表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/35

受付嬢の叫び

ツバキさんにアクセサリーを貰ってしまった。

しかも、魔導アクセサリー!

これは他のみんなに自慢しなくては。

ツバキさんにお礼だったとしてもアクセサリーを貰うのは私達受付嬢の夢だったりする。

現に私は貰って、夢を見ている気分。

まさか、エリナさんに呼ばれて行ったらツバキさんからのお礼でアクセサリーが返ってくるとは思っていなかった。


私自身、ツバキさんにこんなに高価な物をいただく様な働きはしてないと思う。

実際、魔法座学を教えることになったのもギルドに割安で部屋を貸しているのも全部ギルマスからの指示がきっかけだったし。

だから、対価としては多過ぎると思う。


「ヒーカちゃ~ん。何持ってるの?」

一人貰ったネックレスを見ていると同僚のユイが話しかけてきた。


ユイは明るく親しみやすい、それに加え愛嬌があって可愛い。

そして、仕事ができる。

そんなこんなで、冒険者さん達にはとても人気がある。


「ユイ、これツバキさんにお礼で貰ったんだけど私には多過ぎるなって思ってね」

「えっ!いいなぁ~。あのイケメンのお兄さんに貰うなんて、羨ましい過ぎる。しかも魔導アクセサリーじゃん」

貰ったネックレスを見せるとユイは興奮した口調で話した。


そして、少し落ち着くとユイはさっきとは打って変わって真面目な顔をして話し始めた。

「で、ヒーカちゃんは自分には分不相応って思ってるわけだ。私はさぁ思うよ、自分が思っているより人からの評価は高いってね。どれだけ、自分がその対価に見合わないと思ってもそれは自分の評価でしかない。結局最終的にどんな対価が帰ってくるか、それはしてもらった方の気持ち次第。だから、ヒーカちゃんが貰ったそれはヒーカちゃんがそれだけあのお兄さんに感謝されてるって事。だから、気負わず受け取ればいいと思うよ」


私の心はユイの言葉で少し軽くなった。

自分じゃ自分の価値なんて分かりそうで分からない。

だから、最初から卑下するのでなく自分をほんの少しでも褒めてあげるのが良いのかもしれない。


少し軽くなった心で貰ったネックレスを見ると、さっきほどの気負いはなくなっていた。

「ありがとう、ユイ」

「いやいや、良いよ。友達が悩んでたら助けてあげないとね。あ!私、ギルマスに呼ばれてるんだった。それじゃ!」

お礼を言うと何のことなかったように手を振り部屋から出て行った。


♢♢♢♢


気に入ってくれたかな?

無理してないと良いんだけど。

渡した後どうなったかなんて気にしてもしかたがない気もするけど今までの感謝を込めたものだからすごく緊張する。

「ハァ~」

「なに、大きな溜息ついてるのかしら?」

一人悩んでいるとエリナさんの声がしたので扉の方を見るとエリナさんがもたれかかっていた。


「エリナさん。ノックぐらいしてください」

軽く抗議するとエリナさんは困った子を見るような目で見ていた。

「ノックならしたわ。その直後にツバキくんの大きな溜息が聞こえたものだからついね」

俺、そんなに悩んでいたのか。

いや、耳、遠くなった?

よく分からない事を考えていると思い出したようにエリナさんが喋り出した。


「で、溜息の原因は?」

「ヒーカさんにプレゼント喜んでもらえたかなって、気になってしまって」

そういう今度はエリナさんが大きな溜息をついた。

「そんな事で?」

「そんな事じゃないんです。結構真剣なんですよ」

笑いながら「ごめん、ごめん」と言うと笑ったまま何かを考え込むように目を閉じた。

「ツバキくん、ヒーカちゃんは喜んでると思うわよ」

目を閉じて、すぐにエリナさんは言った。


「えっ?なんで分かるんですか」

「ふふふ、ん~、女の勘って事にしておこうかしら」

俺が聞くとエリナさんは急に声を上げて笑い出し意味不明な事を言い出した。

「それってどうゆう」

「まだまだね。そのうち分かるようになるわよ。楽しみにしておくといいわ」

「‥‥?あ!エリナさんストーーップ!」

そう言い終わると踵を返し部屋を出ようとした時にお礼を渡していない事に気づき慌てて声をかけた。

「なに⁉︎どうしたの!」

俺の声に驚いたのかエリナさんがすっ飛んできた。


「あ、ごめんなさい。あの、お礼を渡したいだけなんですけど」

「そう。もう、驚かせないでちょうだい、何事かと思ったわ」

そうは言うがエリナさんの顔は嬉しそうに笑っていた。

「ありがたくいただくわ。ん?これ、魔道アクセサリーね。‥‥‥‥‥‥ふぅん、ヒーカちゃんにもこれあげたんだ、やるじゃない」

前半は聞き取れたが、後半少しボソボソとしていて何を言っているのか聞き取れなかった。

百面相みたいにエリナさんの顔がコロコロと変わっていく、嬉しそうだっ顔はニヤニヤとして親戚の子が恋人にプレゼントをあげて、やいやいと言っている親戚の人みたいな感じだった。


「何ですか⁇」

「いいや、別に?じゃあ、ありがとね~」

不思議に思いながらも未だニヤニヤとしているエリナさんを見送ろうとしたのだが、もう一つ大事なことを思い出してしまった。

「あ、エリナさんもう一つ。これを」

「なに~、二つもくれるの?」

言おうとするとエリナさんは俺の言葉を遮りテンション高めで食いついてきた。

「違います、これギルマスにお願いします。なんか忙しそうですし、エリナさんなら渡しやすいかなと」

「なんだ、分かった。渡しておくわ」

そしてようやく、全てのお礼が渡し終わったのだった。


面白かったら、ブクマ、いいね、お願いします。


文章間違いで訂正しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