣を抜いた。


「殺せ。雑魚には見せしめが必要だ」


——ふぅ。


俺は小さく息を吐き、指を一本鳴らした。


時空停止タイムストップ


その瞬間、世界が止まった。

騎士たちの動きも、風も、時間も、すべてが。


止まった世界の中で、俺はゆっくりと歩き、ディランの目の前に立つ。


「・・・こいつは、今まで人を殺してきた回数、35回か」


【全魔法干渉】の効果で、相手の過去も覗ける。


「子供も、老人も、見せしめで殺してきたな」


俺は、ディランの額に指を当てた。


「——その罪、返してもらう」


罪喰シンイーター


バリバリバリ・・・と空間が割れ、黒い稲妻がディランの体を貫いた。

止まった時の中で、彼の魂だけが砕ける。


「二度と輪廻りんねにも戻れないようにな」


俺は時間停止を開始した。


パチン。


「・・・?」


通行人たちが動き出した瞬間、ディランの体は、粉々に砕けて消えた。

煙のように、何も残らない。


「ひ・・・ひいいいい!!」


護衛の騎士たちが叫び声を上げる。

だが、誰も俺に手を出せない。

何が起きたのか、誰も理解できていないからだ。


「これが、俺の復習の始まりだ」


俺は静かに呟き、王都の裏通りへと消えていった。



その夜、冒険者ギルドではディラン死亡の噂で持ちきりだった。

だが、俺はもうギルドに用はない。


「さて・・・次はガルドとエリナだな」


復習はまだ、始まったばかりだ。




第3話「元パーティーへの制裁。偽りの勇者たち」


ディラン・バルゼルが消えた次の日。

王都は騒然としていた。


「貴族が・・・一瞬で消えた?」


「神の怒りか?いや、魔法復活の兆しか?」


民衆たちは恐怖に震えている。だが、俺には関係ない。

次は——元仲間たちの番だ。



「おう、久しぶりじゃねぇか、アレン」


冒険者ギルドの酒場。

そこにいたのは、リーダーのガルドと、恋人だったエリナ、そして元パーティーの仲間たちだった。


「なんだよ、今さら戻ってきたのか?」


「ははっ、見ろよガルド。あいつ、ボロボロの服着てやがる」


「くすっ・・・ほんと、惨めね。エリナ様と婚約してたのが間違いだったのよ」


エリナは、俺をあざ笑いながらガルドの腕にしなだれかかる。


——ああ、なるほど。


これが偽りの勇者パーティーか。


実力もないのに、【勇者のパーティー】と名乗り、金と女と権力に溺れた連中。

王国指定パーティーに選ばれたのも、全て裏取引とコネ。

真面目に冒険している奴らを踏み台にして、のし上がってきた連中だ。


「俺を追放した理由、今さら分かったよ」


「は? なんだよ急に」


「俺が邪魔だったんだろ。ガルド。お前、俺の【無属性魔法】が怖かったんだな?」


「は。バカ言え。そんなもん——」


「じゃあ試してみるか?」


俺は静かに手を上げた。


【全属性魔法】


ガルドたちが持つ剣、鎧、そして体内に残っている魔力までもが、光となって俺の掌に集まる。


「な、なに・・・?」


「それは俺の魔法だ。全属性を吸収する。火も、雷も、命すらも」


「ぎゃああああ!!」


ガルドが叫んだ。

身体がみるみる干からびていく。

エリナも、他の仲間たちも同じだ。

全員、俺に魔力を奪われ、無惨なミイラになっていく。


——けど、ここで終わりじゃない。


俺は彼らの魂を指で弾いた。


【輪廻封印】


これでこいつらは二度と転生もできない。

死んだら終わりじゃない。

終わりすら与えられない。



——こうして、偽りの勇者パーティーは全滅した。


王都はさらに混乱する。だが俺は気にしない。


「さて・・・次は王国だな」


王様と、その取り巻きども。


こいつらも全員、同じ目に遭わせる。


それが終わったら、森で一人、静かに暮らすだけだ。

誰にも邪魔されず、自由に生きる。

それが、俺の最後の目標だった。



第4話「王国への宣戦布告。最強魔導士の無双開始」


ガルドたちを葬ってから、3日後。


王都は異様な緊張に包まれていた。

貴族が一人消え、勇者パーティーが全滅。

王国中が、見えない何かに怯えていた。


——だが、その「何か」は、もうすぐ正体を現す。



「王様、ご報告です!」


王城の大広間。

重臣たちが集まる中、騎士が慌てて駆け込んだ。


「ディラン様が死亡、勇者パーティーも全滅。全て・・・”アレン”という男の仕業かと!」


