11話 双天の片翼、父親と対談する
【ならば。単刀直入に言おう。貴様は我の息子ではない。】
そんな言葉に陸は気怠そうに溜息を吐く。
「はぁ…態々。そんな事を言う為だけに俺を呼び出したのか?」
確かな苛立ちを乗せた声が静寂の中に響き渡る。
【事実を聞いても。取り乱すどころか。顔色一つ変えぬ
とは。いや。そもそも関心が無いと言った方が正しいか?
貴様が気に掛けるのはこの世でただ1人だけだからな?】
「そんな事。お前には関係ない。それにお前は俺の父親
じゃないんだろ?だったら口を挟んで来るな。」
【どうせ。顔を合わせるのは今回で最後になるのだ。
経緯くらいは聞いておけ。】
「チッ…勝手にしろよ。」
【貴様は我の正妻である女神ティルタナもといティナ
がどこからか拾ってきた赤子だった。】
陸の義父もとい邪神アンラ・マンユは淡々と経緯を
述べていく。
【ティナは元より子を産めぬ体質だった。
だからどこからか拾ってきた。産まれて間もない
貴様を我が子にしようと言ってきたのだ。】
「それで。俺を我が子にしたと?」
【勿論。我は反対したさ。だがティナは貴様を我が子
にすると言って聞かなかった。それでやむを得ず。
貴様を我が子にした。】
「それなら俺を殺せば良かっただろ?」
【はっ…馬鹿を言え。誰が貴様のような化物を殺せるものか?】
「まあ。あいつですら俺を殺せなかったんだ。
そう言われるのも無理はねえか。」
【その呪縛から逃れる為に。最果ての地
を目指しているのか?】
「別に俺は安息を求めている訳ではないさ。」
【なら何故?貴様は…】
邪神の問い掛けに陸は笑みを浮かべる。
悍ましい程狂気に満ち満ちた笑みを。
「昊は俺を殺す為にカナタに行きたいとそう言ったんだ。
だから俺はそれに応じた。昊に殺されるのは
本望でしかないから。」
【やはり。貴様は我以上に狂っている。
邪悪に満ちた我ですら恐怖を感じる程に
貴様の本質は邪悪に満ちている。】
「褒め言葉として受け取って置いてやるよ。
邪神の成り損ない。」
その言葉を最後に陸はこの場を立ち去った。
【つくづく。嫌になる。我は所詮貴様の紛い物でしか
ないのだからな?】
忌々しげにアンラ・マンユは吐き捨てるのだった。
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