ギルド認定国家
この話でやっと一日が終わります‥‥!
ツバキくんの世界では濃い一日でした。
「ギルドに認定国家なんてあったのか⁉︎」
ハンギュさんの言葉に俺だけではなく、アレンさんや今まで静かに聞いていたハンズさんも驚いた表情でいた。
なかでもハンズさんは相当驚き、声を上げた。
「認定国家は確か五カ国が認定されたんだけな」
「あぁ。認定国家の決まりができたのはこの間のギルドマスターの集まりの後だっからな。知らないのは当然だろう」
「ちなみに認定国家はこの国も入るのか?」
ハンズさんはギルマスに食いかかるように質問を重ねる。
「ナズラタン王国も入ってる。安心しろ」
「そうか‥‥‥って言うか、お前知ってたんなら言えよ」
「聞かれなかったからな」
「ったく」
ギルマスとハンズさんが何を焦点にして話しているかは分からないが、安心したように軽口を叩く。
「あの、認定国家ってどうやって決まるんですか?」
「ギルド本部で編成された部隊が冒険者ギルドのある国、街、村かを調査するんだ。総合して認定国家に値するかってな」
「でも、冒険者ギルドのある国って相当ありますよね。それも街や村も含めたら。確か、ギルドマスターの会議があったのって五日も経ってないですよね?」
不思議そうにアレンさんがギルドマス二人に尋ねる。
「元々、所属条件の改善案は出ていてな。決まったのは会議の後というだけで、調査し始めたのは、確か‥‥二、三年前からじゃなかったか?」
「俺もそう記憶している。国家に対抗する術というのは中々手に入りづらいからな」
「まて、話を総合するに結局のところお前その情報を知ったのはいつだよ」
話を進めていくギルマスたちにハンズさんは待った、をかけ会話を止める。
ハンズさんと出会ってこの街に来るまで、少なからず会話をしていたけど全くギルドの改善案などの話はしていなかった。
思えば、のほほんとした話ばっかりしてたな、俺たち。
「早朝だ。アユリンの街を立つ直前だよ。ほら、ツバキを待ってる時に伝書鳩がきたろ、あれだ」
「あぁ、あれか。けど、あのとき教えてくれれば良かったろ」
「ほら、まぁ、こっちにも事情があるんだ」
言いづらそうにギルマスはハンズさんの言葉を返す。
ハンズさんもギルマスの口淀みの原因に心当たりが見つかったのか、なんとも言えない顔をしていた。
「二人とも、アユリンの街から一緒にきたのか?たしか、ザフレは友人の商人と来ると言っていたが」
「いいや、ハンズとはアユリンの街を出る直前に会ってな。その時に丁度、伝書鳩が来たんだ」
ハンギュさんの言葉にギルマスは誤魔化すように言う。
冒険者ギルドと商人ギルドはどちらか一つにしか登録出来ないと言う決まりはないはずだ。
それなのに、どうしてギルマスはハンズさん=ルイナスさんだと教えないんだろうな。
「そうだったのか。それじゃあ話を戻すが、認定国家に登録された五カ国の庇護を受けることが可能ならば、三つ目の条件はクリアしたことになる」
「あの、一つ質問良いですか?」
話を聞いていたアレンさんがそっと手を上げた。
「どうしたアレン」
「認定国家が正式に決まったことの連絡を受けたのって今日ってことになりますよね。それでは国家との協議や冒険者が庇護を受けられるための体制は整っているんですか?」
「それについては問題ない。国家との兼ね合いも協議の上での決定だ。それぞれの国家からはいつでも冒険者の受け入れが出来ると連絡があったそうだ。ただ、全員が庇護を受けれるわけではなく厳しい審査を通過した者のみだろうがな」
「厳しい審査?」
アレンさんの質問に返したハンギュさんの言葉に疑問に思ったことが思わず声に出てしまった。
「気になるのか?ツバキくん」
「まぁ、はい。ギルドの資格剥奪は嫌ですし、出来れば庇護に縋りたいっていう気持ちあります」
「そうか。実は審査自体は俺たちも知らされていないんだ。だよな、ザフレ」
「あぁ。ハンギュが説明したこと以上の連絡は受け取っていない。審査自体も実施するとだけ明記されていたな」
ギルマス二人はお互いの持っている情報をすり合わせるように確認していく。
「実施っていつあるんですか?」
「さぁな。それは認定国家とその国にあるギルド次第だろう。この国についてはまだだ。タイミングを見計らいつつアユリンの街の冒険者に公表しようと考えている」
「ライザイでは今回の件が全て片付き次第公表しようと思っている。まぁ、その頃には周辺の街が公表しているだろうから、俺が公表するまでもないかもしれんがな」
「そんな機密情報を俺に話しちゃっていいんですか?」
「それを言うなら私もです。一介の冒険者ですよ?」
俺とアレンさんがハンギュとギルマスの言葉に焦りながら聞くと、二人はお互いに顔を見合わせた。
「どうしました?」
「私たち変なことを言いましたか?」
「いや、アレンお前は一介の冒険者じゃねぇだろ」
「ツバキもな」
顔を見合わせた後、呆れたようにギルマス二人は所属の冒険者をそれぞれ見る。
その言葉に今度は俺たちが顔を見合わせることになった。
「えっ、えっ?ツバキさんは分かりますけど、私は普通の冒険者ですよ?」
「俺も普通の冒険者ですよ?」
「「「なわけないだろ(です)」」」
アレンさんに続いて俺も普通の冒険者と伝えるが、すぐに大真面目な顔で三人は食い気味に否定した。
あまりの食い気味さに苦笑いを浮かべるしかなかった。
確かに俺は勇者で魔王の力を持っているけど、でも、今は完璧な冒険者だし。
そんなに否定するのは少し心外だよな?