「アレン・・・?誰だそれは」


「元は、勇者パーティーに所属していた”無属性魔導士”です。昨日、魔導士ギルドからの報告で、全属性吸収と時空魔法の使用が確認されました!」


「——馬鹿な」


王は青ざめた。


「そんな存在、聞いたことがない。王家指定の魔導士にも、そんな能力は・・・」


「ですが、間違いありません! ギルドの測定魔法が反応しました。王国規格外の魔力値です」


「・・・」


王はしばらく黙り、やがて唇を噛んだ。


「ならば、討伐隊を出せ」


「すでに出しましたが・・・」


「が?」


「全滅しました。全員、影も形もなく消滅しております」


「な、何だと・・・?」



その時、大広間の天井が、音もなく裂けた。


「——俺だ」


俺は王の前に姿を現した。


空間転移魔法【次元跳躍】を使えば、王城の結界なんて紙切れ同然だ。


「お、お前・・・アレン・・・!」


「よく覚えてたな」


王と重臣たちが武器を取る。だが、意味はない。


時空停止タイムストップ


世界が止まった。俺以外、全員の動きが止まる。


「さて。話をしよう」


俺は王の目の前まで歩き、時空停止の効果範囲を王だけに解除した。


「わ、わしを・・・どうするつもりだ・・・?」


「簡単なことだ。宣戦布告しに来た」


「せ、宣戦布告・・・?」


「そうだ。お前ら王国の全員に復習する」


「な、何を言っている・・・?」


「俺は王国によって全てを失った。パーティーも、恋人も、誇りもな」


「・・・」


「だから俺は、王国を滅ぼす」


「ば、馬鹿な!」


「これが宣戦布告だ。聞き届けたな?」



俺は王の額に指を当てた。


「お前はまだ殺さない。国が崩壊していく様子を、王として見届けろ」


「ひ、ひいいい・・・!!」


王は腰を抜かし、涙を流して震えていた。



俺は王城から去った。


空は晴れている。だが、この国はもう、終わりだ。


「・・・さて、始めるか」


俺は王都の空を見上げ、指を鳴らした。


【神域解放】


世界が、黒く染まる。


これはもう、誰にも止められない。




第5話「王国崩壊。黒き魔導士の降臨」


——世界が、黒く染まった。


「な、なんだ・・・これは・・・」


王都の民たちは空を見上げ、震えていた。


昼だというのに、夜よりも濃い闇が空を覆う。

太陽の光は消え、空気は重たく、息すらしづらい。


「・・・あれは・・・!」


王都の中央塔の上に、一人の男が立っていた。

全身黒衣。

顔はフードに隠れ、目だけが赤く輝いている。


——俺だ。


「聞け、王国の民よ」


魔力を拡散する。

王国全土に、俺の声が響き渡る。


「俺はアレン・クレイン。貴様らが”役立たず”と呼んだ男だ」


「っ・・・」


「だが俺は、本当は【神域魔導士】だ。世界そのものを支配できる存在だ」


「俺は追放した貴様らに、罰を与える」


「——王国は、今日をもって滅ぶ」



「く、来るな!魔王か・・・魔王が来たぞ!!」


「違う、あれはアレンだ!無属性魔導士だったはずの・・・!」


「うそだろ・・・なんでこんなことに・・・」


王都の兵士たちは、剣を構えるが、震えて動けない。

冒険者たちも、ギルドマスターすらも、誰もが膝をついていた。


「さあ——滅べ」


俺は掌を広げた。


【全魔法干渉・大解放】


この世界に存在する全ての魔法陣が、俺の手のひらに集約される。

防壁、結界、回復、攻撃・・・全てを上書きする。


【王都全域・魔力爆裂マナ・バースト


ゴォォォォォォォ・・・


黒い魔力が王都全域を覆い尽くす。

建物が崩れ、地面が裂け、塔が消えた。


——だが、俺は”人だけ”は殺さなかった。


「恐怖だけを与える」


生きたまま、絶望を味わえ。

俺を切り捨てた人間たちが、滅びゆく世界を見上げるその顔。

それこそが、俺にとっての復習だ。


「・・・さて」


俺は空中を歩き、王城の跡地に降り立つ。


もはや、王も貴族も、勇者パーティーもいない。

王国は——崩壊した。



「これで・・・やっと終わった」


だが、胸の奥は冷たいままだ。

復習を終えたはずなのに、心は空っぽだった。


「・・・スローライフ、か」


一人で生きる。

森で、誰にも邪魔されず、静かに暮らす。


それが、俺の本当の望みだったはずだ。


