16話 双天、決起する
その夜
2人はローブ付きのフードを顔を隠し、目的の場所
へと辿り着く。
「ふぅ…」
昊は昂ぶった感情を落ち着かせるように一息付く。
「大丈夫か?」
「今はまだ大丈夫ですが。いつまで正気を保って
いられるかは分かりません。ですので。
私が我を忘れたその時は私を止めてください。」
「ああ。任せろ。」
そんな会話を交わした後。2人は建物の中へと侵入する。
そして2人は何事もなく、その場所へと辿り着く。
「うっ…ひぐっ…ぐすっ…」
そこには酷く傷んだボサボサの純白の頭髪に
青碧の瞳の少女が蹲った状態で泣いていた。
少女の体は酷く痩せこけていて、血色も悪く、
おまけに全身は傷と痣だらけだった。
そんな少女が流した涙は美しい宝石へと変化する。
その光景にドス黒い感情が昊の中で湧き上がる。
だが昊はその感情を必死に押し殺し、出来るだけ
優しい笑みを作って少女に歩み寄る。
「来るのが遅くなってごめんなさい。
でももう大丈夫ですよ。ルミス。」
突如として静寂の中に響き渡った声に少女は瞳を
大きく見開かせる。
「だ、誰!?それにどうして?私の名前を…」
突然の事に戸惑う少女に昊はフードを取り、
自身の素顔を露わにする。
「私の名前は昊。貴女を助ける為にここへ来ました。」
「空色の髪に青玉色の瞳。もしかして?伝説の!?」
少女の言葉に呼応するように陸はフードを取り、素顔を晒す。
「ああ。嬢ちゃんの思っている通り。俺達が双天だ。」
「ほ、本当に実在していたなんて。」
「ええ。それでさっきも言いましたが。私達は貴女を
助けに来ました。」
その言葉に少女もといルミスは恐縮する。
「そ、そ、そ、双天様が私なんかを助けるなんて。
何かの間違いじゃ…」
「間違いだったら。最初からこんな街になんて
来て居ませんよ。」
即答する昊にルミスは動揺を露わにする。
「何故?私なんかを?」
「特にこれと言った理由はありませんが。
強いて言うなら。私が貴女を助けたいと思ったからです。」
その言葉にルミスは思わず涙を流す。
そんなルミスを昊は優しく抱き締める。
「今まで本当によく頑張りましたね。
でももう大丈夫ですよ。ルミス。
これからは私達が貴女を守ります。
もう二度と貴女に辛い思いはさせません。」
そう言って昊は優しくルミスの頭を撫でる。
生まれて初めて触れた人の優しさと温もりにルミスは
止めどない涙を流す。
今までルミスはこんな風に抱き締めて貰った事も無ければ。
頭を撫でて貰った事さえもなかった。
いつだってルミスの周囲には自分を虐げる者しか
居なかったのだから。
そんな現状に昊は底知れぬ怒りを覚えた。
だがその怒りを何とか抑えながら昊はルミスに
治癒魔法を掛ける。
(今後こそ絶対に守り抜いてみせる。)
昊は心中で静かに決意を固めるのだった。
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