それにギルマスはともかくアレンさんとハンギュさんにそこまで言われるって‥‥。
「あと、関係なさそうに否定しているが、お前も普通の冒険者じゃねぇよ」
「いたっ、何でですか?」
真面目な顔のままハンギュさんはアレンさんのおでこを弾きながら言う。
おでこを弾じかれたアレンさんはおでこを抑えながら涙目になりながらハンギュさんに聞く。
「お前の力は貴重なんだ。それを分かっているのか?」
「‥‥それは」
「こっちもな、大変なんだぞ。教会のお偉方を説得し続けるのは。それをどうこう言うつもりはない。ライザイの冒険者ギルドに登録していて、教会からの派遣とはいえ、冒険者を中心に活動しているのを理解しているからな。しかし、自分の力の貴重性は理解しておいてくれ。お前にこの情報を伝えたのは頼れる先を教会以外に選択肢を作っておいて欲しかったからだ」
アレンさんが抱えていることについて理解ができないが、ハンギュさんがアレンさんを思って取った行動なんだとはっきり分かることができた。
本当に良い、ギルドマスターだなぁ。
「‥‥分かりました。はぁ、本当にギルドマスターには敵いませんね。そこまで言われると納得せざるを得ないですよ」
諦めたような、安心したような顔でアレンさんはハンギュさんに言う。
「そうか。分かってくれて助かった。アレンとツバキくんが納得してくれて良かったよ。さて、これで俺たちからの話は終わりだが、ザフレ何かあるか?」
「特にはないな。いや、ハンズは成り行きとはいえ、この場に同席していて良かったのか?」
ギルマスは思い出したようにハンギュさんに聞く。
思えばそうだ。
ハンズさん、つまりルイナスさんは商人で今は冒険者の格好をしているけど、俺たちと同じ一介の冒険者と言わざるを得ないだろう。
だから、本来ならば情報を知ることは許されない立場のはずだと思うんだけどな。
「まぁ、もう良いだろ。それにこの冒険者はおまえの信頼が厚そうだからな。他に口外しないこと。これを守ってくれるならば、俺は何も言いはしはない」
「そう言ってもらて助かりました。他に他言することをしないと誓います」
ハンズさんがそう言うとハンギュさんは満足そうに頷いた。
「ふぁぁぁ~。‥‥すみません‥‥‥」
全ての話が終わったことに力が抜けて、今まで感じなかった眠気が襲ってきた。
「いや、眠くなるの仕方がない。もう明け方近くなんだからな」
「えっ、もうそんな時間なんですか?確かに言われてみれば眠いですけど」
アレンさんは驚きつつ、堪えきれなかった欠伸をした。
「魔道具を起動させていると外の時間の変化が分かり辛くなるんだよ」
「‥‥‥そうなんですね」
うとうとする頭を何とか堪えながらギルマスの説明を聞く。
そんな俺をギルマスは見ると笑っていた。
「ツバキが限界みたいだな。今日はここに泊まってもいいのか?」
「あぁ、構わない。そこの冒険者を動かすわけにはいかないからな」
ハンギュさんは俺が呪いを消した冒険者を見ながら言った。
それから俺たちは魔道具を解除すると、テントの中に緊急時のために置いてあった毛布を使い、魔物がのないように魔物避けの香を焚き、そして毛布にくるまると考える間もなく眠った。
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