「もう、誰もいらない」


俺は空を見上げ、ゆっくりと歩き出した。


次は、森へ向かう。



第6話「森で始める最強スローライフ。だけど世界が放っておかない」


王国を滅ぼしたその日、俺は静かに森へ向かった。


「ここでいいか」


誰も寄りつかない、王都から北の果て。

人も魔物もいない、静かな森だ。


小川が流れ、鳥が鳴いている。


「・・・いい場所だな」


俺は指を一本鳴らした。


【次元建築】


空間そのものを操作し、一瞬でログハウスが出来上がる。

ベッド、風呂、暖炉、全て完備。

もちろん魔力で維持するから、掃除も必要ない。


「ふぅ・・・やっと、のんびりできる」


誰もいない。

もう、復習する相手もいない。


俺はベッドに倒れ込んだ。



——だが、世界は俺を放っておかなかった。


数日後。


「またか・・・」


森の結界が反応した。

どうやら誰かが俺の住処を探し当てたらしい。


外に出ると、そこには少女が倒れていた。


「助けて・・・ください・・・」


銀髪の少女。

薄いドレス一枚で、血まみれになっている。ただの人間じゃない。

身体から、強烈な”神気”が溢れていた。


「・・・神族か?」


この世界の”上位存在”。

王国も帝国も関係なく、世界を司る種族。


「なんで、神族がこんなところに・・・」



少女は目を開けた。


「あなたが・・・アレン・クレイン・・・ですか・・・?」


「そうだ」


「・・・お願いです。世界を救ってください。」


「は?」


「このままでは・・・世界そのものが・・・壊れます」



「お前、何を言って——」


「・・・あなたが【神域魔導士】として力を解放したことで、世界の”均衡”が崩れました。」


「・・・」


「今、世界は崩壊に向かっています。

——あなたしか、止められません」



「・・・ふざけるな」


俺は、復習が終わったら、ただ静かに暮らすつもりだった。


「俺はもう、世界なんてどうでもいいんだよ。勝手に壊れろ」


「・・・それはできません」


少女は、俺の手を掴んだ。


「なぜなら、あなたは【世界の管理者】に選ばれたからです」


「・・・何?」


「あなたはもう、ただの人間ではありません」


「・・・」


「このまま放っておけば、あと30日で世界は滅びます」


「・・・」


「それを止められるのは——あなただけです」




「・・・はぁ」


俺は、ベッドに倒れ込み、天井を見つめた。


「やっとスローライフできると思ったのに・・・」


——どうやら、俺は戦いは終わらないらしい。




第7章「世界の管理者に選ばれた最強魔導士。面倒だけど、しかたなく始める救済計画」


「・・・世界の管理者?」


俺は少女に問い返した。


「そうです。」


銀髪の少女は静かに頷いた。

彼女の名前は【リリス】。

神族の長老会直属の神官らしい。


「アレン・クレイン。あなたが【神域解放】を使った時点で、世界の支配構造は変わりました」


「・・・それ、俺のせいか?」


「はい。完全に、あなたのせいです」


リリスはさらっと言う。


「この世界はもともと、神族と管理者が均衡を保っていました。ですが、あなたが管理者権限を奪ったのです」


「そんなつもりはなかったんだけどな・・・」


「結果的に、今の世界は”主無しの暴走状態”に入っています。このままだと、時空の歪みが広がり、世界が崩壊します」


「・・・」


——正直、面倒くさい。


だが、ここで放っておいたら、俺のスローライフもできなくなる。


「俺はもう戦いたくない」


「戦わなくて大丈夫です」


「・・・は?」


「管理者権限を使えば、戦う必要はありません。ただ、世界を”設定し直す”だけです」



リリスが差し出してきたのは、光る球体だった。


「これは、【世界設定球ワールドエディット・コア】です」


「・・・何それ」


「この世界の法則を、自由に書き換えられます」


「・・・は?」


「例えば、”俺がスローライフする世界にする”とか、”美少女だけが周りに集まる世界にする”とかも可能です」


「・・・おい」


「逆に、”もう誰も裏切らない世界にする”こともできます」


「・・・」



俺は、しばらく黙って考えた。

——俺が、世界そのものを書き換えられる。


もう、誰にも傷つけられない。誰にも裏切られない。


