初依頼と初やらかし
森へ到着した俺は、クリーン草のを探した。
「ハァハァ、森の中こんなに歩いたのいつぶりだろう」
もう、無理。
ん?そういえば、場所を探そうとした時、空間を把握して、探知魔法的なものにできるんじゃね、それに、神様からお詫びでもらった鑑定を使えばすぐに見つかるかも。
今更、気がついた俺は早速、空間魔法と鑑定を使った。
空間魔法と鑑定を使うと頭の中に森の中が浮かび上がってきた。
そこには、クリーン草が多く生えているのが映っていた。
「よし、見つけた。この近くだ。しかし、これ便利すぎじゃないか?」
俺は、空間魔法と鑑定で見つけた場所に行った。
到着した目的の場所には沢山の花や薬草が咲いいてとても綺麗だった。
「お~、すごい。この量があるんだったら依頼量達成できるな。」
俺は、沢山咲き誇る花や薬草の中から鑑定を使いクリーン草を回収していった。
「予想より、早く終わったな。でも、もうちょっと早く空間魔法とかのこと思い出せばよかった。あ、でも俺は空間魔法は使えないことになってるんだっけ。人前では使えないか、鑑定は使えるからバンバン使ってこ」
予定していた時間よりも早く終わったので、ここで一休みしていくことにした。
「はぁ~、久々ののんびりだ」
俺は、成績が別に良い訳ではなかった。
いや、むしろ、悪かった。
だからこそ、大学での勉強は休日も勉強漬けで満足にのんびり出来ず、友達を作ることもなかった。
それに、俺にはこの世に家族はもういない。
母も父も俺が幼い頃に交通事故で死んだ。
頼れる人も、大切な人もいない。
だから、もし彼方の世界に戻れなくてもいいと少なからず思っている。
そんな昔のことについて思い出しているとどこからか、ガサガサと音がした。
俺は、起き上がり、音の正体を空間魔法で見つけた。
それは、イノシシのような生き物で、鑑定してみると、ボアという魔物で、Dランクに相当するらしい。
さて、こんな、チート能力だけ持った素人冒険者なんかよりもボアの方が早いわけでこちらへ近付いてきて俺が集めたクリーン草を持っていってしまった。
「あぁあ!あいつ持っていきやがった。俺の初依頼あんな奴にぶち壊されてたまるか。いや、取られる様な場所に置いていた俺も悪いか?」
俺は、空間魔法を使いボアを追いかけなら、俺はボアに責任転嫁すると反応を追った。
その反応を追うと反応が同じところで、止まっていた。
急いでそこへ向かうと何やら木の前で止まっていた。
俺は、これはチャンスだと思い攻撃をすることにした。
「よし、やったるか。‥‥‥ってどうやって?」
肝心なとこ考えるの忘れとった!
そもそも、俺があいつに敵うわけ?
いや、やるんだ。
初依頼を邪魔された恨み晴らさないと俺の気が済まない。
でも、"どうするか"だよな。
異世界って言えば、魔法だけど、使い方とかわかんない。
わかることって言ったら"イメージ"が大切ってことぐらいで‥‥‥そ、それだ!
イメージだ。
この世界で、これが通用するのかはわからないけど、試してみる価値はあるはずだ。
弓道の矢を思い浮かべると、何となく水属性の魔法で矢を作り出した。
すると、無数の水る矢が、ボアの方を向くように俺の周りに広がっていた。
うぉ!これが魔法か。
幸いにも、ボアはその場から離れることもなく止まっていた。
そいじゃ、いっけ~!
