第9話 火の取り扱いは注意が必要です!!
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ウサギの花子視点
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はい。諦めました!!
そもそも、私って魔獣ですから!
はぁーー。そうなのです。私は魔獣なんだから、そもそも人間社会に適合出来るわけがないのです!
だからって、積極的に敵対するつもりも無かったのですが、このお城の塀から見る限り無理ですね。私が跳び回った所為でお城を囲んでいた人たちが何人も動かなくなっているようです。
着地してすぐに跳んでいたので、周りの被害と言うものを見ていませんでしたが、こうして改めて見ると駄目ですね。ジャンプした時か着陸したときに周りの石などを吹き飛ばして散弾銃の弾のようにあたり一面にまき散らしたのですかね? 放射線状に石と人間らしきモノが飛び散っていることが分かりますよ。
うん。仕方がない! 私もこの親子に肩入れしてしまっているので、この親子の敵は私の敵ですね。
あ! 今更だけど。親子は、お城の人たちと話していたから、お城の人たちが仲間で、下にいる人間たちは敵であっていますよね???
ああ、良かった。やはり人間たちは敵だったようです。
親子たちは人間を蹴散らしに行くようです。ふーーむ。要するに人間に取り囲まれたお城の仲間を助けるんですね! 分かりましたよ。改めて、私もお手伝いしましょう。
などと思っていましたが、なぜかお子様が離してくれません。うーん。懐かれすぎましたかね。
まぁ良いでしょう。別に人間を倒したいわけではありませんからね。
しかし、抱っこでは危険です。子供もちゃんと両手が使える状態にしておかないと、コケた時に怪我しますよ。まぁ、私も抱っこされていると、この子供を守りにくいですからね。
うーん。仕方がありませんね。
ちょっと失礼して、よいしょっと。
よし、ここなら大丈夫です。
落ちないようにバランスを取る必要がありますが、この子供の動きに合わせて、私もバランスを取れば良いだけで、そんなに難しくは無いですね。
おっと、後ろから魔法ですかね。
そんなものを人様に向けて放ってはいけませんよ。こんなものは「プイ!」です。
それにしても、この子供も少しは戦えるのですね。道で出会ったときは、気持ちの悪い魔法を使う人間の所為で動けなかっただけなのかも知れません。少しは安心しました。
まぁ、それでも子供ですからね。母親もチラチラと子供の様子を見ていますね。
ふふふ。大丈夫ですよ。私がちゃんと守っておきますよ。
暫く、人間たちを蹴らせていると、人間たちの方から空に向かって花火のような物が上がりました。
うーーん。日本の花火のような感じではないので、何かの合図でしょうか??
あ、人間たちが、武器も何も捨てて慌てて帰っていきます。どうやら撤収の合図だったようですね。
うんうん。これで安心です。
って、思ったら、何やら嫌な予感が!!
おおっっ! すっごい大きな花火……じゃなかった火の玉がこっちに向かってきます。
もう、こんなの子供に当たったら危ないじゃないですか!
よいしょっと。子供から降りて、ゆっくりと加速しながら子供の傍から離れて行く。
ここまで離れたら大丈夫かな。それじゃ本気の……おっと? お母さんも向かっていたのですね。
そりゃそうですよね。あの人間たちは、子供がいる場所に向かって何て事をするのでしょう!
でも大丈夫ですよ。あの程度なら簡単ですから、お先に行ってきますねー。
それじゃ改めて、本気加速ーーーー!! からのぉーーー蹴り!!
うん。これですね。子供の近くは危ないですから、ちゃんと離れてから加速するのが安全で良さそうです。もちろん、火の玉はちゃんと送り主に返しておきましたよ!
