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第46話 教皇の最後の策謀

いよいよ、カウントダウンです。本日21時頃に、もう1話投稿します!

下の☆☆☆☆☆から評価いただけたら幸いです。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――


 魔王 エリオス・ローエングラム視点


 ――――――――――――――――――――――――――――



 バサバサと羽音が消え、グリフォンとフェニックスが空の彼方に去っていった後、俺は途方に暮れていた。

 いや、冗談じゃない。どうしてあいつら、あんな無責任なことを言って去るんだよ!?

 もう誰が、「様」なんてつけてやるものか!


 横目でピンキーを見ると、ふわふわとした尻尾を揺らしながら俺をじっと見つめていた。普段なら「どうした?」って気軽に声をかけるところだが、今は違う。

 この空気は重い。グリフォンが余計なことを言ったせいで、俺の気持ちが全部バレてしまったんだ。


 ピンキーも、俺も、なんとなく目を逸らしてしまう。


 ギクシャク。


 ──そう、まさにこの言葉がぴったりだった。


「ピ、ピンキー? その……」


 何か話しかけようとしても言葉が続かない。俺は勇気を振り絞っても声がうわずるばかり。

 ピンキーはといえば、耳をピンと立てながら、いつもより少し真剣な表情だ。俺の気持ちを理解した……んだろうな。


 好きだって気持ちが。


 だけど、どうすればいいか分からない。魔王だろうが、俺だってまだ子供みたいなもんだし、ピンキーに恋愛感情とか分かるのか? それ以前に、ピンキーって本当に感情あるのか? 角ウサギ(みたいな)存在だし……。


