第45話 大暴露!
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魔王 エリオス・ローエングラム視点
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その時、ピンキーの耳がピクリと動いた。まるで鋭い感覚を研ぎ澄ませたかのように体をこわばらせる。
『エリオス、何か強いの来る』
「何だと?」
俺は眉をひそめた。ピンキーが「強い」と言う相手は大抵、普通の存在じゃない。だが次に届いた念話がさらに気にかかる。
『聖獣グリフォンと、何か来る』
「聖獣グリフォン様、それにもう一体……?」
思わず息を飲む。聖獣グリフォン様は神聖な存在で問題は無い。だが、それだけじゃない。「もう一体」というのが正体不明なままなのは嫌な予感しかない。
「……ピンキー、俺たちも迎えに行くぞ」
『プイ!』
ピンキーは力強く頷くと、砂煙を巻き上げながら先頭を切って跳びはねる。俺もその後を追った。
「これは……!」
空に広がる眩い光の輪が見えた。まるで太陽が落ちてきたように、黄金の輝きが地平線を染め上げる。
「ついにグリフォン様が! 本物だ!」
リンベルが、興奮に満ちた声を上げた。その鋭い瞳には期待と憧れが滲んでいる。
「落ち着け、リンベル。騒ぎすぎだ」
「うふふ、だって魔王様! 本当に聖獣グリフォン様が目の前にいるんですよ! 生きる伝説!」
冷静な将軍だったはずの彼女が、まるで少女のように声を弾ませているのが少し面白い。
その隣ではドゥラメルも腕を組み、じっと空を見つめていた。骸骨の顔に表情はないが、何か考えているのはわかる。
「ふむ、あれはグリフォンだけではないな……あれは――」
突然、激しい熱風が吹き抜けた。空から巨大な影が舞い降りてくる。
「……聖鳥のフェニックス様?」
ドゥラメルが驚いたように声を漏らす。
鮮やかな赤い炎に包まれた巨大な鳥が、地上すれすれで翼を広げた。熱気が俺たちの肌を焦がすようだが、その威圧感以上に目を奪われるのはその神々しい姿だった。
「グリフォン様が、フェニックス様を連れてきたのか……」
俺は言葉を失った。
「初めまして、若き魔王エリオスよ」
凛とした声が響いた。フェニックスのくちばしが動いていないのに声が直接頭に届く。聖獣特有の念話らしい。
「俺に何か御用ですか?」
「貴方ではなく、そこにいる者に興味があって来ました」
フェニックスはピンキーをまっすぐ見つめた。ピンキーは小さな耳をぴんと立て、興味津々に見返している。
『ププイ!』
「可愛らしいわね。しかし、この子は何者なの?」
「……ピンキーは俺の仲間だ。それ以上でも以下でもない」
「ふふ、そう。それにしても……どうやらこの子、話せないのね?」
フェニックスの瞳が柔らかく光を帯びると、周囲に暖かな気配が広がった。
「この世界では言葉の壁が不便になることも多いでしょう。ならば、私が声を与えましょう」
「なに?」
「聖霊術よ。この子にもきっと神の導きがあるわ」
フェニックスが大きく翼を広げると、金色の光がピンキーの体を包んだ。
「――さあ、声を出してごらんなさい」
ピンキーは目をぱちくりさせ、不思議そうに喉を震わせた。
「……プ、プー……あれ?」
「!」
俺は目を見張った。確かに今、ピンキーは「プイ!」ではなく、はっきりと単語を紡ごうとしている。
「エリオス……」
「ま、まさか、本当に喋ったのか!?」
「うん! 喋れる! すごい!」
ピンキーが跳ね回りながら喜ぶ姿を見て、俺は驚きながらも心の底から嬉しかった。
フェニックスはピンキーをじっと見つめた後、静かに首を振った。
「やはりこの子が何者なのかはわからないわね。でも……神の御業を感じるわ」
「神の……?」
「そう。この世界の神々は、人間族も魔人族も獣人族も、すべて平等に見ているの。でも人間たちは
その意思を勝手に歪め、異なる存在を神の敵だと決めつけたのよ」
聖国のグレゴリウス三世という教皇、あいつも世界を歪めている者の一人なのかも知れん。
今まで、人間族は、我々魔人族を神の敵として攻め込んで来たが、単純に我々の体に宿る魔力の源、魔石が欲しいだけなのだ。
獣人族に魔石は無いが、おそらく人と異なる姿と言うだけで迫害され虐げられて来た。人間族と言う者は身勝手なものが多いようだ。
「フェニックスよ。やはりこのピンキーと言う者は神の使いなのかも知れんな」
聖獣グリフォン様の言葉に、聖鳥フェニックス様が頷いている。
ん? 神の使いだと! 確かに普通の魔物や魔獣、ましてや獣人では無いことは分かっていたが、まさか神の使いだというのか!?
「ピンキーは神様と会ったことがあるのか?」
思わずピンキーに尋ねてみた。いや、こんな言葉は学んでいないから通じないか……何て言えば……
「神様? ううん、神様には会ったことは無いけど、あ、死神って死の神様!?」
「な、何だ、その死神とは?」
ピンキーが神様と言う言葉を理解できたことよりも、聞きなれない死神という不吉な感じの言葉の方が気になってしまった。
「ピンキー、そしてエリオスよ。その死神とやらは、この世界でには居ませんよ。おそらく死を司る神なのでしょうね。ピンキー、あなた前世の記憶があるのでは?」
「うーーん。もうあまり覚えていませんが、たぶん有ったのだと思います。それで、死神さんに間違えて死なされてしまったので、こっちで生まれ変わったような……」
「前世では何年生きていたのだ?」
グリフォン様の質問にピンキーは考え込んでいるようだ。確かにピンキーは何歳なのだろう。
見た目では角ウサギだから、正確なところは分からないのだ。
「分からない。そこまで覚えていない」
「ピンキーは、前の記憶をほぼ失っているような。それならこの世界に誕生して俺たちの会うまではどのぐらい経っていたのかわかるか?」
ピンキーが首をかしげて「一年ぐらい?」と何故か疑問形で答えた。
あぁー、日付を知る手段が無かったか。
「フッフフ。まぁ分からないでしょうね。前世ではもう少し長く生きていたのかも知れないけど、今の体に引っ張られているようだから、おそらく精神年齢などからするとエリオス、あなたと変わらないわ」
「フム、そうだな。良かったな魔人族の王よ。良い伴侶が見つかったでは無いか」
は、伴侶!! な、何を言っているのか分からんが!
ぴ、ピンキーは伴侶などと言う言葉は理解……してそうだな!
「では、神の使いで間違いなさそうだし、意思の疎通も出来て、この世界に害は無さそうだから敵対することは無いわね。安心したわ」
フェニックス様は、何やら一人で納得されたようで、バサッと羽ばたくと空に舞い上がった。
えぇっ、敵対する可能性を考えて見に来たという事か!
「ふむ、そうだな。大丈夫そうだ。それでは魔人族の王よ。末永く幸せにな!」
いやいや、グリフォン様、余計なことを言わなくても…あ! 余計なことだけ言って二体とも空に帰って行った。
って、この空気、どうするんだよ?
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