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結論から言うとこの選択は大正解だった。滋養で回復できることもあって、安全に休息できる効果は絶大! コソコソ隠れて回るにも有利。

原始的だが草木加工できることようになってカゴや袋、釣具、簡単な罠や隠れ家も作れるようになった。

草木薬品の知識で治療薬に解毒剤に魔物避けの各種薬剤(種類によっては俺にも利く!)に毒物も造ることができた。


これらをテコに俺は徐々に戦力を高め、次々と討伐や探索系のクエストボーナスをも獲得し、スライム撃破から15日経つ頃には・・


「っ!」


俺が特にスキルを使わず一睨みすると、繁みの陰からこちらを伺っていたスライム達、植物系モンスター『リーフウォーカー』、鳥系モンスター『チュンチューン』、虫系モンスター『弾丸ピーカブー』等が慌てて逃げ出していった!


「ふふふっ」


レベル13に達しっ、数々のスキルを獲得した俺はこの森の下級モンスター達から恐れられるようになっていた!!


頭には『ゴースト』を狩りまくった時のクエストボーナスで獲得した『おどろ帽子』を被っている。

ボロボロの帽子だが、魔力を込めるとアンデッドから認識され難くなり、俺の意のままに遠隔操作も可能だ!


背には自作の『草編みのリュック+1』を背負ってる。

キラーナスには『肩』が無いから『念力オブジェクト・小』のスキルで小さな念力で作った立方体を両腕の付け根にくっ付けて、そこに引っ掛けるというか念力で掴むというか・・まぁとにかくキープしてる。


リュックには色々必要な物を詰め込んでいた。この鞄には『収納化』のスキルで見た目の20倍くらい、重さをカットして物を詰め込むことができるのだ! 俺の携帯倉庫っ!!


「よ~し、この森での最後の仕事だ! ヘタジャイロっ!」


俺は、おどろ帽子を取って、ヘタジャイロを発動し、飛び上がって森の高台になってる土地の1つに向かった。

いくつか、地上に手強いモンスターがいる箇所の先に目当ての高台がある。

低地と高台の中間辺りに魔除けの効果のある鉱石の結晶が露出してる場所があって、この高台は安全地帯になっていた。

着地するとおどろ帽子を被り直した。


「さてと」


俺の隠れ家は高台の林の中にあった。

正に秘密基地って感じだ。草と細木と蔓と泥等を使ってる。『初級陶芸』のスキルも獲得してきたから、火はとっくに消してるが近くに簡単な(かま)もあった。


「はぁ~、もったいねぇ」


だが、惜しんでもまぁしょうがない。ここに真新しい人工物が残ってると無駄なトラブルの元になりかねないからな。


「・・よしっ、切り換えた!」


俺は両腕の蔓を左右4本ずつに増やした。スキルではなくレベルアップ後のキラーナス種の力だ。


「『剛力』、『動体視力』、『ラッシュ』精密作業、蔓シェイバーを同時発動!『蔓シェイバー・ストーム』っ!!!!」


俺は猛烈な蔓の刃の連打を放ち続け、隠れ家の全ての人工物を小間切れにした!!


「ふぅっ、仕上げだ!」


俺は腕の蔓を2本に戻し、草編みのリュックから小振りな瓢箪(ひょうたん)に詰めた市価なら高価らしい回復霊薬(ポーション)を6本取り出し、木の栓を抜き、纏めて一気飲みした。


「ゴクゴクッ・・ぷはぁっ!! ふぉおおーーーーっっっキタキタぁっ!!」


滋養が高まり過ぎて身体を軽く発光させた俺は手足の蔓を地面に突き刺し根を張って、崩壊させた隠れ家の真下まで這わせたっ!


「スキル・・『芽吹く大地』っ!!!」


隠れ家の残骸は俺の滋養を使って瞬く間に植物に覆われ、深い林になった。

俺は根を引っ込め、蔓に戻して地面の上まで戻し、交互にプルプル振って土を払った。


「これで調べられても最近の痕跡とは思わないだろ? ふふん」


満足していると、


デレデデッテテーっ!! めでたい音楽!


(おめでとうございます。シークレットクエスト『破壊と再生』をクリアしました。報酬として経験値200ポイント、スキルポイント100、さらに『ドリアードワンド』を贈呈します)


虚空から出現した芽の付いた枝のような短い杖を蔓で掴んだ。


「なんか報酬ありそう、とは思ってたよ?『鑑定』っ!」


鑑定スキルで見てみると、植物干渉系の杖だった。


「ふーん、触れる必要が無ければ、いちいち蔓や根を伸ばさなくてよさそうだな。ラッキー!」


取り敢えずリュックにしまった。


「・・じゃ、行くか」


俺は、ゲーセンのクレーンゲームの景品のヌイグルミみたいな顔になってはいるが、表情を引き締めた。



俺がサバイバル活動していた森はトロル農園の東側にあった。北側には乾燥した山地があった。そこの農園の端近くに来ていた。

結構、賢いトロル達は山側には簡素だが分厚い擁壁(ようへき)を造っていた。


「鑑定!」


ドリアードワンドを持ったまま、俺は鑑定スキルで何も見えない塀の内側の宙を見た。

かなり高い位置まで魔力の壁で覆われている。外部からのモンスターの侵入にのみ反応する障壁(しょうへき)だ。


「一方通行仕様だとそんなコスト安いのか?」


(半額以下です。技術的にも素材も簡易にできます。この農園は作物種(さくもつしゅ)の生産が確立されており、多少の『脱走』は誤差の範囲なのでしょう)


「そうか、これはこれで生活なんだろな・・・発動っ!『蔓樹海(つるじゅかい)』っ!!」


軽く振り返る俺は、両足を地面に埋めていた! 事前に構造を念入りに調べておいた農園側の山肌から、俺と繋がったそれぞれ束ねられた百本以上の蔓を露出させっ、山肌の地表構造をメチャクチャにしてやったっ!


山崩れが起こり始める!!


「『蔓ダッシュ』、『迷彩』、耐久潜行、ヘタジャイロっ!!」


俺は高速走行のスキルを応用して素早く伸ばした無数の蔓を2本の蔓に戻しながら足元まで引き寄せ、景色に溶け込む迷彩スキルに存在感を消す潜行スキルも合わせ、帽子を取って飛び上がった。

計算はしたが、わりとギリギリのところで土砂が俺がいた場所を土砂が流れてゆき、擁壁を決壊させ、塀を崩した!!

俺が崩したの限定的な山肌に過ぎず、山側の塀の辺りまで無理な土地利用はされていなかったが、トロル達は大騒ぎになり、伝わった地響きに眠らされていた人面野菜達の多くも起きて、こちらも大騒ぎになり、中には逃走を図る者達も現れた。


「『望遠』」


スキルでかつて俺が生っていた木を見てみたが、残念ながら全て収穫された後だった・・


デレデデッテテー!! めでたい音楽!


(おめでとうございます。シークレットクエスト『野菜の解放者』を)


「ナビ、後にしてくれ」


(・・では後程)


「俺は俺の立場で義理を果たした。あばよ」


俺は姿を隠したまま飛行し今度こそ、トロル農園を、そしてその近くの森を後にしていった。

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