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呼吸が荒くなる。落ち着け、俺!


「スキルの詳しい内容は?」


(閲覧可能です)


「よーしっ」


時間は無いっ、俺はざっと確認を始めた!


「ぐおおっ? ゲームは小学生以降は、たま~に友達と行くゲーセンと、スマホの簡単な暇潰し系以外やってなかったからなぁ・・」


俺は四苦八苦して、スキルの解説文を読み込んだ。


「したっけここだべしかぁ?」


「もそっと高くなかったべしよぉ?」


どんどん近付いてくる巨人達!


俺は巨大人面植物の農園の『外』に注目した。特に俺達が生ってる大木側の外だ! ちょっと遠い感じだが、森があるっ! ここだ!


「よしっ、・・いいよな? この組み合わせしかない! スキルを獲得するっ。蔓シェイバー、蔓バインド、蔓スプリング、ヘタジャイロ、悪臭を獲得!」


(選択スキルの獲得を確認。残りのスキルポイントは60ポイントです)


「っ!!」


何やら血が騒ぐような感覚っ! できるぞっ?


「蔓シェイバーっ!」


俺は蔓の右腕に刃物の鋭さを与えて振り、枝に繋がった俺のヘタを切り離した! よしっ、『ちょっと痛いくらい』だ、イケるっ!


「ヘタジャイロっ!」


落下する俺はヘタをプロペラ状に拡大させて回転っ! 浮力を得て浮遊し、大木の枝と葉と同胞達の陰に隠れた。


「・・・」


これ、ヘリコプターと同じ原理ならこんな自在に飛べない気もしたし、頭捥げないかな? と思ったりはしたが、茄子だしっ。巨人とかいるしっ。OKだ!


俺は巨木の幹の逆サイドの陰に周り込んだ。巨人達との間合いを計る・・そして、


「悪臭! 発動っ!」


俺は全身から悪臭のガスを周囲に放ったっ。

一斉に同胞達が目覚めるっ。


「臭ぁーーーっ??!!!」


「いーーやぁーーーっっっ!!!」


「死にたくないっ、死にたくないぃいいっっ」


「いーーやぁーーーっっっ!!!」


大騒ぎだっ。


「したっけっ?! 臭ぁっ?!」


「起きて悪さしたヤツがいるべしさっ?! 早く眠らせて臭い抜きするべしさぁっ」


巨人達も慌ててこっちに来るっ。俺はヘタジャイロをキープして、タイミングを見て巨人達と入れ替わりに素早く元いた幹の逆サイドに移動する!


「けほっけほっ、『悪臭耐性』ってスキル持ってないから自分も臭いぜっ!」


(HPに2ポイントのダメージ)


ダメージ受けてるしっ。

俺は噎せながらも騒ぎの中、移動を完遂した!


「こっからだっ、ヘタジャイロ解除! 蔓スプリングっ!!」


俺はなるべく高い位置で浮遊を解き、両脚の蔓をバネ状に変化させて巨木の幹に思い切り踏ん張った。

視線の先は巨人農園の先の森!!


「喰われてたまるかぁーーーーっ!!!!」


両脚のバネで思い切り巨木の幹を蹴り、俺は1発の『茄子の砲弾』として森に向かって放たれたっ!


「うぎぎっ」


風を突っ切っていくっ! 降下の勢いも利用してるっ。あっという間に森だ! このまま森の普通サイズの木々に激突するとあっさり死ぬだろうっ。


「蔓ぅっ!」


俺は必死で手足の蔓を伸ばし、角度を付け、突入するラインを調整して木への激突を避ける!

どうにか激突せずに森の中に侵入できたっ。


「蔓バインドぉっ!!」


伸ばした手足の蔓で周囲の木々を掴むっ。拘束技の蔓バインドは発動中は蔓が強化され、ある程度は耐えられるっ。はず!


「痛たたたたっっっ??!!!」


甘くなかったっ。速攻、蔓の手足が千切れちまう!


「解除っ!」


(7ポイントのダメージです)


蔓バインドを解除したが、勢いは殺せた! ゆったりと宙に投げ出された俺は、ヘタジャイロを使おうとしたが、上手く発動できず、そのまま森の草地の中に落っこちていった。


「げふっ。なんとか、脱出できた・・」


ダシにした同胞の茄子達! すまんっ。


(2ポイントのダメージです。警告します、貴方の残りHPは2ポイント)


「・・了解。今、なんでヘタジャイロ使えなかったんだ?? MP?」


(MP残量は4。違います。ダメージにより、『ショック』の状態異常になっていました。まだ十分回復していません)


「あ~・・HPとか状態異常ってどうやって回復すりゃ?」


もうまったく動けん。うつ伏せに落ちたから、土と草の臭いを嗅いでるだけだ。


(種族的な初期スキル、光合成、水消費限定土養分吸収、水吸収の併用で回復可能です。ただし、スキルの注意事項は要閲覧)


「りょう、かい・・」


さっきもチラっと見てたが確認する。なるほどな。


「・・発、動」


俺は窒息しそうだったからプルプル震えながら、どうにか仰向けになると、手足の蔓を地面に刺し『根』を張り、水分と土の養分を吸収し、光合成も行った。


「ふぅわぁああ・・・・・っっ」


初めての感覚っ! 滋養が身体に漲ってゆくっ。


(HP、徐々に回復しています。ショックの状態異常も回復・・しました)


「ふぇえ・・・・」


数分で俺は完全回復したが、頭がぼんやりしてきていた。もう、このまま『植物としてここにあり続ける』でよくね?


(状態異常、『自我喪失』になりつつあります。植物としての回復にはリスクがあります。警告、植物としての回復には自我喪失のリスクがあります。警告、警告、警告、警告)


「うっ、・・ううっ、っっんっ、がぁあーーーっ!!!」


俺は根を張った手足の蔓を地面から引っこ抜きっ、身体を起こしたっ!!


(自我喪失からの完全回復を確認)


「はぁはぁ・・・なんかさっきから自主的にピンチになりまくってんなっ、俺!」


一息つきながら、根の消えた蔓の手足や、以外と弾力がある自分の紫ボディを確認していると、


デレレレデンデデーーっっ!!!!


「っ?!」


謎のめでたい感じの音楽が俺の頭の中で響いた!


(おめでとうございます。シークレットクエスト『トロル農園からの脱出』をクリアしました。報酬として経験値30ポイントを贈呈します)


「おおっ? 何? やっぱコレ、ゲームなのか? バーチャルなんとかっ?? 事故った俺は先端電脳医療によって」


(まったく違います)


「違うんかーいっ」


情緒がおかしくなるわっ!

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