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そしてお勉強

始まったのだが‥‥‥‥。

俺の目の前には、大量の魔法の本が積み上がっていた。

おぅ、凄い量!

向かい合っているはずのヒーカさんが全く見えない。


「では、まず基本的な知識から学びましょうか。因みにツバキさんは魔法についてどこまで知っていますか?」

積み上がった本からヒーカさんの声が聞こえてくる。

「あ、えっと、魔法は火、水、土、風が基本的な属性で光、聖、闇があまりない属性ということくらいですかね。合ってますか?」

召喚される前、アニメやゲームなどで知った魔法の基本的な知識だけど実際にこの世界で本当の異世界で通じるのかどうかは分からないんだよな。


「はい、合ってますよ。ただ、そうですね、少し付け加えれば光属性は主属性つまり火、風などですが、これらの属性よりは格段に少ないです。けど、ある程度の確率で持つ人がいます。でも、闇属性や聖属性は極端に持っている人が減少します。これらは先天的に神により授かりますが、無属性魔法と言って後天的に授かる場合もあります。そのためには過酷な修行を積まないといけないです」


続けて、ヒーカさんはそれぞれの属性の特徴について話し始めた。

「そして、火属性は名の通り燃やしたりする魔法、水属性も氷などに状態変化しますが基本はそのままですね。土属性は大地を変化させたり、関連する物質さえあれば色々作れちゃう魔法、風属性はそのままですが、高い技術力があれば空を飛ぶことができます。そして、光属性と聖属性は治癒の力がありますがこの二つは似ているようで違っていて、光属性は聖属性の劣化版と言うところですかね。最後に闇属性ですが、この属性を魔族や魔獣が多く人間で持っている人はごく稀です。ですので、闇属性は未だに少ししか解明されていません。最後に無属性魔法は個人によって授けられるものは違いますが、私が知っている限りだと魔物のテイムなどとか、保護する魔法とかですね。すみません、長々と」

「いえ、大丈夫です」


なるほど、異世界でも魔法の基本的な部分は地球の認識とさして変わりはないのか。

安心した、これでもし、違っていたら大変だっただろう。


「ちなみに質問なんですけど、固有スキルと無属性魔法の違いってなんですか?」

「あ~、それですか。固有スキルと無属性魔法に大きな違いはないんです。ただ、先天的か後天的か、の違いなんです」

ヒーカさんは「いい質問ですね」と言う顔をして答えてくれた。

俺、固有スキル結構持ってるから修行したらもっと増えるかも‥‥‥!

いや、これ以上増えてもいらないよな。

俺が苦笑いしていると、ヒーカさんが次に進めた。


「では、ツバキさんは土と水の属性を持っていらっしゃるので、その辺を重点的に勉強していきましょうか」

すると、ヒーカさんは机に乗っている大量の本を漁り出した。

「はい。あの、大丈夫ですか?」

「あ、大丈夫ですよ。土と水の属性の魔導書探しているだけなので。ん?お、あった」

大量の本の中からヒーカさんは緑と青のニ冊の本を取り出し、他の本を机の横に置いた。


魔導書?

魔法の本のことだよな。


「この緑の本が土の魔導書で青いのが水の魔導書です。ツバキさん、まずはどちらがいいですか?」

「じゃあ、水の魔導書からで」

水属性は初めて使った魔法だし、水は生活で色々使えそうだしな。

「分かりました」

そう言うとヒーカさんは魔導書の目的のページを探し始めた。


今更だけど本当に異世界来てしまったのか。

魔法とか魔物とか、それに忘れそうになるけど俺、魔王で勇者なんだよな。

しっかり魔法とか色々学んでバレないようにしよう!


改めて異世界での過ごし方の目標を考えていると、ヒーカさんが目的のページを見つけたようだった。

「じゃあ、ここからしましょうか」

ヒーカさんは魔導書を指でさした。

そこを見ると、ページの上の方に"基本魔法"と書いてありその下にいろんな魔法が書いてあった。

「書いてある通り、ここは基本魔法と呼ばれる本当に基本的な魔法です。そして、水属性の基本的な魔法は"水球"や"水弓です」

水球は魔導書によると水の球のような形で魔法名から連想されるようなまんまの形で、水弓は俺がボアを倒した時に使った魔法だったらしい、こちらも魔法名通りだ。


それから、一週間ぐらいヒーカさんに魔法を座学で学び、結構多くのことが分かった。

例えば、魔法は初級魔法から神級魔法があって、階級が上がると詠唱する言葉も多くなること、神級魔法は勇者とか賢者とかそういう存在ではないと使えないらしい。

ってことは、俺、神級魔法使えんじゃね?と、聞きながら思っていた。

そして、エリナさんによる魔法実技が始まった。


♦︎♦︎♦︎♦︎


今、俺はギルド内の馬鹿デカイ地下の練習場に来ていた。

勿論、エリナさんに魔法実習をするためである。


「さて、ツバキくんやっていこうかしら。一通りの座学は学んだわよね。今日は実技基礎を徹底的に教え込んであげるから覚悟しておいてね!」

そう宣言するエリナの目はあり得ないくらいに燃えていた。

食堂のエリナさんとは比べ物にならないくらい怖い。

流石は伝説の冒険者パーティってとこか。

でも、顔が笑顔なので余計に怖い。

「は、はい」

「そんなに、緊張しないで?とっても簡単な事よ~。覚えればね」


緊張や恐怖の感情が入り乱れている俺の心情を察したのかエリナさんが声をかけてくる。が、しかし、口は笑っているのに目が笑っていない。

そして何より、エリナさんの小さく言った最後の言葉が余計に俺を震え上がらせた。


「じゃあ、やっていきましょうか。ん~、そうね、まず最初に、座学では魔法の呪文とか習ったんじゃない?」

俺が軽く頷くと話を続けた。

「習ったのね。あまり知られてはいないけど、基本的に呪文というのは魔法の発動時のイメージを具体的にするために唱える言葉、文章なの。だから、イメージさえしっかりしていれば呪文の詠唱は必要ないのよ。まぁ、でも、無詠唱で魔法を発動する事が出来るのは最低でも宮廷魔導師くらいの才能がないといけないんだけどね。お喋りはこのくらいにして、練習してみましょうか」


イメージかぁ。

こういうのラノベとかでは主人公は地球の知識を生かしてイメージするのが普通だよな。

そんな感じなのか?

