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埒が明かないな。俺は取得可能な言語系スキルを確認した。
古代リバーマーメイド語は無い。
「うーん、下位スキルを取って派生で狙ってみるか・・ナビ、『下級・リバーマーメイド語(20P)』と『ビッグリバー周辺の文化(20P)』を取得」
(スキルの獲得を確認。派生スキルの取得が可能となりました)
「よしっ、それじゃあ・・」
俺はこっから『中級・リバーマーメイド語(30P)』『旧代ビッグリバーの文化(30P)』『上級・リバーマーメイド語(50P)』『旧代リバーマーメイド語(80P)』を段階的に取っていった。結果、
「おっ! なんとなく読めるようになった!!」
「マジかっ?!」
「凄いな」
(すきるぽいんと、とは便利な物よっ!)
俺はじっくり、断罪の間の扉の近くの石碑を読み込んだ。
「え~と、・・昔、王位継承争いで敗れた、妹? 叔母? まぁ親族が、魔族? と契約して、魔物になり、この川、この辺りに災いをもたらした。私達・・リバーマーメイドは、『怪魚殺しのロンデル』あるいは『トリトンの短剣』で、魔物をここに封じた。当初は封印で弱らせて倒すはずが、あー、なんか色々あって! この地のリバーマーメイド達が散り散りになってこの墓は放置された、と」
「無責任ーっ!」
「ちょっと酷いね」
(リバーマーメイド達は享楽的な種族だからな)
仲間達が呆れる中、俺は石碑を読み込み、その『魔物』の能力や封印の状況なんかを読み解いていった。
読み終えると、断罪の間の中を気配探知してみた。休眠してるが、凄い負の気配!
「うわっ、いる! でも、こりゃイケるな。『お宝の短剣』の回収は微妙だが、討伐は簡単にできそうだぜ? ちょっとお耳を拝借・・」
特にこっそり話す理由は無かったが、ノリで全員を集め、円陣を組んでゴニョゴニョ話した。
・・俺とネッカイは断罪の間の正面に立たないように気を付け、大きく構えた!
俺は炎の触媒『レッドジェム』7個を右に複数本出した蔓の腕の周囲に浮かべ、左の蔓の手には炎蛇の剣を構え炎の力を呼応させる!
ネッカイは取り込んだブルージェムとコーラルジェムの力を利用しつつ、氷の触媒『ホワイトジェム』を4個をやはり念力で操って浮かべた!
断罪の間の扉が狭過ぎるので中型犬サイズのままだ。
「魔力ブースト! 魔力ブースト! スキル『単発発動・爆裂火球』を取得っ、発動!」
右の蔓側に特大の火球を出現させて圧縮させ、炎蛇の剣の切っ先の手前に固定させた!
「ガルルゥッッ!!」
ネッカイは唸り、背に珊瑚のような結晶体を露出させつつ大きく息を吸い込み、ホワイトジェムを取り込み、全身に氷を纏った!
「ウィンドシェル!」
ユッカナが自分とミミルに風の防御魔法を掛けたっ。
「ミミルっ!」
「任せな!」
ミミルはリバーマーメイドの墓の鍵を断罪の間に使った! 即座に脇に飛び退くミミルっ。扉の向こうから毒気が溢れたが、
「おりゃーっ!」
俺は炎蛇の剣の力を上乗せして、爆裂火球にカーブを掛け、相手の位置は確認済みの部屋の中にブチ込んだ!!
ゴォオオオンッッ!!!!
大火炎が内部で炸裂し、毒気を消し飛ばし、衝撃と共に断罪の間側の壁にヒビが入った!
「ヂィイイイィッッッ!!!!!」
古代の魔物の悲鳴! けど石碑によるとコイツは毒の粘液を扱い、窒息や中毒も効かない。炎だけじゃ倒しきれないっ。
そこで、ネッカイが炎が噴き出しきった扉の前に、溶けた床を凍り付かせながら駆け込み、大口を開けた!
ビュオオオォォッッ!!!!
ネッカイは素材による強化盛り盛りの、『氷河の息』を部屋の中に吐き出した!!
ビキビキビキィッッ!!!
噴出し膨張した氷塊が、ヒビの入った断罪の間側の壁を打ち砕いたっ!
「危なっ? ネッカイっ」
(すっとろいぞ?)
「何ぃっ?!」
ミミルと『氷の珊瑚化』の変化を解いたネッカイが小競り合いをしだしたが、炎蛇の剣を持つ俺と、弓を構えたユッカナが内部に探りに入った。
「この者が、古代の魔物」
唖然とするユッカナ。そこには、鎖に繋がれ、焼かれ、凍り付いて砕かれた人魚の巨人のような魔族の死骸があった。
「姉妹、親族の喧嘩は程々に、ってな・・」
どうも養女か愛人の子? が王位を継承したことが事の始まりだったらしい。かなり込み入っていた。
(おめでとうございます。シークレットクエスト『怪魚の女王討伐』をクリアしました。報酬として経験値1000ポイント、スキルポイント600、『超霊薬』を贈呈します)
「こりゃどうも。おっ」
エリクサーを受け取っていると、ほぼ剥き出しになっていた古代の魔物の心臓から光輝く短剣が浮上し、俺の手元にきた。
古代の魔物は灰のようになって消滅してゆく。
「お宝、怪魚殺しのロンデルか。・・鑑定!」
水と光の属性で水の属性のモンスターに絶大な攻撃力を持つ武器だった。
「呆気ないじゃんか? まぁ『部屋の外から卑怯アタック』でも、それで倒せるお前らがオカシイだけどさ」
(まともに戦っても負ける気はしないがな!)
「詳しい背景云々や墓の深部の掃討や探索はベレスのギルドに任そう。でもって・・」
俺は蔓を伸ばし、怪魚殺しのロンデルをミミルに、インビジブルベルトはユッカナに渡した。
「短剣は勝手には持ってけないが、帰るまでは短剣使うミミルの戦力を上げとこう。ユッカナは遠距離だからいいかな、と」
「このままバックレていいんじゃないのぉ?」
「透明、潜行、仕様か・・」
(我輩は結局、石をたらふく食わされただけか!)
「そう言うなって。あ、レベル1つ上げとくか」
俺のレベルを35から36に上げ、皆回復した上で、俺達は脱出の鏡を使ってリバーマーメイドの墓から脱出した。
そして・・
リバーマーメイドの墓の入り口上空に2つの闇がいた。蟹モンスター等は逃げ、ヒポグリフも、その他、野生動物達等も逃げてしまったようだ。ただ、ビッグリバーの流れる音だけがした。
「なんだぁ? なんだお前らはぁあっ??」
闇の1つは両生類のような魔族!
「あれぇ~、先客だね! もしかしてここの秘宝回収しちゃった?」
もう1つは子供の道化のような魔族!
(ダイスケ! この気配っ、力! コイツらは七闘将だっ!)
「ナビ・・追跡対策スキルどーなってんの?」
俺は冷や汗まみれで確認した。




