第1音 始まりの音色
初投稿です!見てくれて感謝!
次回は4/10配信予定です。
「なぁ、部長。俺たちの部活の内容、本当に大丈夫か?」
と、一人の男子生徒が聞く。
「大丈夫よ。私たちのユーモア溢れる部活勧誘ポスターを見て、入部する子が多いはずよ。」
と、部長は自信満々に答える。
「…でも、本当にいいんですか?今年度、真面目な吹奏楽部の子が確定で入部するんですよ!?」
と、焦って言う男子生徒を無理して、
「…大丈夫。そんなの都市伝説にも過ぎないから。」
と、汗をかきながら部長は言って、
「そろそろ、相方が来るらしいから行ってくるよ。」
と、部屋を出ていった。
その1時間前
「ふう……」
ある少女が、小さくため息をついた。
「ここで、新しい生活が待っているのね」 そうつぶやいた彼女の名前は——井上 花。 この春、山下福岡大学付属高等学校へと入学する。
「ここから歩いて15分くらい……かな」
地図を見ながら、花は目的地へと向かった。
——14分後。
「うわ……」
遠くから見えた校舎の立派さに、思わず声を漏らす。
明後日が入学式。しかし花は自宅から遠いため、学生寮を利用することになっている。
少し早めに登校し、今日から新生活の準備を始めるのだ。
ワクワクとした期待。
ドキドキするような不安。
いろいろな感情が胸を巡る中、花は正門をくぐり、事務室へと向かった。
「受験番号58294、合格者番号025……香川県高松市立讃岐中学校から来ました、井上 花です」
そう名乗り、中学校の生徒手帳も差し出す。
「はい、新入生の井上 花さんね。ようこそ、山下福岡高へ」
事務の先生はにこやかに対応してくれた。
「君は学生寮の申請をしていたね。——はい、これが寮の鍵。
ここから30メートルほど真っ直ぐ進むと、エレベーターホールがあるから。
鍵の左側の三桁が、君の部屋番号だよ」
「ありがとうございます!」
丁寧にお礼を言って、花はエレベーターへ向かう。
部屋番号は——605。
6階に上がった花は、ホテルのように整った空間に思わず息を呑んだ。
清掃が行き届いた廊下、大理石の床、ラグジュアリーな雰囲気。
「……すごい」
部屋の扉を開けると、先に到着していたらしい相部屋の子の荷物がすでに置かれていた。
そして室内は——
「うわぁ〜……!」
ふかふかのベッド、4Kのテレビ、そして美しく輝く大理石の洗面台。
まるで高級ホテルの一室のようだった。
(ここでの生活、ちゃんとやらなきゃ……特待生として、恥ずかしくないように)
そう心に誓って、井上花の新しい日々が静かに幕を開けた——。
「…でもその前にやらないといけないことがあるなぁ…。」
花は、少し呟いてため息をついた。
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