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第一異世界人と始まりの町

ドサッ!

俺は、地上の原っぱのような場所に降りていた。

「どこだここ?」

辺りを見回すと一面が緑の草原だった。

「あ、そうか。俺、地上に戻ってきたのか」

よし、取り敢えず街を目指すか。

街がどこにあるのか全くわからないので俺は取り敢えず草原の端にあった整備されていない道に沿って歩くことにした。


それから、何時間くらい歩いただろうか。

体感的には三時間くらいな気がするが、それだけ歩き続けるのは現代の進んだ技術、新幹線や鉄道などそういうものに慣れてしまっている俺たち現代人は昔の人達に比べて萎えてしまっているためとてつもなくきつい。

「ハァハァ、街ねぇじゃん。水が欲しい」

願望やら愚痴やらが絶え間なく口から出てくる。

もう、街は全くある気配はしないし、流石にずっと歩き続て、水なしはキツすぎる。


それでも、街か村がないと自分の位置も把握することが出来ない訳で、嫌だけど歩いた。

しばらく、その調子で辛うじて諦めずに歩いていると後ろから何かが来る音がした。


「おい、そこの兄ちゃん、死にそうな顔してるけど大丈夫だろうな。良かったら乗っていくか?」

後ろからきたのは荷馬車の様だった。

乗っていた三十代くらいの男の人に俺は、話しかけられた。

「あぁ、えっと、お願いします」

「おぅ、任せとけ」

そうして、俺は荷馬車の中に乗り込んだ。


乗り込んで、水を貰うと、早速お互いの自己紹介が始まった。

「よし、自己紹介だな。俺の名前はルイナスだ。よろしくな」

「俺の名前はナツ....じゃなかった、ツバキです。こちらこそよろしくお願いします。それとありがとうございます」

ルイナスさんは一瞬"?"な顔をしたけど直ぐにその顔は戻った。


危ない危ない、夏紀修太郎って言うところだった。

今の俺は、ツバキだ。

しっかりしないと。


「いや、礼には及ばん。そう言えば、兄ちゃん、どこ向かうつもりなんだ?」


どこ何だろう?

そもそも、ここがどこかも分からない。

勿論、〔異世界から召喚されて、今どこに居るのか分かりません〕なんて言える訳もなく。


「えっと、ここから一番近い街です」

仕方なく俺はそう誤魔化した。

「それなら、"アユリン"の街か。目的地は一緒だな。このまま、一緒に街に入るか?」

「はい。お願いします」

なるほど、ここから一番近い街は"アユリン"と言うのか。

当面は、そこでの生活になるのかな?


そうこうしていると、門のようなものが見えてきて、さらに近づくと門番さんが見えた。


「おぅ、ルイナスさんじゃないか。今日も仕事か、働くな」

門にいた門番さんがルイナスさんに話しかけてきた。

「仕事しねぇと食ってけないからな。それより、ほら、通してくれ」

「分かったから焦るなよ」

ルイナスさんは、門番さんにカード?みたいな物を見せて、門番さんはそれを確認した。

恐らく、身分証みたいな物なんだろう。

あ!俺、持ってない。


「ん?おい、ルイナスさん。その後ろの兄ちゃんは誰だ?」

「あぁ、ツバキか。死にそうな顔して歩いてたから拾った。丁度、目的地も一緒だったしな」

「その、兄ちゃん、ツバキって言うのか。おい、兄ちゃん、ギルドカードかなんか持ってるか?」


ヤバイ、なんて言おう。

でも、嘘つくと余計に面倒な事になりそうな気がする。


「えっと、俺、持ってなくて。街に入れなかったりします?」

「いや、大丈夫だ。ただ、この水晶に触れてくれないか?」

そう言って、門番さんは、丸い水色の水晶を持ってきて俺の前に出したので、俺は、その水晶に触れた。


「えっ!」

触れると、水晶が突然明るい光を出した。

何だ?

大丈夫なやつだよな?


「よし、大丈夫だ。まぁ、ルイナスさんが連れてきた時点で大丈夫だろうとは思っていたけど」

「嘘つけ」

門番さんが言うとルイナスさんかツッコミを入れた。

それから二言三言話すと無事に街へと進んでいった。


どうやら、無事街に入れるらしい。

ふぅ、取り敢えず一安心だな。

でも、これで最初の目的が決まったな、それは、ズバリ、身分証を作る事だ。

誰に、言ってんだろう俺。

なんか、悲しい。


「それじゃ、改めて。兄ちゃんようこそアユリンの街へ!俺は、この街の門番をしているスリノだ。なんか困ったことがあったら声かけてくれ」

「はい!ありがとうございます。スリノさん」

「そいじゃ、行こうか」

門番さんにお礼を言い門を通ると、そこはヨーロッパの様な街並みが広がっていた。


「あの、ルイナスさん、これからどこに?」

「勿論、荷物を届ける。ツバキ、お前はこれからどうするんだ?」

「取り敢えず、身分証を作ろうと思っています」

俺が、そう答えるとルミナスさんは少し悩んだ様な素振りを見せた。


「しかし、作るとしてどこのギルドだ?」

「どこ?」


どこってどこ?

ギルドは分かる。

だけど、どこってどこ?

俺が混乱しているとルイナスさんは驚いた顔をしていた。


「ツバキ、お前‥‥‥‥。ギルドの種類を知らないのか?」

「はい。実は」

「はぁ、じゃ、説明してやる。まず、ギルドには三つの種類がある一つ目は‥‥‥」

ルイナスさんが説明によれば、ギルドには、治癒士ギルド、冒険者ギルド、商人ギルドがあるらしい。

治癒士ギルドは主に光属性や聖属性を持つ人達が怪我や病気を治してくれるギルド、冒険者ギルドは街の人や他のギルドからの依頼を斡旋するギルド、お仕事斡旋所みたいな感じなのかもしれない。

そして、商人ギルドは商人達が所属していて不当な値段で商人が買い取ることを防いでくれたり、仕事を各町で、少し待遇が良くなったりするらしい。

全てのギルドで共通することは、特定の国や地域には絶対に属さないらしい。

勿論、ルイナスさんは商人ギルドだそうだ。


そして、俺はというと、この三つの中で冒険者ギルドで登録する事にした。

と、言う事で、ルイナスさんに冒険者ギルドまで送ってもらうことになった。


「おし、着いたぞ。しばらくはこの街に居るつもりだ。"イグリス"って言う宿屋を根城にしているから困ったことがあったら来い。あとこれ、マジックバックだ。やる」

そう言って、ルイナスさんは肩掛けぐらいのバックを出した。

「ありがとうございます。あの~、マジックバックって?」

「はぁ、そうか。マジックバックは中が亜空間になっているんだ。だから、見た目以上に中に入る。まぁ、色々役に立つ」

「ほぉ~、ありがとうございます」

「そいじゃ」


お礼を言うとルイナスさんの荷馬車は走って行った。

ルイナスさんがいなかったら俺、この街に入れてないかも、というか、この街にすら辿り着けず道で死んでいたかもだし。

ほんと、ルイナスさんに感謝だな。


ルイナスさんの荷馬車が見えなくなるまで見送ったあと俺は冒険者ギルドの中に入った。

ブクマ、良いねよろしくお願いします

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