ん?そういえば、あまり知られてない事をエリナさんが知ってるんだろう。

気になるけど、大抵知らないほうが良かったていうオチなんだから聞かないでおこう。


「練習?あの、具体的には何をすれば」

「そういえば、そのこと説明してなかったかしら。ツバキくんには魔力制御技術を習得して欲しいの。その為に制御の練習をしてもらうわ。座学で言葉だけの説明はしてもらったはずだから私から簡単に実技的の方法を教えるくらいだと思うわ」


魔力制御技術についは、ヒーカさんから魔法を使う上で最も重要な技術で習得が必須だと教えてもらった。

この技術がしっかりと出来ていないと魔力暴走という自分の意思関係なく身体の中の魔力が暴走し、誰かれ構わず怪我を負わせたり、最悪の場合には死亡させてしまうことがあるらしく、魔力暴走を一度でも起こしてしまったら大変なことにならしい。

膨大な魔力を持った人が魔力暴走を起こし街一つが地図から消えかけた、という事件があったという記録も残っている。


「魔力制御技術の必要性は座学ではヒーカちゃんに習ったと思うから説明は省くわね。魔力制御に大切なことは身体の中にある魔力をしっかりと認識することよ。じゃあ、早速やっていきましょう」

エリナさんは俺を練習場に座らせると何か暖かいものを俺の中に流しこむ感じがした。


「えっ?」

急なことにビックリして思わず声を上げるとエリナさんが焦った顔をしていた。

「あっ!ごめんね。私が今流したのは魔力。きみの魔力制御のお手伝いをしたのよ」

「お手伝い?」

「そう。きみは魔力制御初めてだったし念の為お手伝いしようかなって思ってね~。あ、魔力制御スキルって知ってる?」


魔力制御スキル?

えっと、確か魔力を制御する為には自分でコントロールを一からしないといけないけど、魔力制御スキルを持っている人はある程度スキルの力で制御する事ができるんだったけ。


「はい、なんとなく。でも、他人の魔力を制御するなんて聞いたことないんですけど」

「あぁ、それね。あんまり知られていないけど、このスキルは他人の魔力制御のお手伝い的なことができるのよ」


エリナさん、流石は伝説の冒険者パーティの一人だな。

食堂にいた時は全然そんな感じしなかったけど練習してみて会話の中に垣間見える最強の魔法使いだという証拠の数々。

本当すごいな!


「じゃあ、改めて。私が制御するから魔力を感じてくれるかしら?」

魔力を流そうとするのを止めると俺は気になっていたことを尋ねた。

「あのぉ、魔力ってもしかしてなんか暖かい感じがしますか?」

エリナさんはビックリしたように口をポカーンと開けた。

呆けすぎだろ。

だって、さっき、エリナさんに流された時なんか暖かい感じがしたしな。


「そうそう、それ。理解が早いわねぇ~。じゃあ、魔力も感じれたし制御の練習を本格的にやっていこうかしら」

「はい!」


練習ではエリナさんに魔力を流してもらい大体の感覚を掴んだ後、自分で体内の魔力を制御することをした。

ただ、補助なしの魔力制御は難しく何度をも暴走しかけた。

まぁ、でも、勇者や魔王の効果なのか、暴走してもせいぜい、静電気みたいに髪が上がるくらいだった。


「すごいわね。こんなに早く制御出来るとは思わなかったわ。魔法の天才なのかもね」

「いや、そんなことないと思います。エリナさんが魔力制御スキルで手伝ってもらったからですよ~」

エリナさんは「ないない」と言って手を振ると笑った。


「今日はこの辺にしておこうか」

「はい。あの、話は変わるんですけど俺、ここのギルドでお世話になって二週間ぐらい経つんですけど、なんかお礼しなきゃなって思ってて」


そう、俺がこの世界、ギルドにやって来てもう二週間が過ぎていた。

ギルドに泊まるお金は勉強の合間に受ける依頼から一割引い貰っているけどヒーカさんやエリナさん、そして、ギルマス。

特にこの三人には色々とお世話になりっぱなしになっている。

何かお礼したいが、ギルドにはずっと居るし、どこかに行くにしても森ぐらいだから街のお店など知らないことが多すぎる。


「そうね、別に気にしなくても良いと思うけど。気になるなら、ハナリヤっていうお店があるからそこに行ってみるといいわ」


ハナリヤ?何のお店だろう。

でも、エリナさんが紹介するならきっと良いお店なんだろう。

幸い殆ど使う事がなかった依頼の達成報酬が結構あるから、多分、そこそこの物は買えるはず。


「ありがとうございます。今度、行ってみますね」

「じゃあ、明日行ってらっしゃい。ヒーカちゃんに良いの渡してあげてね」

俺がお礼を言うとエリナさんは笑って言った。


そうして、エリナさんによる魔法実技の実習の初日が終わった。

面白かったら、ブクマ、いいね、お願いします。

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