第36話 お片付けは丁寧に!
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ピンキー視点
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外に出ると、エリオス君がやってきて、私を抱き上げます。
そして、じっと私を見て小さくつぶやきました。
「ピンキー……来てくれてありがとうな」
『うん! 急いだ!』
そう言って胸を張ると、エリオス君の口元が少しだけ柔らかくなった気がします。でも、どうしてかな。彼の目はちょっと悲しそうにも見えるんです。
『どうしたの?』
「……いや、なんでもない」
エリオス君はそう言って首を振りました。そして、少しだけ声を小さくして呟きます。
「怪我しなくて、よかった」
なんだかよく分からないけど、私は笑って答えました。
『ピンキー、強い、怪我しない!』
その言葉に、エリオス君はほんの少しだけ笑って、わたしの頭をぽんぽんと優しく撫でました。どうしてか分からないけど、心がほんわか温かくなりました。エリオス君は不思議ですね。
エリオス君に頭を撫でられた後も、私はすぐ気を取り直しました。外にはまだまだ人間たちがたくさんいます。
槍の勇者みたいな乱暴者もいれば、ちょっと大人しいけど油断ならない人もいるでしょう。
だから、ここでのんびりしている暇はありません!
『よし。お片付け、行く!』
そう意気込むと、エリオス君が少しだけ困った顔をしました。
でも、すぐにいつもの真剣な顔に戻って、「気をつけろ」と短く言います。
『うん、大丈夫!』
私はそう返事をして、エリオス君の腕の中から降りて歩き出しました。エリオス君は少しだけ私を
見つめてから、そっとついてきます。
夕日が照らす城門の外で、人間たちのざわめきが遠くから聞こえます。わたしは長い耳をぴんと立てて音を拾いながら、周囲を警戒します。大丈夫、こんな時でもわたしは冷静です! 多分。
城門のすぐ外には、槍の勇者と一緒にいたらしい人間たちが残っていました。盾を構えた人、弓を持った人、そして剣を振り回している人……あ、やっぱり乱暴者ばかりですね。
「プイ! プッププイ!」
彼らに向かって、帰れと言ってみましたが……まぁ通じませんよね。代わりに彼らは私を見て、さらに武器を構えます。ああ、やっぱりこういう連中は言葉が通じないんですね。
『仕方ない、ですね……』
短く溜息をついて、全身に力を込めます。ピンクの毛がフワッと広がり、地面が軽く揺れました。
その瞬間、人間たちは声を上げて後ずさります。怖いなら最初から帰ればいいのに、どうして無理をするんでしょうかね。
「プイ! プッププイ!」
今度は少しだけ強い声で言いました。言葉は通じなくても威嚇されているなぁってぐらいは分かると思ったのですが、それさえも分からないみたいですね。私が一歩踏み出した瞬間、弓矢が飛んできました。
「危ない!」
背後からエリオス君の声が聞こえました。でも、大丈夫です。矢なんて気にしません。私の体に当たったようですが、痛くも痒くもありません。わたしは軽く地面を蹴って、一気に相手に飛びかかります。
ドン! という鈍い音とともに、弓を持っていた人間は消えました。お国の方角に飛んで行ったので、帰ったのだと思います。
次は盾を構えた人ですね。
「うーん、盾、いらない!」
彼の盾に向かって軽く蹴りを入れました。盾に穴が開いてしまいました……まぁいいですよね! それから、剣を持っていた人もあっという間に蹴り飛ばしてお帰り頂きました。
ふっふふ。あっという間に終わりましたね!
ふぅっと一息ついて振り返ると、エリオス君がじっと見ていました。何か言いたそうです。
『どうしたの?』
「……ピンキー、強すぎる。」
エリオス君はそう言って、小さく息を吐きました。その顔がなんだかとても疲れているように見えました。
『ピンキー、強い!』
そう胸を張ると、エリオス君はほんの少しだけ笑いました。でも、またすぐに真剣な顔に戻ります。
「……でも、無茶するな。」
『これくらい簡単!』
そう言ってぴょんっとジャンプしてみせました。エリオス君は黙っていましたが、何かを考えているようでした。
その後、わたしたちは城下町に戻りました。さっきは乱暴者の人間たちに気を取られていましたが、町の中も、まだまだ直さなきゃいけないところがたくさんあります。壊れた建物や散らばった瓦礫、そして逃げていた住民たちも少しずつ戻ってきています。
「ピンキー、石を運べるか?」
エリオス君が指差すのは、大きな瓦礫の山です。全然大丈夫です! これもお片付けですね。
私は、瓦礫を一つずつ運び出して、町の広場に集めていきました。
でも、途中で住民のおばあさんが近づいてきて、心配そうに私を見ていました。
「こんな小さな体で、大丈夫なのかい……?」
「プイ! プイ!」
笑って、大丈夫だよって答えました。
それを聞いたおばあさんは、言葉は分からないと思いますが、目を丸くして「ありがとうねぇ」と優しい声で言ってくれました。
なんだかちょっと嬉しいですね。
夜になって、町の修復作業を終えたわたしたちは城の屋根の上に座っていました。エリオス君と一緒に星空を見上げていると、少しだけ静かな時間が流れます。
「ピンキー……」
ふいにエリオス君が声をかけてきました。
『なに?』
「……お前は、ずっと俺のそばにいるか?」
その言葉に、わたしは少しだけ考えました。でも、答えはすぐに出ました。
『うん! ピンキー、エリオスのそばにいるよ!』
そう言うと、エリオス君は何か言おうとしましたが、結局言葉にはならなかったみたいです。ただ、ほんの少しだけ笑って、それ以上は何も言いませんでした。
わたしはよく分かりませんが、エリオス君が笑ったのなら、それでいい気がします。
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