「・・・設定するか」


「はい」


「俺が、俺だけの世界を作る」



俺は球体に手をかざし、設定を入力した。


——【この世界は、アレン・クレインを絶対的管理者とし、裏切りも戦争も起きない。

アレンが望む時だけ、平和にスローライフができる世界にする】


「・・・これでいい」


球体が光り、世界法則が上書きされた。


リリスが微笑む。


「・・・はぁ」


俺はベッドに寝転がった


「じゃあ、やっとのんびりできるんだな」


「はい。ただ・・・」


「ただ?」


「世界各地から、美少女たちがあなたに会いに来る設定も・・・入ってますけど?」


「・・・は?」


「だって、スローライフは癒しも必要ですよね?」


リリスが微笑む。


「俺、そんな設定入れたか・・・?」


「無意識に、です」


「・・・」


どうやら、俺の平和なスローライフは、まだまだ賑やかになりそうだった。




第8話「スローライフ開始。だけど、なぜか美少女たちが次々と押しかけてくる件について」


「やっと、平和になったな・・・」


俺は森のログハウスで、昼寝をしていた。

小川のせせらぎ。鳥のさえずり。

誰にも邪魔されない、最高の時間。


これこそが、俺の望んでいたスローライフだ。


「ふぁ・・・」


魔法で淹れたコーヒーを飲みながら、椅子にもたれる。


「・・・最高だな」


世界の崩壊も止まった。もう王国も貴族いない。

誰にも命令されず、好きな時に寝て、好きな時に食う。


——だったはずなのに。


「・・・なあ、リリス」


「はい?」


「なんで、毎日美少女が押しかけて来るんだ?」


「設定したじゃないですか」


「いや、した覚えはねえ」


「無意識に願望が漏れたんですよ」


「・・・」





その日も、森の入口が騒がしかった。


「アレン様!お見合いに来ました!」


「料理が得意です!嫁にしてください!」


「癒し担当の聖女です!今日は膝枕をしにきました!」


「私は元王女ですが、ぜひ嫁に!」


「いや、全員まとめて帰れ!」



美少女たちが毎日のように森に来る。


冒険者の少女。

聖女。

元王女。

竜人族の姫。


「・・・お前ら、なんで俺の場所が分かるんだよ」


「アレン様は世界の管理者ですから、位置情報、公開されてます」


「リリス!それ設定しといてくれよ!」


「だって、寂しそうだったじゃないですか」


「寂しくねえよ!」





それでも、毎日、誰かが俺を訪ねてくる。


料理を作ってくれる子。

一緒に釣りをする子。

寝る時に勝手に隣に入ってくる子。


「俺のスローライフは・・・」


「にぎやかスローライフですね」


リリスがニコニコしている。


「はぁ・・・」


まあ、嫌いじゃない・・・かもしれない。」


世界を滅ぼすほどの力を持った俺が、今やっていることは、美少女たちと一緒に森で魚を焼いて、温泉に入って、昼寝するだけ。


「・・・意外と悪くないかもな」


俺は、静かに笑った。




第9話「温泉作ってハーレム生活。でも元勇者がなぜか生きていた件について」


「・・・ふぅ」


俺は今日も、森でスローライフしている。


【温泉生成】


空間魔法で地脈を操作し、ログハウスの横に温泉を作った。

もちろん温度調整、成分調整は完璧だ。

美肌効果、疲労回復、魔力回復つき。


「アレン様!温泉できたんですね!」


「やったー!水着用意してきました!」


「アレン様、今日は混浴ですか?」


「いや、待て。勝手に入るな!」


わいわいと美少女たちが押しかける。

元聖女のミリア、竜人族の姫リュシア、元王女のセリナ・・・

毎日が賑やかだ。


「・・・まあ、いいか」


俺も温泉に浸かる。森の香りと湯気に包まれて、最高の癒しの時間だ。


「やっと、平和になったな・・・」





——だが、その時だった。


「アレン・・・!」


温泉の結界が破られた。


「・・・誰だ?」


森の奥から、男が歩いてきた。


黒い鎧に、深い傷跡。だけど、その顔は間違いなく知っている。


「ガルド・・・?」


「そうだ・・・俺だ」





「お前、死んだはずじゃ・・・」


「お前が【輪廻封印】した。普通なら、魂ごと消えてるはずだ。だが・・・」


ガルドは苦しそうに笑った。


「・・・【勇者の祝福】が俺を生き返らせた」


