8話 双天の片翼、奮闘する
陸はロゼルムを守りながらエグゾディアと死闘を
繰り広げていた。
(くそっ…息付く暇もねえ。それに…)
エグゾディアは陸の隙を突いてロゼルムに攻撃を放つ。
「てめえ。本当に良い加減にしろよ!!」
ここぞとばかりにロゼルムを狙ってくる為。
陸はそれに気を取られ、思うように戦えずに居た。
そしてそれが明確な隙となり。陸は左腕を切断される。
「お兄様!!」
「俺が下手に出てるからって。良い気になりやがって!!
良いぜ?てめえがその気なら本気で相手してやるよ。」
陸は本気でエグゾディアに攻撃を放つ。
だが陸が幾ら攻撃してもエグゾディアに有効打を
与える事は出来なかった。
(こいつ。俺が与えたダメージを根こそぎ吸収して
己の力に換えてやがる。だったら…)
「吸収しきれない程のダメージをくれてやるよ。
開眼【終焉の邪眼】」
刹那――陸の瞳が漆黒から真紅に染まり、真紅の瞳が
赤黒く光り輝く。
しかしエグゾディアは微動だにしなかった。
「おいおい。マジかよ?邪眼も効かねえとか。
冗談抜きでキツイぞ?」
発狂しそうになりながらも陸は何とか攻撃から
ロゼルムを守り切る。
「お兄様。そんなにボロボロになってまでロゼの事を…」
感激するロゼルムを他所に陸は心中で本音を吐露する。
(正直。俺としてはこいつは死んでくれた方が楽なんだが。
こいつを見殺しにしたら昊に絶縁されるからな?
何が何でも死守しねえと俺が死ぬ。)
昊に絶縁されたくない一心で陸はロゼルムを死守する。
そんな陸の健闘も虚しく。鋭利な触手が陸の脳と心臓
を貫通する。
「お兄様ぁ!!!」
ロゼルムの悲痛な叫びが木霊する。
瀕死になりながらも陸は不敵に笑う。
「俺の勝ちだ。エグゾディア。」
刹那――陸の体を貫通していた触手が一瞬にして消失する。
「ふぅ…間一髪って所ですね?」
そんな声と共に空色の髪に青玉色の瞳の少女がこの場に
現れる。
「全く。遅刻だぞ?昊。」
「よくも。そんな状態で喋れますね?」
呆れたように吐き捨てながら昊は陸の傷を完治させる。
「だったらもう少し早く来てくれよ。」
「それならお詫びに朝食は貴方が食べたいものにして
あげますよ?」
「なら昊特製巨大ハンバーグで。」
「そう言うと思って。材料を調達しておきましたよ。」
「さっすが出来る女は違うねえ?」
「ふざけてないで。戦いに集中してください。」
「ああ。それじゃあ。ささっと終わらせるぞ?昊。」
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