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・・夢を見てた。

部活の練習。好きだったけど彼氏がいたあの子。

下に弟が2人いるし、専門学校志望だけど、高2で安易に文系選んだことのちょっとした後悔。

でもって、婆ちゃん。茄子。トラック。


(・・・告、警告、警告。計7ポイントのダメージ)


「ハッ?!」


身体が重い! 熱い! 痛い!

倒れてる俺の体に4体の白玉みたいなモンスターかわへばり付いてっ、俺を溶かして食べようとしていたっ!!

さらに周囲に20体は白玉達が蠢いていたっ。


「うおおおぉーーーっっ??!!! 蔓シェイバーっ!!!!」


手足の蔓をメチャクチャに振り回し、へばり付いていた白玉4体を切り裂いて慌てて身体を起こしたが、周囲の20体余りの白玉達が一斉に飛び掛かってくるっ!!


「蔓スプリングっ!」


低い軌道で真横に飛んで逃れるが狭い岩場っ! すぐ岩壁だっ。クソ! 長々眠り過ぎたっ!


(滋養消費で3ポイント回復。これで蓄えた滋養は使い果たしました)


「OK。やってやんよ」


白玉達は4体のデカい大型白玉に合体してこちらにブヨブヨと向かってくる。俺は、周囲を見ていた。

あるいは、悪臭を使って逃げるのがベターなのかもしれないが、それは最後の手段だ!

よくわからないがっ、ここで勝てないようなら俺、『ただの場違い』な気がするっ!!


「蔓シェイバーっ!」


大型白玉ではなく、周囲の岩の中でも鋭く先の尖った岩の細い先端だけを切断した! 大型白玉達は敏感に反応して、俺に対して一気間合いを詰めに掛かるっ。


「蔓バインドっ!」


切り離した4つの尖った石をガッシリ掴んでそのまま素早く蔓の手足を引っ込めるっ! 迫る大型白玉4体っ!!


「ふぅっっ、『蔓スプリング・ガンっっ』!!!!!」


俺は手足の蔓のバネを使って、4つの尖った石を猛烈な勢いで撃ち出したっ!!


ズドォオオッッッッ!!!!!


至近距離で4体の大型白玉をブチ抜いて倒してやったっ!!


「しゃあっ! やってやったぜっ」


デレデデッテテーっ!! めでたい音楽!


(おめでとうございます。シークレットクエスト『スライムハンター誕生!』をクリアしました。報酬として経験値20ポイント、スキルポイント20を贈呈します)


「お、おう・・アレ、やっぱスライムなんだ。あんま可愛くないけど・・・あっ!」


俺は思い出した。


「今朝、ブッ倒れる前になんか本もらったよな?」


(初級草木加工品レシピです。そこに落ちてます。スライムには価値が理解できなかったようです)


岩場の地面に粘液でべちょべちょになった本が落ちていた。


「どうやって使うんだ?」


(触れて念じれば記された技術と知識を体得できます)


「マジで?」


俺は粘液まみれのレシピ本を拾い上げ、念じてみた。


「っ!!」


圧倒的な情報量が俺の頭と全身を駆け巡るっ!

レシピ本は輝いて崩れ、消え去ってしまった。


(スキル・初級草木加工品製造の獲得を確認)


「おおおっ・・」


ほとんどが服飾品や簡単な建材やその利用法なんかの知識と技術だったが、食品や医療品の知識と技術も多少はあった。

またセットで素材利用可能な下級の植物系モンスターやキノコ系モンスターの知識も一通り手に入った。


「凄いなっ! 鑑定スキルをある程度補えるっ」


(平凡な人類ならレシピブック一冊のスキルが生涯に獲得するスキル、ということも珍しくはありません)


「へぇ~」


まずこの世界、人類いるんだ。というかここ、地球ではないんだよな?


(それから貴方は今朝までサバイバルで経験値20ポイント、スキルポイント8を獲得。スライムとの交戦、撃破で経験値24、スキルポイント2を確保しています)


「戦闘効率いいな! ちょっと待てよ・・」


ステータスを確認してみると、経験値66ポイント、スキルポイント71あった。


「おおーっ! レベル3に上げられそうだなっ」


(可能ですが、スライムからのドロップ品の回収を推奨します)


「え?」


見てみると、スライム達の割れた粘着質な半透明の水風船みたいな死骸の中に、『グミ』みたいな物がいくつも落ちていた。


「グミ? 待てよ? 草木加工の知識の中に植物系スライムから取れる『グリーンスライムグミ』が食材にできるとあった。コイツらは植物系じゃないがスライムだ。これ、食べられるのか?」


(・・・)


ナビは応えなかったが、今の俺に『拾え』ってことは『食えるぞ?』ってことじゃないか?


「い、・・イケるのか? 俺っ?」


スライムのグミ? 自体はこんにゃくゼリー的な物に見えるが、ブチ殺しているので粘液まみれで、冬瓜(とうがん)とかキュウリみたいな匂いがした。


「やってやるっ! 消化スキルを信じるっ。おりゃーっ!!」


俺はグミを口に入れた。


「っ!」


ところてん、だっ! なんも掛けてない、謎の粘液が付いた、ところてん的なナニカを口に入れているっ。


「う~ん???」


食べられなくはないよ? でも、な、なんかちゃんと調理したのが食べたいぞっ?


(滋養を補給できました。HPを1ポイント回復。経験値も1ポイント獲得)


「マジで?? そういうことなら・・うおおーーっ!!!」


俺は落ちてるスライムのグミ? を全て拾い、食べ尽くし、HPを全快させた上でいくらか滋養と水分を蓄え、経験値もさらに28ポイント。さらにチマチマ加算されてたスキルポイントも5獲得した!



スライムの死骸の臭いに他のモンスターが寄りそうだったから、俺はレベルアップだけしてボーナスでスキルポイントをまた20獲得し、その場から離れ森の中に入っていった。


(何かスキルを獲得しますか?)


「ここで選択ミスると、たぶん効率が違ってくる。鑑定はまた見送りだな・・『耐久潜行(たいきゅうせんこう)』(40P)『精密作業(せいみつさぎょう)』(20P)を取得する!」


(選択したスキルの獲得を確認。残りのスキルポイントは16です)


耐久潜行は長時間の潜行スキルの発動を可能とする。夜はともかく、昼間はこれで安全に休めるようになるはずっ!

精密作業は一時的に器用さや集中力を上げるスキル。草木加工スキルの内、俺の蔓の手と森の素材だけで製作可能な物を手早く高精度で造り上げることが可能になる!


「よ~しっ! まずはこの森のっ、サバイバル王になってやるぜっ」


一際高い木の枝の上で俺は吠えたっ!!

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