「・・・は?」


「俺は勇者だからな。神に選ばれてる。どんな魔法でもころせない」


「そんな・・・」


「アレン。お前が世界を支配したところで、俺は死なない」


「・・・」


「だから、決着をつけようぜ」





「ふん・・・」


俺はゆっくりと立ち上がる。髪から湯気を立てたまま、裸足でガルドの前に歩いて行った。


「ガルド」


「なんだ?」


「・・・お前、全裸の俺に決着を挑んでるって分かってるか?」


「・・・え?」


「俺、今温泉入ってんだぞ」


「そ、それは・・・」


「・・・まあいい。殺し方を変えればいいだけだ」


「!?」


【神域魔法・管理者権限書き換え】





——勇者の祝福。

不死身の呪い。

神の加護。


そんなもん、世界の設定を書き換えれば簡単だ。


「・・・お前の復習は、もう無効にした」


「な、何・・・」


「勇者って設定も、さっき削除した」


「ぐ、が・・・!」


ガルドの体が崩れた。もう二度と、蘇ることはない。


「・・・さようならだ」


俺は背を向け、再び温泉に戻った。





「アレン様、終わりました?」


「・・・ああ、終わった」


「じゃあ、続き入りましょうね」


「・・・はぁ、やれやれだ」


——世界最強の魔導士が、全裸で温泉に入りながら、再びスローライフを楽しむ。


だが、その日常は、まだまだ続いていく。




第10章「全裸無双の温泉管理者、次は異世界神からの招待状が届く」


「ふぅ・・・」


俺は温泉に浸かりながら、空を見上げていた。


「やっと、全部終わったか・・・」


王国も滅ぼした。

偽勇者ガルドも消した。

世界の設定も書き換えて、スローライフの準備は完璧。


美少女たちに囲まれ、温泉に浸かる毎日。

——最高だ。


「アレン様、お背中流しましょうか?」


「いや、いい」


「私がマッサージしますね」


「だから、いいって言ってるだろ!」


はしゃぐ聖女ミリアと元王女セリナを軽くあしらいながら、俺は湯船に沈む。


「これで、やっとのんびりできる・・・」





——だったはずなのに。


「・・・ん?」


空から、光る何かが降ってきた。


「また・・・何だよ・・・」


俺の頭の上に、1枚の封筒が落ちてきた。


【異世界神界からの招待状】と書いてある。


「・・・は?」





リリスがそれを見て、顔を青ざめた。


「・・・これはマズいですね」


「なんだ?」


「アレン様が管理者になったことで、異世界の神界が干渉してきたようです」


「・・・めんどくせえ」


「異世界神は、【全多元宇宙の管理者会議】への参加を求めています」


「・・・俺が?」


「はい。この世界だけじゃなく、異世界の管理者とも調整しなければいけません」


「いや、俺、スローライフしたいんだけど?」


「異世界の管理者たちも、全員スローライフ希望者ですよ」


「・・・は?」


「最近の異世界管理者は、みんな美少女と温泉でのんびりするのがブームなんです」


「・・・」





封筒を開けると、こう書かれていた。


——【異世界温泉スローライフ会議を開催します。全裸参加、必須】


「・・・なんだこれ」


「世界の管理者たちは、全員温泉で全裸会議するのが伝統です」


「はぁ・・・」



俺は、結局、異世界温泉会議に参加することになった。


でもまあ——


「美少女と温泉で全裸スローライフ」


「・・・案外、悪くないかもしれんな」


俺は湯船に肩まで浸かり、のんびりと目を閉じた。


——世界最強の魔導士による、管理者スローライフはこれからも続く。








ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


本作は、

「復讐ざまぁ」→「世界を滅ぼしかける」→「スローライフで全裸温泉会議」

という、テンプレとおふざけを全力で混ぜた物語でした。


気軽に読めるラノベを目指して書きましたが、

楽しんでいただけたなら幸いです。


もしご好評いただければ、

「異世界温泉管理者会議編」や、続編も検討しています。


よろしければ感想やレビューをいただけると、作者のやる気が爆上がりします!

ありがとうございました!

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