第5話 ビーフジャーキー? いや牛とは限りませんね
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うーーん? お、何やら少年が切り落とされた腕の横に寝転がりましたね。
何をしているのでしょう? こうして、顔をじっくり見てみると西洋画に出て来そうな美少年ですが、うーーん、諦めてしまったのでしょうか? それとも疲れたのですか? 何だかとても眠くなりました?
えっと、私はパトラッシュって名前ではありませんよ。
私が治療魔法でも使えれば良かったんだけど、そんなものはありませんから、かわいそうですが助けられないのですよ
……えぇ!! 腕が、腕がくっ付きましたけど? あ、これが治癒魔法か何かですかね?
片手が付いたら、さらに、もう一つの手も簡単にくっ付けてしまいましたよ。
おう、ふぁんたすてぃっく!
お、次は女性の四肢を拾い集めて、次々と付けていきます。なんと、この世界の人たちはちょっと気持ち悪いですが、あんなに簡単にくっ付くのですかね。
四肢が別れ別れになっていた女性も普通に動けるようになりましたよ。これも魔法ですかね??
ん? 今更ですが……気が付きました! この人たち血が出ていませんよ? 代わりに黒い煙のようなものが流れ出ています!
何だか気味が悪いですね。何でしょうか?
あっ! なんてことでしょう。完全にバラバラになった人たちが、まるで水が蒸発する時のように消えていきましたよ。ん? 消えたと思ったら小さいけど綺麗な石が残っていましたね。
こ、この人たちは悪魔とかでしょうか? ひょっとして、私は手助けする方を間違いましたか?
おそらく、私が蹴り飛ばしてしまった方は人間ですね。ちゃんと血を流していますから。
これは、あまり深入りしない方が良さそうです。そうですね。もう行きましょう。
ん? なんでしょうか? 少年が私に話しかけて来ています。うーーん。すみません。私は言葉がわかないのですよ。とにかく何か挨拶ぐらいはした方が良いのでしょうか?
「プイ!」
あ、これが私の声だったのですね。初めて知りましたよ。
お、手足がバラバラだった女性が、何やら手に持っています。何かいい匂いがしますが、それはなんですか?
女性が手に持っている物に気を取られているうちに、少年に抱きかかえられてしまいました。
うーーん。まぁ、私が本気で暴れたら、簡単に抜け出せるので問題ありませんが、それよりも、その細長い物……あ、それはジャーキーですね!
人間だったころに食べたことがありますよ。干し肉のようなもので、独特の味があって噛んでいると旨味が出てくる物ですよね。
え、くれるのですか? 本当に良いのですね? では、いただきまーす。
うん。美味しいです。これはイノシシの肉などとは比べ物になりません。
ポリポリ、もぐもぐ。ポリポリ、もぐもぐ。
ずっと食べていられますね。
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魔王軍幹部 リンベル将軍視点
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我ら魔王国は、はるか昔から人間との戦いに明け暮れていた。
魔王国の周辺は、剣国、槍国、聖国、弓国という人間どもの国によって囲まれている。
今から5年前、大戦いがあった。その時、槍国の勇者を倒すことに成功したのだ。
しかし、その代償は大きく、先代魔王様と幹部たち、多くのベテラン兵を失ってしまった。
勇者と言うのは厄介な仕組みで、現勇者が死ぬと新たな勇者がその国で誕生する。
そうだ、いつまでも勇者は居なくならない。勇者が生まれてから勇者として活動するまでの期間が我々の安寧の時なのだ。
倒した槍国の勇者は、既に誕生しているはずだが、まだ、幼いのか頭角を現していない。
現在認められている勇者は剣国の剣の勇者と聖国の勇者、弓国の弓の勇者だけだ。しかし、こ奴らもまた育成中との情報がある。そこで油断していたのかも知れない。
先日、弓国との国境にある魔王軍の砦、アズガバンに弓国の軍勢が攻め入って来たのだ。
取り急ぎ、幹部の一人であるセリシアを派遣して対応に当たらせているが、弓国の軍勢は意外と強く、砦は瞬く間に包囲され籠城を余儀なくされてしまった。
そして、時を同じく剣国側からも魔王軍の砦、カザマスタにも軍勢が攻め入って来たのだ。
これが連携してのことか、偶然なのか分からないが、カザマスタも同じく籠城を余儀なくされてしまった。
もちろん、王城から援軍を出してこれらの包囲網を蹴散らしたいが、全く兵が居ないのだ。
魔族は人間の約百分の一しか人数が居ない。魔族の戦闘能力は人間に比べると一騎当千だがそれでも数の問題はどうにもできないのだ。
もちろん魔王様を守る近衛兵はいるが、これも5年前の戦いの後に非戦闘員の奴らを急遽集めて育成を始めた者たちなのだ。はぁぁ、無駄に死なせるわけには行かない。この者たちは留守番の方が良さそうだな。
「まぁしょうがないよ。アズガバンはセリシアに任せて、俺とリンベルの二人で、カザマスタの包囲網を蹴散らそう。俺たちが背後から襲って、混乱したところを砦の連中と連携して挟み撃ちにてしまおう」
「魔王様、お手数をかけてしまい。すみません。他にも兵士を二、三名連れていきます」
「うん。人間の一般兵相手なら、そうそう遅れは取らないだろう。良いよ連れて行こう」
このぐらい軽い気持ちで魔王様と私、そして兵士を三名を入れてカザマスタ砦に向かっていたのだ。
その道中に出会ったのが、よりにもよって剣の勇者だった。
「お、運がいいね! 雑魚はともかく、きっとこいつは幹部だ。魔力が高そうだな、きっと良い魔石が手に入るぞ。お前ら良かったな、良い小遣い稼ぎができるぞ」
「はっはは。ありがたいですね。勇者様が一緒だし、今日は重力魔術の使い手までいる。これは楽勝だ!」
「そうともよ。良し念のためだ、ゾラス、重力魔術で動けなくしてしまえ」
な、なんだと! 勇者だと言うのか? こいつの装備……剣だ。
よりによって、勇者の中では最高の戦闘力を持つ剣の勇者だ。
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