7話 双天の片翼、悪党を成敗する
一方その頃
昊は自身を手籠めにしようとしていた国王が従える
近衛騎士団達に取り囲まれていた。
「そ、そいつを今すぐ殺せ!!」
その指示に従い、騎士達が一斉に動く。
「本当に救いようがない人ですね?」
昊は襲い来る騎士達を一瞬にして氷漬けにする。
「くそっ…一体どこにそんな力が!!」
「これは精霊術の類いですよ?私は魔法の他にも精霊術
も網羅していますから。」
「この…化物が!!」
忌々しげに吐き捨てる国王に昊は嘲るように笑う。
「その化物に喧嘩を売ったのは他でもない貴方じゃないですか?」
「くそっ…こうなったら!!」
国王は懐から宝玉のような物を取り出す。
それは生贄を捧げる事で持ち主の願いを叶えるという
禁忌の代物だった。
「そこに居る騎士共を生贄に捧げる。だからそこのガキを
殺せ!!」
国王が吐き捨てると氷漬けにしていた騎士達が一斉に
血反吐を吐き、絶命する。
「はぁ…本当に煩悩に塗れた人間というものは
どこまでも愚かで醜いですね?」
昊の言葉と共に宝玉が跡形もなく砕け散る。
「なっ…宝玉が…」
「残念ながら私を殺すなんて不可能ですよ。
そんな事世界が許さないでしょうからね?」
「そんな馬鹿な!!」
狼狽する国王に昊は冷酷に吐き捨てる。
「自身の行いを悔い改めて。ちゃんと罪を償うという
のなら。許すつもりでいましたが。どうやら。貴方に
慈悲を与える資格はないようですね?」
「良いのか?私を殺せば。世界が黙って居ないぞ?」
「心配しなくても殺したりしませんよ。だって私利私欲の為
に罪なき命を犠牲にした貴方に死んで楽になる資格
なんてありません。
だからこそ貴方には永久の苦しみを与えます。」
そう一拍を置き、昊はその言葉を紡ぐ。
「深淵の底に沈め。【深淵の底】」
その詠唱と共に国王は漆黒の闇へと呑まれる。
「や…やめろ!!私はまだこんな所で終わる人間では…」
「精々。己が犯した罪の数を数えながら深淵の底で
朽ち果てなさい。」
そうして国王の全身が漆黒の闇に呑まれ、跡形もなく
この場から消え去った。
『全く。馬鹿な人間だ。我が主に手を出そうとするとは。』
プラチナブロンドの長髪にエメラルドグリーンの瞳をした
美しい女性が現れる。
彼女の名はティスタニア。
昊と契約を結んでいる精霊王だ。
「それが人間というものですよ?」
『全く。いつの時代も人間は愚かだ。』
「とりあえず。食材を調達しないとですね?」
昊の言葉にティスタニアは呆れ果てる。
『相方が頑張っているというのに。全く呑気なものだな?』
「心配しなくても。食材を調達してからでも充分
間に合いますよ。なんたって陸は私の最高の相棒
なんですから。」
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