第39話 ドゥラメルの戦い
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魔王軍幹部 不死の大賢者ドゥラメル視点
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あらやだ、門が少し焦げちゃったわねぇ。私の美しい結界がこんなに乱れるなんて、ほんと、聖国の連中って趣味が悪いんだから。
「冥府の盾、はいド~ン☆ さっ、まだまだやるわよォ!」
私は両手を広げ、魔力を注ぎ続ける。冥府の黒い霧が再び門を覆い、迫り来る信徒兵たちを押し返した。
しかし――
「もう少しで突破します! すべて浄化しろ!」
あらま、あれが噂の「剣の勇者」セドリック坊やかしら? 聖国に洗脳されちゃってまぁ。イケメンが台無しよォ。
彼が黒い霧の結界に剣を振るうたび、結界の端がじわじわと削られていく。まるで硬いチーズにナイフを入れてるみたい。
なぁんて言ってる場合じゃないわよォ!
私は急ぎ骸骨兵士たちに指示を出した。
「ちょっとォ、あんたたち、あのイケメン坊やを足止めしなさ~い! カッコいいからって骨まで砕かれるんじゃないわよォ?」
骸骨兵士たちは無言でセドリックに向かって突撃していった。カラカラと骨がぶつかる音が響く。
「浄化の光を!」
今度はあの聖女リリアンが甘ったるい声を響かせながら、結界魔法を展開した。周囲の信徒兵たちが傷一つない体で再び立ち上がる。
「ほんっと嫌なオンナねぇ。慈愛の声ってより、狂気そのものよォ」
私はため息をつきつつ、もう一度結界を強化するために魔力を注ぎ込んだ。
戦場全体は混沌そのものだった。骸骨兵士と信徒兵たちが入り乱れ、剣戟の音が響き渡る。黒い霧が広がる中、セドリックの剣が次々と骸骨兵士を砕いていく。
「切れないものはない、かしら? あらやだ、そんなのファンタジーよォ~」
私は魔力を込めた指先で地面をなぞり、呪文を唱えた。
「冥府の召喚――もっと骨付きが欲しいのよォ!」
地面から無数の骸骨が再び姿を現し、倒された仲間に加勢する。
「さぁ、わたくしの麗しき軍団、もうちょっと頑張ってねェ?」
とはいえ、これは遅滞戦。私ひとりで勇者二人を相手にするなんて、どれだけ無茶ぶりなのかしらね。
「リンベルちゃん、早く来なさいよォ~」
魔王城にはカラス便で「敵が来たわよ」ってお知らせ済み。きっと将軍さまが颯爽と駆けつけてくれるはずよ。たぶん。
「もうちょっとだけ持ちこたえなきゃダメねェ」
私は再び空中に魔法陣を展開し、黒い雷撃を走らせた。
「浄化の結界展開!」
リリアンが声を張り上げると、私の雷撃は結界に吸収されて消えた。
「あらやだ、しぶといわねェ」
セドリックはその隙を見逃さなかった。彼が一気に間合いを詰め、門に向かって突進してくる。
「またまた急いでるのォ? ほんと、あわてんぼうさんねぇ」
私は軽く指を鳴らした。
「冥府の鎖、はい絡まってくださ~い☆」
黒い鎖が地面から伸び、セドリックの足元に絡みついた。しかし――
「ふん!」
彼はそのまま鎖ごと剣で斬り裂いた。
「あらまぁ、パワフルぅ~」
さすがにこっちの魔力も底が見えてきたわね。さっきから勇者二人相手に頑張りすぎたわ。
でもここで引いたら魔王様に合わせる顔がないわよォ
私はもう一度門の前に立ち、再び両手を広げた。
「さぁ、来るならいらっしゃいなァ……でも簡単には通さないわよォ?」
遠くから、かすかな魔力の波動が感じられた。
「……来たわね」
リンベルちゃん、早くしなさいな!
