第47話 魔王の想い
ラストスパートです。今日、明日は2話づつ投稿します。
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魔王軍幹部 リンベル将軍視点
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戦場の喧騒が過ぎ去り、魔王城は再び平和を取り戻しつつあった。
あの聖国からの侵攻――教皇グレゴリウス三世が率いた狂信的な信徒兵たちによる暗殺計画は、ピンキーによって完全に防がれたのだ。
信徒兵が壊滅し、教皇までもがピンキーに異空間に閉じ込めれれてしまった結果、聖国は事実上再起不能。
そして、ドゥラメルが使役している骸骨兵からの情報で、剣国と弓国そして槍国も壊滅的な状態に追い込まれており、人間族は魔人族へ攻めに来ている場合では無いようだ。
また、勇者もピンキーが全て閉じ込めているので、新たな勇者が誕生する事も任命されることも無い。
もはや、脅威が差し迫る心配はなくなったのだ。
城中が歓喜に包まれ、宴が続いた数日間。
しかし私の心はそれ以上に――ある意味別の問題で落ち着かなかったのだ。
魔王様とピンキーの、あの微妙すぎる関係。
戦いの後、二人の様子が変わったことに気づいたのは私だけではない。
宴が終わり、城のあちこちが日常に戻る中、私は何度か廊下で二人が一緒にいるところを見かけた。
以前ならピンキーはエリオス様のすぐ隣を無邪気に飛び跳ねるようについて回り、エリオス様も嬉しそうに「ピンキー!」と声をかけていたものだ。
しかし今――
「ピ、ピンキー……その、今日は何してたんだ?」
「えっと……なにも?」
魔王様は顔を赤くしながら視線を泳がせ、ピンキーは首をかしげて彼を見つめている。
いつもの無邪気さはどこへ行ったのか、二人の間にはなんとも言えない気まずさが漂っていた。
思わず私は胸の前で手を組み、「ああ、これが青春なのだ!」と心の中で感動した。
グリフォン様のせいでエリオス様の気持ちがピンキーに伝わってしまったとは聞いていたけれど……いやはや、可愛らしいではないか。
とはいえ、まだまだ二人とも子供同然だ。
エリオス様は自分の想いをどう扱っていいか分からずモジモジしているし、ピンキーも突然伝えられた気持ちにどう向き合うべきか戸惑っているようだ。
その微妙な距離感が、周囲の者たちをも温かく見守らせる雰囲気を作り出していた。
「ピンキー様、もしかして魔王様の『特別なお友達』ですか?」
ある日の城内で、そんなメイドたちの噂話が耳に入ってきた。
「だって最近、魔王様ったらピンキー様の話ばっかりしてますもの」
「ええ、ピンキー様も魔王様といるときだけ顔が少し違うような気がしますわ!」
……くっ、素晴らしい観察力だわ。
私は魔王様親衛隊のリーダーとして、全力で二人を応援することを決意した。
ピンキーは見た目こそ可愛らしい角ウサギに似た存在だが、彼女には圧倒的な力が備わっている。
そして不思議なことに――あの戦いを経て、彼女は少しだけ「成長」したように見えるのだ。
戦闘での勇敢な姿だけでなく、彼女の立ち居振る舞いにも微妙な変化が現れていた。
以前は城内をふらふらと無邪気に歩き回っていた彼女が、今では周囲の様子をよく観察し、時折兵士やメイドたちに「ありがとう」と言葉をかけるようになった。
「ピンキー様、お手伝いしますか?」
「んー、だいじょうぶです!」
明るい声で答えるピンキーは、すでに城内の住人たちにとっても特別な存在だった。
彼女が笑えば、皆が笑顔になる。
そんなピンキーの姿を見て、私はふと思った。
きっとこの子もエリオス様のように成長するのだろう。
今はまだ不器用な二人だけれど、いつかきっと――。
ある日のことだ。
私は偶然、中庭でエリオス様とピンキーが話しているのを見かけた。
「ピンキー、あの……今日は何かしたいことあるか?」
「んー……エリオスと、おさんぽ?」
ピンキーの素直な言葉に、エリオス様は一瞬ぽかんとした後、顔を真っ赤にして慌てた。
「お、俺も……その、散歩行きたかったし! ちょうどいいな!」
「ふふ、いこ?」
ピンキーがにっこり微笑むと、エリオス様は少し照れくさそうにうなずいた。
ああ……微笑ましい。
私はその光景を見守りながら、心の中でこっそり感涙にむせんだ。
「魔王様、ピンキー様、末永くお幸せに……!」
つい声に出してしまったが、二人には聞こえなかったようだ。
戦いの日々が終わり、魔王国には平穏が戻った。
エリオス様は相変わらず若き魔王として奮闘し、ピンキーもその隣で不思議な存在感を放っていた。
不死の大賢者ドゥラメルは相変わらず冥府の研究に没頭し、リンベル親衛隊の活動も(密かに)順調に続いている。
そして私は、今日も心の中で思う。
この二人の未来は、きっと明るいに違いない。
いつの日か魔王様も、ピンキーも、もっと大人になって――
「ん? なんか呼んだ?」
振り返ると、魔王様がピンキーと一緒にこちらを見ていた。
「い、いえ! 何でもありません!」
私は慌ててその場を去った。
……まぁいい。今日も平和な一日だ。
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