君の名は
しなやかな姿態、大和撫子。
彼女のことを想うと、胸がいっぱいになる。
いつもの道、いつもの場所。
何度も足繁く通い詰め、とうとう今日、この胸にいだいた。
温かい、柔らかい、いい匂い。
「君の名は?」
「にゃーん。(吾輩は猫である名前はまだない)」
「そーかそーか。うちの子になるか?」
「にゃーん。(お腹いっぱい食べさせて)」
ぐるる、ごろごろ。(機嫌が麗しい)
一緒に帰宅して、共同生活が始まった。
「にゃーん。(マグロが食べたい)」
「そーかそーか魚が好物か?」
ふがふが、がつがつ。ひたすら食べる。
「かあいいなぁ」
うっとり見惚れる。
「名前をつけないとな」
「にゃーん」
「にゃんにゃん」
「なーおう」
「なおちゃん、でどうだ」
彼女は足元にまとわりつき、目を細めた。