さぁって、これで戦いは終わりですかね? お返しした火の玉が大爆発しているので、もうこちらには来ないと思いますけど、一応、子供の護衛に戻りますかね。
ふぅ、これで良し! 私はいそいそと子供の上に登って警戒を再開です。
お、親子も同じく敵の攻撃は無いと判断したようですね。私を乗せてお城に入っていくようです。
ちょっとお城の中が楽しみです。ふっふふーん。なーにがあるのかな?
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魔王軍幹部 リンベル将軍視点
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んな!! 巨大な火炎魔術と思える火の玉がこっちに向かってくるのが見えた。
マズイ。あの規模の魔術が直撃すると、間違いなく砦の者たちに多くの死傷者が出る。
本来であれば、私が魔術で相殺するところであるが、勇者に斬られたことで大量に魔素を失ってしまったのだ。それは魔王様も同じだ。今の時点では、二人ともあの規模の魔術を相殺出来るほどの魔術を放つことが出来ない。
どうする。あの魔術では大量の死傷者が出る。……私が、私がやるしかないか!
魔力は、それほど残って居ない。魔術で相殺は無理だ。そうなると……残念だが、この体で止めるしかない。魔王様の成長を見届けたかったが仕方が無い。これでも一応、将軍だ。みすみす、部下を死なせるわけにはいかない。
すみません。後は、よろしくお願いします!!
私は、砦を飛び出し、向かってくる巨大な魔術に向かって走り出した。
はぅ!? 私の後ろからピンクの物体が追い抜いていく。
ぅが!! それが、私や砦から少し離れたと思ったら更に加速を開始した!
加速した瞬間、私に爆風が襲い掛かって来る。まるで、目の前で、何かが爆発したような衝撃だ。
私を追い抜いた程度は、まだ全然加減している状態なのだと分かる加速っぷりだ。
早いなんてものでは無い。弓矢から放たれた矢にも簡単に追いつくことが出来るのかもしれん。
私は、いつの間にか走ることをやめて、ピンクの高速物体を眺めてしまっていた。
し、しかし大丈夫なのか? あの角ウサギが強いとは分かっているが、今までの様子から、魔術は使えなさそうだから、生身で対応するしか無いと思う。
しかし、さすがに、あれを止めるのはさすがに厳しいのでは!?
あ! そうか! おそらく、受け流して、砦の被害……と言うか魔王様に当たるのを阻止しているだけなのかもしれないが、とにかく軌道を逸らすのかもしれないな。
はっはは。私は、もう本当にあの角ウサギの事を信用しているんだな。絶対に魔王様のことを守ってくれると思ってしまっている。
その角ウサギは、とてつもない速度で火炎魔術に向かっていったと思ったら……
「あっがぁーー!?」
あ、あの角ウサギ。巨大な火炎魔術を蹴り返したぞ!? そんな馬鹿な! 何をどうやったら、あの規模の魔術を蹴り返せるんだ?
少なくとも、あの魔術は一人の魔術師ではなく複数人で施した魔術だろうけど、それを一匹のしかも角ウサギが蹴り返すなどありえない。
もう、あの角ウサギは何でもアリだな。
あぁあ、蹴り返された方はたまらんよな。大爆発を起こしたぞ! あの魔術を放った魔術師たちは、全力で魔力を使い果たして撃ったはずだから、その状態で、あの巨大な火炎魔術を喰らったら防ぐ手立ては無いな。
たぶん全滅だ。それに、だいたい偉そうな奴って、そういった派手な場所に居たがるものだ。
たぶん、今回の攻撃隊の司令官も巻き込まれたな。
お、角ウサギの奴、何気ない顔してスタスタと戻って来たな。いや、たぶん本人…本ウサギ? は本当に何気も無い事をしただけなのかもしれないな。
はぁーー。何はともあれ、一旦、戦いは終わりだな。この状態で攻めてくれるほど余裕はないだろう。
ああ、また魔王様の頭の上に乗ってしまった。もう周辺に敵はいないだろうが!
うーーん。魔王様も魔王様だが、あのウサギもウサギだな。そんなに、頭の上が良いのか??
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