9話 双天、圧倒する
エグゾディアは咆哮を轟かせ、昊に襲い掛かる。
「穢らわしい手で昊に触れるな。」
陸は凄まじい攻撃をエグゾディアに放つ。
しかしエグゾディアはそのダメージを吸収し、
己の力へと換える。
「なるほど。与えたダメージを吸収して己の力に
変換させているんですね?だったら…」
昊がエグゾディアに何かを付与する。
それと同時にエグゾディアの肉体が腐敗し始め、
エグゾディアは絶叫する。
「試しに貴方に有効な毒を100万通り程生成して
付与してみましたが。どうやら。正解だったようですね?」
エグゾディアは口から血反吐を吐き、腐敗した肉体が
崩れ始める。
「おいおい。マジかよ?俺が邪眼使っても全然ダメージ
与えられなかったっていうのに。」
「貴方みたいに何でも力でゴリ押そうとする脳筋馬鹿
には厳しい相手でしょうね?」
「なんか。俺への当たり強くない?」
「それよりも。邪眼が効くようにしてあげたんですから。
ささっと倒してください。」
「はいはい。逢瀬の通りに。」
気怠そうに陸は邪眼を発動させる。
「破滅しろ。」
陸の言葉と共にシャボン玉が弾けるみたいにエグゾディア
の体が跡形も無く消え去る。
「ふぅ…何とか倒せたな。」
一息付くと陸は静かに邪眼を閉じ、元の瞳へと戻す。
「余り。邪眼を乱用し過ぎないでくださいね?
貴方が暴走したら非常に面倒ですので。」
「もう心配性だな?別に昊なら仮に俺が暴走しても
簡単に制圧出来るだろ?」
その言葉に昊は思わず陸の頬を引っ張る。
「そんな訳ないでしょう?人の気も知らないで毎度毎度
貴方は、暴走を止める私の身にもなってくださいよ。」
「すんません。」
そんな会話を繰り広げる2人の邪魔をするように
ロゼルムが間に割って入る。
「ロゼのお兄様に気安く触らないで!!」
親の敵のように昊を睨み付けるロゼルム。
「お前。良い加減に…」
「ごめんね。ロゼちゃん。でも私は貴女から彼を奪う気
なんてないから。」
「どの口が言うのよ?それに私達は初対面でしょ?
なのに。馴れ馴れしくするんじゃないわよ。」
敵意を剥き出しにするロゼルムに対し
昊は満面な笑みを浮かべる。
「ならこれから仲良くしましょう?」
「それは駄目だ。俺が嫉妬する。」
陸は自分の物だと主張するかのように昊を背後から
抱き寄せる。
「貴方は兄なんですから。我慢してください。」
「いやだ。昊は誰にも渡さない。」
駄々をこねる陸を見て。ロゼルムは昊に対して嫉妬心
を募らせる。
「私まだお兄様に抱き締めて貰った事無いのに。
どうして?あんただけ…」
ポタポタとロゼルムの瞳から止めどない涙が零れ落ちる。
「貴方のせいで。泣いちゃったじゃないですか?」
「えっ…俺が悪いの?」
「そりゃあ。妹そっちのけで私にばかりかまけてたん
ですから。陸が全面的に悪いです。なので。
責任持って彼女を慰めてください。」
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