 そうこうしているうちに、ピンキーは口を開いた。


「……えりおす?」


「っ!!」


 不意に名前を呼ばれて心臓が跳ねる。

 フェニックスのおかげで声が出せるようになったピンキーから聞く言葉は、不思議なほど柔らかく響く。


「えっと……その……俺……」


 な、何て言えばいいんだ? いきなり「好きだ!」って叫ぶのも違う気がするし。もごもご言いながら言葉を探していると、ピンキーは首をかしげる。


「だいじょぶ?」


「だ、大丈夫だ!」


 ──いや、全然大丈夫じゃない。むしろ最大級にピンチだ! 俺は頭を抱えたくなった。



 そんなぎこちない日々が続いたある日、魔王城の防衛結界に異変が起こった。


「魔王様!」


 リンベルが駆け込んできた。いつもは冷静な将軍が焦りを隠せない様子だ。


「どうした?」


「人間の気配があります。しかも教皇直属の精鋭部隊のようです」


「なに!?」


 教皇――グレゴリウス三世。狂信的な聖国の頂点に立つ人物だ。

 奴が直接動くなんて、普通じゃ考えられない。


「狙いは……俺か」


「おそらく。暗殺が目的だったのでしょう」


 くそっ、厄介なことになった。



 侵入者の正体が判明するや否や、城内は緊迫した空気に包まれた。結界の外で繰り広げられる

 戦闘の音が遠くから聞こえてくる。


「魔王様、ここは私たちにお任せを」


 リンベルが鋭い目つきで言い放つ。彼女の背後には、魔人族の精鋭兵士たちが控えていた。だが――


「ギャアアアッ!」


 次々と兵士が聖魔法に飲み込まれ、消滅していく光景が見えた。教皇は狂ったように呪文を唱え、そのたびに純白の光が魔人たちを焼き尽くしていく。


「これが……聖国の『浄化の聖光』ってやつか!」


 不死の大賢者ドゥラメルが前に出る。骸骨の体から冥府の闇を漂わせながら、教皇と対峙した。


「さぁて、老いぼれ教皇さん。アタシ相手にどこまでやれるか見せてもらおうじゃない」


 ドゥラメルが不敵に笑い、魔法陣を展開する。


「冥府の盾!」


 黒い結界が兵士たちを包み込んだ。だが――


「無駄だ!」


 教皇の放った聖光が冥府の盾を貫いたが、ドゥラメルが素早く体をひねって躱した。


「冥府の鎖!」


 ドゥラメルは続けざまに束縛の魔法陣を展開したが、その鎖ごと、教皇の放った聖光がドゥラメルの体を貫いた。


「ッ……!」


 体半分が聖光に消し飛ばされ、ドゥラメルはその場に倒れ込む。


「しぶとい骸骨め。だがもう動けまい」


「ぐ……アタシとしたことが……」


 リンベルが前に出た。


「勇者の剣、受けてもらうわよ!」


 聖剣を振りかざし、教皇の魔法に対抗するが――


「聖光は、勇者の剣では切れないし、弾くことも出来ないのか!」


「くはっはは。それはそうじゃ。共に聖なる物、互いに邪魔はせぬわ」


「くっ……避けるしかないのか!」


 リンベルが放つ魔法は聖光に飲み込まれ、一切、教皇に当たらない。

 そして、また、近づくことも出来ないでいた。



「えりおす、あぶない」


 気配を感じ取ったのか、ピンキーが俺の前に立つ。


「ピ、ピンキー!? 逃げろ!」


 しかし、ピンキーは耳をピンと立てたまま動かない。教皇の放った聖魔法がピンキーを直撃する。


「ピンキーッ!!」


 眩しい光が炸裂し、俺は思わず叫んだ。だが――


「えっ?」


 ピンキーは無傷だった。教皇も驚愕して目を見開く。


「な、なんだと!? 聖魔法が効かないだと……? まさか貴様は――」


 教皇が何かを言いかけたその瞬間、ピンキーがぽんっと一歩前に出た。


「プイ!」


 いつものかわいい声と共に、教皇が消えた。


 ──静寂。


「ピ、ピンキー……お前、すごすぎだろ」


 俺が呆然と呟くと、ピンキーはふわりと尻尾を揺らし、にっこり笑ったように見えた。



 教皇グレゴリウス三世がピンキーによって消され、侵略の中心が消えた途端、魔王城に満ちていた

 緊張感が音もなく霧散した。


「あ、あいつを……やったのか?」


 リンベルが目を見開いて信じられないように呟く。彼女の手にはまだ勇者の剣が握られてる。


「終わった……のか?」


 俺がつぶやくと、ピンキーはふわりと耳を揺らして俺に向かってこくりと頷く。


 その瞬間、城のあちこちから歓声が上がった。


「勝ったぞォォォ!!」


「魔王様万歳!」


「人間どもめ、帰れ! いや、もう二度と来るな!」


 兵士たちが次々と剣を掲げ、仲間同士で抱き合い、勝利の喜びを爆発させる。誰もが先ほどまでの死闘が嘘のように笑顔を浮かべていた。


「やりましたね、魔王様」


 リンベルが疲れた表情を浮かべながらも微笑みかける。


「俺は何もしてない。やったのはピンキーだ」


 そう言って俺は隣にいる小さな勇者――いや、この世界最強の死神ウサギに目を向けた。


 ピンキーは控えめに耳をピコピコ動かしているだけだったが、兵士たちの視線はすでに彼女に集中していた。


「ピンキー様……」


「さすが神の使い……いやもう伝説の聖獣じゃないか?」


「やっぱりピンク色が偉大さの証なんだな!」


 誰だその妙な解釈を言い出した奴は。


「おい、ピンキーはピンク色だから凄い訳ではないぞ?」


 と俺がツッコむと、ピンキーが楽しそうに耳を揺らしていた。


 ドゥラメルもいつの間にか復活しており、あっけらかんと笑う。


「いや~アタシもまだまだねぇ。まさか片っぽ吹き飛ばされるとは思わなかったわ。いやぁ、久々にスリリングだったわよ?」


「お前はもうちょっと慎重に動けよ」


「ふふ、怖がるなんてアタシのキャラじゃないでしょ?」


 こいつは本当に不死身だからタチが悪い。


 城内の賑やかな雰囲気はそのまま宴会ムードへと変わっていった。



 城の広間ではテーブルが次々と並べられ、兵士たちや魔人族の住人が盛大な宴を始めていた。豪勢な肉料理やワインが並び、音楽が鳴り響く。


「魔王様! おめでとうございます!」


「乾杯だ!」


「ピンキー様にも乾杯を!」


 俺もリンベルも、そして当然ピンキーも引っ張られるように宴に参加する羽目になった。


「エリオス様」


 リンベルが俺にこっそり耳打ちしてきた。


「今日の魔王様、とってもカッコよかったですよ」


「……本当か?」


「ええ。でもやっぱり、かわいいのが一番ですね!」


「お、お前な!」


 俺が抗議しようとする前に、兵士たちが再び声を上げた。


「魔王様、万歳!!」


 歓声が響き渡り、俺は思わず苦笑いを浮かべる。


「……まぁ、たまにはこういうのも悪くないか」


 ピンキーは相変わらず俺の隣で大人しく座っていたが、何となく楽しそうに見えた。


「ピンキー、ありがとうな」


 そう言うと、ピンキーはにっこり笑う――いや、そんな気がした。


 そしてこうして俺たちの国は、人間の脅威を完全に取り除き、新たな平和の時代へと歩み始めた。



※ 作者からのお願い


「面白い」「続き読みたい」など思った方は、ぜひログインしてブックマークと下の☆☆☆☆☆から評価いただけたら幸いです。よろしくお願いします!


つまらないと思った方は、☆一つでも評価つけてくれると勉強になりますので、よろしくお願いします。


毎日更新できるように、頑張ります。

よかったら、他の作品も見に来てくださいね。

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