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ライザイの冒険者ギルド

中に入ると、空はすっかり朱を差していた。

そのためライザイの街は夕陽が照り凄く朱くなっていた。

「すっかり夕方だな」

「あぁ。お前のファンに捕まったからな」

「それは俺のせいじゃないだろ」

ギルマスとルイナスさんは朱くなった街を見ながら楽しそうに談笑していた。


「あの、吟遊詩人に語られるギルマスの話ってなんですか?」

「お、知らないのか?」

俺が聞くとルイナスさんは少し驚いたように言った。

「あ、はい。そんなに有名なんですか?」

「は?お前‥‥‥」

ルイナスさんは力無く言った。

「どうかしましたか?」

「ザフレのパーティ、〝旋風〟の話は有名も有名だ。少なくともこの国の者ならほとんど知っている」

俺はルイナスさんの話に目と口が開き閉じなかった。


「まぁ、でも。ツバキだしな」

ルイナスさんは説明し終えると、一息吐きしみじみと言った。

「それってどう言う意味ですか?」

「さぁな」

「‥‥?」

馬鹿にされているようにしか聞こえない言葉に意味を聞くが上手くはぐらかされてしまった。

「そんなことより吟遊詩人に語られるザフレの話聞きたいか?」

「えっ!いいんですか?」

「あぁ、もちろ」

「ダメに決まってるだろ」

ルイナスさんの質問にワクワクしながら答えると、ニヤっとした表情をしながら了承をしようとするが、ギルマスに横槍を入れられた。


「無駄話はいいからルイナスは今日の宿探せ。野宿とか嫌だからな。特にツバキには絶対無理だろうよ」

「分かってるさ。‥‥‥にしてもお前相変わらず褒められるのに慣れてないよな」

「うるさいっ」

ギルマスは真顔で言うが、どことなく耳が赤くなっているように見えた。

ギルマスの新たな一面だな。


この世界は電話とかインターネットとか発達もなにも存在しないから事前に宿の予約なんて不可能なんだろう。

もし次に来る予約なんてしても、魔物や盗賊が闊歩するこの世界で次来るなんて確証はない。

宿側をそんな不確定な客は取らないだろう。

損にはなっても得にはならないから。


だからって野宿は嫌だな。

キャンプすらした事ないのに。

俺にサバイバル知識求められても何も出てこないよ。

なしのつぶてだよ!

使い方あってるか知らないけど。

まぁ、この世界の人はプロばかりだろうし聞かれることは一生ないだろうけど。


「ツバキ?おい!」

「はい!えっ、なんですか?」

「なんですかじゃねぇよ。俺たちは一応この街の冒険者ギルドに寄らないといけない。だから降りろ」

ギルマスの大きな声でどっぷりと浸かっていた思考の海から戻り、ギルマスの指示通り荷馬車から降りた。

「じゃあルイナス、宿が取れたらまたここに来てくれ」

「あぁ、分かった。ツバキしゃきっとしろよ」

「いっ‥‥!」

「じゃあな」


俺は背中にルイナスさんからの喝をもらいギルマスに続いてライザイの冒険者ギルドに入った。


♦︎♦︎♦︎♦︎


中に入るとギルマスは目立つようで中にいた冒険者は皆、こっちを凝視していた。

もちろん、その隣にいる俺も凝視されるわけで並々ならない緊張感がある。

初めて冒険者ギルドに来たとき以来の感覚だ。


正直アユリンの街では知り合いになった人が多く、今ではそこまで気にしなくなっていたが、やっぱりよそ者が来るとこういう視線で見られるのかな?

俺、他の冒険者ギルド一人じゃいけないかも。


「なに緊張してんだ?」

「し、視線が‥‥。多分ギルマスへの視線だと思うんですけど」

ギルマスが俺の様子に気づいてか不思議そうに声をかけ、俺は恐る恐るといった感じで答えた。

「あぁ~この視線か。俺もあるだろうがお前の方が凄いだろ。ほら、シャキッとする!」

「いっ‥‥‥!」

二度目の喝を背中に受けると痛みから背筋がピンと伸びた。

それにしても、俺の方がすごいってどう言う意味なんだろ。


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