矢に、そう命令すると無数に広がっていた水の矢が、ボアに向かって飛んでいきどんどん刺さっていく。
飛んでいった矢はボアに直撃すると同時に土埃が舞い、目の前が見えなくなってしまった。
「グキャァ!」
ボアが痛みに悲鳴を上げた声が聞こえた。
「ーッ!どうなってるんだよ!」
しばらくして土埃が晴れるとボアが力尽きた様に倒れていた。
「よっしゃー!仕留めたぞ。」
俺はボアを仕留め、無事、薬草も取り戻した。
ん~、依頼じゃないからギルドで売れるかどうか、心配だな。
心配を抱えながらボアを空間魔法で作った異空間にクリーン草とボアを入れ、冒険者ギルドへと依頼達成の報告をしに戻った。
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「お帰りなさいませ。ツバキさん」
俺が帰ったことに気づいのかヒーカさんが言った。
「えっと、ただいまです」
俺は、ぎこいなく答えた。
「クスッ。はい、依頼はどうでしたか?」
今、ヒーカさん笑ったよね。
何かおかしかったのか?
「あ、えっと、まぁ、達成ですかね。今、薬草出しますね。」
空間魔法で作った異空間から途中でルイナスさんにもらったマジックバックに入れ替えておいたクリーン草を出した。
「マジックバック‥‥‥!あ、すみません。はい、依頼達成ですね。冒険者カードをお願いします。」
マジックバックって聞いてヒーカさんは少し驚いた様子だった。
「あの、マジックバックってそんなに珍しいですか?」
すかさず聞くとヒーカさんは依頼不備がないか、偽装されていないかなどを調べながら答えた。
「ええ、まぁ。マジックバックは普通は上級貴族や王族が持つ様ような高級なものなんですよ。というか、何で持ってるんですか?」
「えっと、ここまで送ってもらった方に頂いたんです」
「そうですか。その方は、相当身分の高いのでしょうね。はい、確かにクーリン草です」
感心するように顔をあげて言う。
ルイナスさん何者ですか?
「そういえば、何か心配事でも?浮かない顔をしてらっしゃるので」
ヒーカさんは、依頼達成の処理をしながら、俺の顔を見て言った。
「あの、それが‥‥‥‥」
俺は、周りを見て、話していた今までの声量より少し下げ、ヒーカさんに近づいた。
「キャッ!」
「へっ?」
近づくと、ヒーカさんは急に短い悲鳴を出したのでビックリして変な声が出た。
そして、ヒーカさんは咳払いをして話し始めた。
「いえ、何でしょう?」
俺も気を取り直し、ヒーカさんから少し顔を離して始めた。
「ええっと、あの、薬草を取りに行った時に魔物と会って。あ、何とか倒したんですけど、その魔物をどうすれば良いのかなって」
「えっ!それは大変でしたね。では、証明するものはありますか?」
「はい。ちょっと待ってください」
マジックバックから俺はボアを出した。
「魔物って‥‥‥‥、ボアですか!」
「「「マ、マジか!」」」
《なぁ、アイツ、確か新人冒険者だよな》
《そのはずだ。俺、アイツが今日登録してるところ見たぞ》
《あれ、ボアだろ。Dランクの最強魔物。アイツ何者だよ》
《しかも、ボア出したのマジックバックからだぞ!》
《アイツ、実はどっかの国の貴族とか王族とかなんじゃ》
《ありえるぜ、アイツ雰囲気なんか庶民ぽくないからな》
ギルドにいた冒険者たちは俺が出したボアに驚きヒソヒソと話しているつもりなのだろうが、凄く聞こえる。
ハハハハ、やってしまった。
なんか、貴族疑い出てる?
「と、取り敢えず、買い取りますね。ねぇ、ちょと良い?ギルマスにこの事報告お願い」
ヒーカさんは近くにいた別の受付の人にギルマスへの報告を頼んだ。
あぁ、ギルマス案件ですか。
まぁ、でも、良かった~。
買い取ってもらえるのか。
安堵していると、さっき、ヒーカさんがギルマスへ報告を頼んだ人が帰ってきてヒーカさんに何やらヒソヒソ話している。
「ん、ありがとう。ツバキさん、こちらへ」
ヒーカさんは席を立ち、手を階段の方に向けていた。
面白かっら、ブクマ、良いねお願いします