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魔王軍幹部 リンベル将軍視点
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魔王国と聖国を隔てる国境門が、煙と魔力の残響に包まれていた。
「ふうん……聖国め、本気を出してきたってわけか」
戦場の中心では、ドゥラメル様が不死者の軍団を指揮しながら、門を必死に守っていた。骸骨兵士たちは黒い霧の中で次々と蘇り、信徒兵の波に立ち向かっている。
私に背後には魔王城から連れてきた近衛兵たちが陣形を整えつつある。
近衛兵とは名ばかりで新兵も良いところなのに、最早、彼らぐらいしか兵は残っていないのだ。
「さあ、行くよ」
部下たちに鋭く指示を飛ばしながら私は、剣を引き抜いた。冷たい金属音が戦場に響く。
――あの男が、剣の勇者セドリック!?
遠くに見えるのは、血のような赤いマントを翻し、剣を構える若い男。彼は聖国の「希望」とされる戦士。狂信的な信仰心を剣の鋭さに変え、今まさに砦へと突き進もうとしていた。
勇者ねぇ……まだ若いな。出来立てホヤホヤの勇者だな。
私は口元に微かな笑みを浮かべた。
「リンベル将軍! あの勇者が門に迫っています!」
「見えてるよ」
部下の声を受け流し、私はまっすぐセドリックに向かって歩き出した。
「ドゥラメル様、ここからは私が遊んであげましょう」
不死の大賢者は余裕たっぷりに笑みを浮かべ、軽く手を振った。
「おやまぁ、頼もしいわねェ。あたしは後ろで応援してるわァ♪」
黒い霧が彼を包み、後方に退いていく。
「さて、行きましょうか」
私は剣を構え、地面を蹴った。
「来るか、異端の魔人!」
セドリックが叫び、間合いを詰める。
速い……さすが勇者だ。
私は剣を振り上げ、彼の一撃を受け流した。金属同士がぶつかり合う鋭い音が響く。
「ふん、悪くないな」
「黙れ!」
彼は続けざまに斬撃を繰り出す。その剣技はまさに「切れないものはない」と噂されるほど鋭く重い。
しかし、私は後退することなく応じた。
残念だな! 私も前任の剣の勇者が持っていた剣だ。これも「切れないものはない」と言われていたそうだ。
「ほら、もっと本気を見せな!」
私は魔力を剣にまとわせ、一気に踏み込んだ。青白い閃光が走り、セドリックの剣を弾き飛ばそうとする。
「なにっ!?」
一瞬の隙を突いて、私は彼の懐に入り込んだ。
「これで終わり――」
勝利を確信し、私は剣を振り下ろした。
しかし――
「サンクチュアリ!」
甘ったるい声が戦場に響いた。
聖女リリアン……!
彼女の結界が展開され、光の障壁がセドリックを包み込む。私の剣は結界に阻まれ、あと一歩のところで止まった。
「くっ……」
「セドリック様、退いてください!」
リリアンが叫び、結界でセドリックを逃がそうとする。
「逃がすか!」
私は再び剣を振りかざしたが、間に合わなかった。大量の信徒兵がセドリックを庇い後退して行ったのだ。
「……ちっ」
歯噛みしながら剣を収める。
あと少しだったのに
悔しさを噛み締める間もなく、地平線の彼方から押し寄せる信徒兵の波が視界に飛び込んできた。
「これは……まずいね」
私はすぐさま状況を把握する。
この数……砦では防ぎきれない
背後では骸骨兵たちが懸命に戦っているが、数の差があまりにも大きい。
「リンベル将軍!」
部下たちが慌てた様子で駆け寄ってくる。
「砦が持ちません! 指示をお願いします!」
「……全軍、撤退」
私は迷わず命令を下した。
「魔王城まで全軍退却よ! 余計な犠牲は出さないこと。しっかりついてきな!」
「了解!」
部下たちが素早く撤退の準備に動き出す。
私は最後まで戦場に踏みとどまり、後方の安全を確保するため剣を構えた。
魔王様に恥じない戦いをしなきゃね
信徒兵たちが迫る中、私は再び地面を蹴った。
「さあ、もうひと暴れするよ!」
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